xharukoの日記

妊娠、出産、育児の中で思った事をつれづれ書きます

彼女は、いつかの私

私がこの保育士でも、目的を果たす為には、結果を知らずに使ったかも知れないなとニュースを見ながら戦慄した覚えがあります。2019年6月に京都の認可保育園で発生した一件の続報を目にしました。


園児やけどで捜査書類送付、京都 メラミンスポンジでこする
https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2020052201001329.html

 京都市右京区の認可保育園で昨年6月、男児(3)の頬を研磨作用のあるメラミンスポンジでこすってやけどをさせたとして、京都府警が元保育士の女性を業務上過失傷害容疑で捜査した結果の書類を京都地検に送っていたことが22日、府警への取材で分かった。

顔に付いたペンの汚れが落ちなかったので、この「汚れが良く落ちるスポンジ」を使おう。だってこのスポンジは、軽く擦るだけで洗面所がピカピカになる程の洗浄力なのだから。
この事件の容疑者はきっと、その程度の認識だったのではないかと思うのは、実を言えば私もメラミンスポンジの特性をよく知っていなかった為です。

子どもがお絵描きをしていれば、誤って手や身体のあちこちにインクがつく事はあると思います。我が子も先日、牛乳パックに絵を描きたいからと言うので油性ペンを使わせた所、ペンを持たない方の手にもお絵描きをしていました。手に書いた物はどうせ何日かすれば落ちるからと気にはしませんでしたが、責任感ある保育士ならば、付いたインクを落とそうと躍起になるのではないでしょうか。
私が小学生だった頃、隣のクラスの男子が腕の内側にタトゥーシールを貼って学校に来た事がありました。水でシールを濡らして、肌に貼り付けると模様が肌に転写されるという物です。彼はとても自慢気で、色々な子に見せていました。
そのタトゥーシールを見咎めた男子の担任の先生である中年の女性は、その男子児童を手洗い場に引っ張って行き、寒い季節でありながら流水とタワシでタトゥーシールを落とそうとしました。子どもの皮膚を亀の子タワシで擦っていればどうなるか、想像は容易いかと思います。
タトゥーシールを貼り付けてきた男子児童の腕は真っ赤になり、所々から出血もしていました。私が子どもの頃は教師が児童を叩く程度の事は教育的指導だと容認されていた時代でもありましたので、保護者が学校にクレームをつけたとは、ついぞ聞きませんでした。
「将来、刺青をするような人になるかも知れないから」
そんな事を先生は言っていたような気がします。どこかの国では合法とされている大麻が日本では禁止なのは、それがより依存度や危険性の高い薬のゲートウェイドラッグになるからだと聞いた事があります。この件はたかがタトゥーシールですが、そうした事をあの時の先生は危惧したのでしょう。やり過ぎの感は否めませんが、きっと、児童を正しく導かなければならないという使命感がそうさせたのだろうと私は思っています。

子どもを朝と同じ状態で保護者に引き渡さなければならないと思う責任感と、メラミンスポンジを「汚れが良く落ちるスポンジ」としか認識していなければ、きっと私がこの保育士でも子どもの肌にメラミンスポンジを使ったのではないかと思います。
道具は使い方を知っているだけでは足りない事がある。その道具がどのような特性で効果を発揮するのかも知らなければ、悪気は無くても過失傷害になり得る。普段は子煩悩でも、抱っこの時に手を滑らせて赤ちゃんを床に落とせば、こちらもやはり虐待と過失傷害の容疑がかけられるでしょう。
以前、除光液を赤ちゃんの近くで使うと除光液の成分が気体となり、それが空気よりも重い為に下に溜まり、その気体を吸った赤ちゃんが危険な状態になるという話を聞いた事があります。便利な道具でも、機能だけを見ていては電子レンジに洗った猫を入れかねない。
何気無い事でも、これをしたら結果はどうなるかを意識しなければならないなと改めて思いました。道具は使いようです。




我が子の通う幼稚園では、先生がご褒美だと言っては子どもの手の甲に花丸や動物のイラスト等を描いてくれます。
ちゃんと保護者は子どもをお風呂に入れてやっているかの確認かなと私はひそかに思っているのですが、穿ち過ぎでしょうか。
子どもは折角の花丸だからと残そうとするので、子どもが自分で書いた肌への落書きも、それで私は気にしなくなった気がします。
…あれ、うちの子の先生、流石プロだ。

一回2億円!?

幸いな事に私はこれまで高額医療とは縁の無い人生を送ってきました。治療費の話が出来る程の身近に大病にかかった人もいない為、病院からの請求を受けた中で最も高額だったものは私が我が子を出産した時の50万円程度、それも出産育児一時金(42万円)の直接支払制度を利用したので、差額の7万円程度が私の中での最高値の医療費です。
結婚時に夫の知り合いの保険代理店の方にあれこれ勧められ医療保険には入りましたが、その証書は今のところ少々高額なお守り代わりとなっています。
こんな高額な保険に入る必要はあるのかと思いながらも、夫の知り合いの方だからと無下には出来ず加入した訳ですが、下記の記事を読んで、今は何とも無くても加入しておいて良かったと後から思う事もあるのだろうなと思い直しました。


ひゃー、こんなことが…! 結婚して気がついた予想外の出費
https://trilltrill.jp/articles/1411899

「結婚する前は自分が病気になると思っていなかったし、保険とか考えてこなかったけど、結婚して夫が倒れたりするとやっぱりお金は大事だな、治療費高いなって思うようになった。みんな若いと健康面でお金がかかることを想像していない人が多い印象」(30代/IT)

▽ 健康であることは決して当たり前ではありません。でも若いとなかなかそれに気がつけなかったりもしますよね。結婚して病気になり、初めてお金がかかることを知るそう。自分だけでなく相手の健康のことも考えるのが結婚なのです。

結婚とは自分だけでなく、家族みんなの健康の事も考えるもの。運命共同体となった夫には出来るだけ長く健康でいて貰いたいので、野菜を意識した献立を私の可能な限り用意しています。
そして上記の記事を読んだ後で、テレビニュースで驚くべき医薬品の価格を知りました。一回の投与で2億円を越える超高額な点滴があるのだそうです。


乳幼児難病治療薬 1億6707万円で了承
https://www.news24.jp/sp/articles/2020/05/13/07642391.html

薬の価格を審議する「中央社会保険医療協議会」は13日、乳幼児の難病の遺伝子治療薬「ゾルゲンスマ」を公的な医療保険の対象とし、価格は、およそ1億6707万円とすることで了承しました。国内では、最も高額な薬となります。

なお、この薬は、アメリカでは、日本円に換算すると2億円以上で販売されていて、世界一高額です。

筋力が低下する難病「脊髄性筋萎縮症(SMA)」の遺伝子治療薬「ゾルゲンスマ」が医療保険の対象となったそうです。
日本では高額療養費制度が適用され患者の自己負担はほとんど無いそうですが、それにしても何と言う高額でしょうか。また別のサイトではこのような記述もありました。


ゾルゲンスマ、保険適用を提案 1回の投与1.6億円
https://www.asahi.com/sp/articles/ASN5F3GDGN5FUTFL004.html?iref=sp_ss_date

 これまで国内最高額の薬は、昨年から保険対象となった白血病治療薬「キムリア」で3349万円だった。創薬技術の進歩で、高額な薬の開発が続いている。

不謹慎な物言いになりますが、白血病は有名人や、テレビドラマ等で登場人物が罹患する事で知名度が高い病だと思います。その白血病の治療薬の価格も相当なものなのだと知り驚愕してしまいました。もしこんな金額を請求されようものなら、我が家の貯金では賄いきれません。
「限度額適用認定証」の交付を申請すれば、こちらも自己負担はかなり減り、更に一年間に四回以上、高額療養費制度に該当すると「多数該当」と言って、自己負担分がもっと下がる制度もあるのだそうです。それでも元々の金額が高額なので、治療期間によっては我が家には相当な負担になるとは思いますが。

話は戻りますが、2億円を越えていた「脊髄性筋萎縮症(SMA)」の治療薬が保険適用となった事は純粋に素晴らしいと思います。何しろ投与対象は2才程度の乳幼児、こんなに可愛い盛りの子どもを救う事が出来るのですから。
この国の医療体制と医療保険の素晴らしさを知り、この国で暮らしている事に誇りすら感じました。医療に携わる皆さん、本当にありがとうございます。

立場が変われば

近頃メディアでは「コロナ離婚」という言葉が使われているようです。
新型コロナウイルスが切っ掛けとなった離婚の事を「コロナ離婚」と呼ぶようです。非常時だからこそ、互いの価値観の違いが顕著になる事で夫婦として今後も続けていく自信が無くなってしまい、離婚という選択肢が出てきてしまうのでしょう。
そんなコロナ離婚にまつわる記事を読んだ時に、引っ掛かるものがありました。


このままではコロナ離婚かも? 夫に憤りを覚える妻たちの生の声
https://serai.jp/living/392223

35歳女性:夫が自宅で仕事をするようになり、ずっと自宅にいるのですが、食事の用意も掃除もまったくしてくれません。私はリモートワークができない仕事なので、コロナ前と同様に出勤していて帰りも遅いです。せめて、食材の買い物や夕飯のしたくくらいしてくれてもいいのにと思ってしまいます。自宅にいても仕事をしていると分かっていますが、せめてお昼を食べた後の後片付けくらいできるでしょと思って、二人の生活にうんざりしています。

この場面を頭に思い描いた時に、これまでしばしば読んできた育児にまつわる夫婦のすれ違いのシチュエーションをふと思い出しました。この場面は、赤ちゃんのお世話を言い訳にして、ずっと自宅にいたくせに夕食を作っていない妻に苛立つ夫、と類似してはいないでしょうか。

仕事から疲れて男性が帰宅すると、自宅の中は洗濯物は畳まれていない、玩具は散らかしっぱなし。専業主婦、あるいは育児休業中で妻はずっと自宅にいた筈なのに台所のシンクには汚れた食器が残ったまま。掃除も行き届いていない。子どもの世話に追われて、自分は昼食も食べていないと妻は言う。あげく夕食が作れなかったからコンビニで買ってきて欲しいなどと、ぬかす。こっちは仕事で疲れているのに。そっちはずっと自宅にいたくせに。
乳幼児を育てた事のある人ならば、この妻の言い分はよく分かるかと思います。やった事のない人が「このくらいの家事は出来るだろう」と思う事も、乳幼児の気分や体調次第では出来ない日は出来ないものなのです。

「ずっと自宅にいるのですが、食事の用意も掃除もまったくしてくれません。」

「せめて、食材の買い物や夕飯のしたくくらいしてくれてもいいのにと思ってしまいます。」

「せめてお昼を食べた後の後片付けくらいできるでしょ」

夫がこのように妻の愚痴を匿名掲示板などに投稿した場合、投稿した先にもよりますが、私が見てきた限りではインターネット上では育児に理解のない夫側に非難の声が集まりがちです。

ひるがえって今回の記事の、コロナ離婚を考えているという女性の場合はいかがでしょうか。
自分はコロナ前と同様に出勤して帰宅は遅い時間になる。テレワークでずっと自宅に夫がいるのに、夫は掃除も食材の買い出しや夕飯の支度もしてくれない。せめて昼食後の片付けくらいして欲しいのに、それもしていない事にうんざりしている。

この妻はもしかしたら、テレワークが出来る程度の仕事ならば、片手間に家事も出来るのではないかと考えているのではないでしょうか。
この夫のテレワークがどのような物なのかは想像するしかありませんが、私が思うテレワークとは、公私の区切りがつけられず、気付いたら本来あるべき筈の休憩時間すらとれていなかった、という事もあるのではないでしょうか。
私の夫はしばしば自宅でもパソコン仕事を行います。すると夫は区切りが良い所まで進めなければ作業の手を止めず、私にお風呂を沸かしておいてと頼んでおきながら、お風呂が沸いてもパソコンの前から動かず、結果お湯が冷めてしまう事がよくありました。
アイディアが浮かんだ時にすぐに形にしておかないと忘れてしまう時などは、昼食後の食器を洗っている暇など無いでしょう。そのままタイピングする指が興に乗れば、食器を洗っていない事なども忘れてしまうのではないでしょうか。
これはしばしば多くの男性が家事を自分事として捉えていないという側面もあるのかも知れませんが、女性がマルチタスクと言われる反面、男性がシングルタスクと言われているような特性の差もあるのではないかと思うのです。
記事の夫婦の元々の家事分担はいか程だったのかは分かりません。もし、これまであまり家事を分担してこなかった夫がテレワークで在宅するようになったのであれば、仕事のペースも掴みきれていない中で新たなタスクに取りかかる事は困難を極めるのかも知れません。

仕事の内容によっては、ずっと在宅でも家事にまで手が回らない事がある。多くの女性は育児の時にその問題に直面し、時には配偶者から「この程度の家事も出来ないのか」と呆れられた人もいるでしょう。
ずっと家にいるとは言え、育児をしていれば家事は疎かになるように、仕事をしていれば家事にまで手が回らない事もあると思うのです。
記事の夫婦には子どもはいないようです。もし子どもがいたならば、妻である自分の方こそが
「ずっと自宅にいるのですが、食事の用意も掃除もまったくしてくれません。」
「せめて、食材の買い物や夕飯のしたくくらいしてくれてもいいのにと思ってしまいます。」
「せめてお昼を食べた後の後片付けくらいできるでしょ」
と言われ、離婚を考えられてしまっていたかも知れません。

NHKのドラマ「伝説のお母さん」では、夫婦でありながら「夫が仲間になった」のは最終話でした。婚姻届を出しただけでは本当の夫婦(仲間)にはなれないのだと、結婚歴十年未満の私はこのドラマで学んだように思います。
新型コロナウイルス感染拡大防止の為の自粛生活が続き、多くの方々が大なり小なり疲れてしまっているのは分かります。記事によれば、40代の方では46%がコロナ離婚を考えたことがあるそうです。せっかく縁があって夫婦になったのですから、離婚という結論を出す前に、相手の状況を一度考えてみても良いのではないかと愚考した次第です。

人の振り見て

男性から見れば、女性は家事だ生理だ妊娠だ育児だと、仕事から逃げる口実が数多くあって羨ましいのかも知れません。
勿論、別にそれらに「逃げて」仕事への責任を放棄しているつもりは女性には無いかと思いますが、大黒柱であり続けなければならないと常に重圧を感じている男性にとっては、女性はお気楽そうに見えるのではないかと思います。
ならば仕事から逃げられない男性に対してその収入をけなす事は女性にとっては、いか程の罵倒に相当するのでしょうか。
痛ましい事件が起きました。


外出自粛“家飲みゲンカ”平手打ちで妻が死亡 夫がキレた一言
https://bunshun.jp/articles/-/37457?page=1

事件当日も飲みながら仕事の愚痴をこぼしていた妻。生活への不安から話は夫の収入にも及び、とうとうこの一言を口にしてしまう。

 あんたの稼ぎが少ないのよ――。

私は結婚を機に退職し、下の子が三歳になった今でも専業主婦のままです。仕事を持っている既婚女性の割合が専業主婦を逆転した現代において、私の事を健康な成人でありながら仕事をしていないニート、あるいは寄生虫と評する人もいるかと思います。
結婚前の私は夫と同じ会社で勤務していた為、当時の私よりも高い賃金を得ている夫の事は純粋に尊敬しています。世の中に何千万円という年収の人がどれだけいようと、少なくとも当時の私よりも高い収入が夫にはあるのですから、その数字を他人と比較してどうこう言う権利は私には無いと思っています。もしも少ないなと思ったならば、私が社会復帰すれば良いだけなのですから。しかし復帰したところで、仮に以前と同じ会社に就職したとしても、以前のような給与には戻れない事くらいは容易に想像出来ます。だからこそしっかり収入を得てきてくれる夫を私は尊敬しているのです。

2020年4月5日に東京・江戸川区で起きた初老夫婦の痛ましい事件の切っ掛けは、妻からの「あんたの稼ぎが少ないのよ」だったそうです。
記事によると妻はケータリング会社に勤めていましたが、新型コロナウイルスの影響で出勤回数が減り、収入が減る事を気にしていたそうです。
元々の夫婦仲はとても良好で、一緒にお酒を嗜む時間を楽しんでいたようです。ならば妻が口にした「あんたの稼ぎが少ないのよ」という発言は、妻からしてみれば少しの不安の吐露と、ほんの軽口だったのでしょう。「お前の収入も減ったしな」という反論を期待し、「コロナが早く収まれば良いね」とオチをつけるつもりでいたのかも知れません。ところが実際に待っていたのは激高による夫からの平手打ちで、床に頭を打ち付けた事が原因の急性硬膜下血腫による妻の死亡でした。

女性はどんな男性とお付き合いをしているか、既婚か未婚か、結婚を何歳の時にしたか、子どもは何人いるか、子どもはどこの学校に在籍しているか、持ち家か賃貸か等のスペックが他の女性とのランクの上下を決める事があるかと思います。自身が努力の末に得たものではなく、配偶者や子どもが与えてくれたものまで女性は女性同士の戦いの手札にしがちです。
その一方で男性はと言うと、収入の高い低いくらいしか男性同士では競い合う事がないのではないかと思うのです。つまり、女性が思っているよりもずっと、男性は自身の収入を気にしているのではないでしょうか。
大黒柱である事を常に求められて育った年代の男性は、妻も働きに出なければならない自身の収入にも後ろめたさがあったかも知れません。仕事も楽しい事ばかりではなく、悔しい思いや辛い思いをする事もあっただろうと思います。懸命に働き、得た収入を「少ない」と妻に言われる事は、相当に尊厳を傷付けられるものなのではないでしょうか。
子どもが産めない女性を石女(うまずめ)と蔑称する言葉はありますが、男性不妊も広く知られるようになった昨今では、私の希望的観測ですが、かつて程は女性は言われていないのではないかと思います。また、夫婦だけで生きていく幸せもだいぶ認知されつつあるように思います。そもそも不妊は身体的特徴の一つなので、努力では補えないものを貶す事はまた別の問題です。女性にとってのこの蔑称も、男性の収入をけなす暴言には相当しない気がします。
収入は努力すれば必ず上がるものではありませんが、努力は必要です。また努力次第でどうにかなると思っている人も中にはいるかも知れません。特に、社会経験に乏しい人ほど「勉強しなかったせいで良い職種に就けなかったのだろう、低収入は自業自得だ」と思っているかも知れません。しかし頑張ったところで社会情勢次第では正社員への間口は減り、良い会社に就職しても収入が減る事すらままあります。
既に頑張っている人に「頑張れ」と言う事は酷な事だと、女児向けアニメのプリキュアでも触れています。事件を起こした男性は、ずっと頑張っていたのだろうと思います。しかし頑張ったところでどうにもならない壁がある事を自覚し、ずっと苦しんでいたのかも知れません。新型コロナウイルスの感染を拡大させない為の終わりの見えない自粛生活で自分でも思いの外、心が疲れてしまっていたのかも知れません。
女性は不安を誰かと共有すれば心が軽くなる人が多いのか、大した事でなくても愚痴を言いやすい印象です。一方で男性は不安を抱えていても誰かに打ち明ける事が苦手なのか、自分の胸の内におさめておいてしまう人が多い印象です。また男性は女性から愚痴を聞かされた時に、問題解決の提案をしてしまいがちだそうですが、それはつまり男性は「愚痴」を自分がされた「相談」だと感じるからではないでしょうか。
「あんたの稼ぎが少ないのよ」
これを、どうやったらあなたの収入は上がるのかという問題提起をされたかのように受け止め、答えが出せないもどかしさと、これまでの仕事上で味わってきた様々な思いが過り、激高してしまったのでしょう。

女性が不快な事をされると、今やセクハラだ何だと、○○ハラスメントと名前を付ける事が出来るようになりました。しかし、男性が「男性らしからぬ」振る舞いをした時に男らしくない、と誰かが言った時に、それをセクハラだと男性は訴える事が出来るでしょうか。「か弱い女性」は、「強い男性」には何を言っても許されると勘違いしてはいないでしょうか。
より高い収入を得る事が男性のステータスであるとするならば、あまり高い収入でない男性と夫婦になる事を選んだ女性は、それについて言及してはならないような気がするのです。今回の痛ましい事件は、女性は男性の大変さを考える切っ掛けになるのではないかと思います。
特に、私自身が夫の尊厳を傷付ける事などないよう、自分の言動に気をつけていこうと思いました。

私がこわいもの

とうとう小学校で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のクラスター(集団感染)が発生してしまいました。

富山市 小学校同じクラスの3人 新たに感染確認 新型コロナ
https://search.yahoo.co.jp/amp/s/www3.nhk.or.jp/news/html/20200422/amp/k10012400161000.html%3Fusqp%3Dmq331AQTKAGYAZu10u_Uzs7bXLABIMABAQ%253D%253D

今のところはこの一件だけのようなので、これで学校が一斉に臨時休校となった意義が周知の事となったかと思います。我が家の上の子は今年小学一年生になりましたが、勉強の遅れや学校生活の慣れへの不安よりも健康の面が心配なので、私の住む地域にコロナウイルスが蔓延する前に学校が休校となって安心しています。下の子は幼稚園年少(満三歳)になったところですが、こちらは必要な保護者のみ子どもを登園させる事が出来る自由登園となっている為、我が家は登園を自粛しており、三年保育(満三歳、年少から入園)ではなく二年保育(満四歳、年中から入園)に申し込んだのだと割り切って毎日を過ごしています。

それはさておき、この新型コロナウイルスクラスターが小学校でも発生した事で私は嫌な想像をしてしまいました。それは、きっと当該市内では児童の個人名が晒されているのだろうなという物です。
もし我が子の小学校でクラスターが発生したのであれば何年生の子が発端だったのかは街でも噂になるでしょうし、保護者同士で連絡のやり取りがあれば個人名も流れてくるだろうと思います。
自分の夫がきっかけで我が子が感染し、我が子がウイルスを学校に持ち込んでしまったのだとしたら、賃貸住宅に引っ越してきたばかりの我が家は地域との関わりが薄く、上の子のクラスの保護者とも面識が殆ど無いので私個人への影響はあまり無さそうですが、在学している当人には効果覿面です。学校が再開されてからの我が子の居場所は教室の中に無くなってしまうのではないでしょうか。学年の八割がとある幼稚園の出身者で占められ、我が子と同じ幼稚園から進学した子がほんの数人しかいない小学校である為、我が子を庇ってくれるお友だちはいないだろうと思うのです。
私たちが住んでいる地域では幸いにも未だ新型コロナの感染者は出ていません。だからこそ、いつ何時、我が家の誰かがこの地域の感染者第一号になるか分からない事を私は恐れています。

そんな折に下記の記事を見つけ、私の心も少しだけ弱ってきている事を自覚しました。

ウイルスの次に「あいつ」がやってくる 日本赤十字社が警鐘、アニメで啓蒙
https://www.j-cast.com/2020/04/22384796.html?p=all

 日本赤十字社は2020年4月21日、「ウイルスの次にやってくるもの」と題した動画を公開した。

 新型コロナウイルスの感染拡大で起きる"真の恐怖"をアニメーションで伝え、視聴者からは「人の弱いところを気づかせてくれる」「今、必要なメッセージ」などと共感を集めている。

(中略)

「恐怖は、誰の心の中にもいる。だから励ましあおう。応援しあおう。人は団結すれば、恐怖よりも強く、賢い。恐怖に振り回されずに、正しく知り、正しく恐れて、今日、わたしたちにできることをそれぞれの場所で」

私が恐れている物は何なのだろう。
このまま休校や休園が続き、子どもたちが小学校や幼稚園の空気を感じられないまま成長する事だろうか?
教科の勉強は家庭で出来ても、学校でしか体験は出来ない事があると下記の記事にありました。

「長期休校」子どもたちと学校を襲う多大な喪失
https://toyokeizai.net/articles/-/345927?display=b


就学前に何らかの保育施設を経験しなかった子は、経験した子よりも将来の収入が低くなるという発表もどこかで読んだ事があります。子どもには、子どもの社会も必要なのに、このままそれを体験させてやれない事を私は恐れている?
コロナ禍が今年中に収束しない事は多くの研究チームが予測しています。このままいけば我が子は初めての小学校での運動会の経験が出来なくなってしまいますし、遠足にだって行けません。
私の子どもたちは今年度はどちらも小学一年生と幼稚園年少、つまり最初の学年なので、仮に今年度中の学校や幼稚園の行事が全て中止になったとしても子ども心にはさほど影響は無いように思います。しかし、高校三年生や中学三年生、小学六年生、幼稚園年長など、今年度が最終学年の子にとってはいかがでしょうか。それを想像する事はとても辛く、まさにその学年のお子さんと親御さん、先生方の気持ちを思うと、いち早いコロナ禍の収束を願うばかりです。

自分や家族が新型コロナウイルスに感染する事はとても恐ろしいです。軽症で済めば良いのですが、もし重症化でもしたらと思うと、子どもを散歩に連れ出す事にも躊躇してしまいます。
子ども、あるいは私が感染し、抱っこも許されず母子が隔離されてしまうかも知れない事も恐怖です。
しかしそれ以上に恐ろしい事は、あそこの家は新型コロナに感染したと近所から非難される事でしょう。コロナ禍が収束してもなお学校で子どもが虐められたならばと思うと、何がなんでも感染したくありません。

こんな事は、他の皆だって恐れている事だと思います。にも関わらず、「感染したかも知れない」というデマが拡がり、死亡説まで流れてしまった店主さんすらいらっしゃるそうです。

「加藤さんは死んだ」デマ 本人が怒りのチラシ2千枚
https://search.yahoo.co.jp/amp/s/www.asahi.com/amp/articles/ASN4T6SV0N4POIPE01V.html%3Fusqp%3Dmq331AQUKAGYAcuG6dOu3LqgsQGwASDAAQE%253D


自分がされたくない事は他人にもしない。それが分からない人がいる、という事が恐怖ですし、私も上記の記事のようなデマを育てる一員になってしまうかも知れない事も恐ろしいです。
自分が感染したくない、という気持ちは分かります。しかし、それで感染した人や感染したかも知れない人を攻撃したのでは、新型コロナウイルスの感染者はいなくなったとしても、コロナ禍はまだまだ続くでしょう。

今日、私に出来る事は感染しないように努める事。
噂を耳にしても拡散しない事。
新型コロナウイルスを正しく恐れる事。

恐怖と向き合い、理解し、手放す。
それが出来る自分になれれば良いなと思います。

次の節目まで

送る側と送られる側、この春はどちらがより、心残りになってしまったのでしょうか。
我が家の上の子がこの春に幼稚園を卒園し、小学生になりました。幸いながら私たちが住む地域では新型コロナ感染者の報告が0だったので、日程を早め、内容も簡略化されはしましたが卒園式が行われました。本当なら在園生にも見送られる所でしたが、我が子の園では在園生は事前に録音した声のみの出席でした。来賓が無く来賓挨拶の時間が削られた事はむしろ好運とすら思いましたし、保護者から先生方へ歌のプレゼントがサプライズで行われる手筈でしたが、それが無くなった事は音痴の私には好都合でした。
私にとっては初めての我が子の卒園式。先生方にとっては何回も経験している卒園式かとは思いましたが、担任の先生が園児の名を呼ぶ時に声にならず、数秒中断するなど、先生にとってもやはり卒園式は特別なものなのだという気持ちが伝わりました。だからこそ先生方は卒園生をもっと盛大に送り出したかったのかも知れませんが、少なくとも私や我が子にとっては十分満足のいく卒園式になりました。参列者はマスク必須でしたが、おかげで涙をこらえる為に私の口許が歪んでいた事を隠せました。
しかし、そう思えるのは我が家は子どもがまだ幼稚園児だったからなのかも知れません。今春、幼稚園の卒園式がきちんと出来なくても、これから先に我が子には小学校や中学校、高等学校の卒業式が待っているのですから。

子どもの卒業というものは子育ての大きな節目です。自分はこんなに大きくなるまで子どもを育ててきたのだと保護者が実感する大切な式典だと思います。だからこそ、この春に満足のいく卒業式が出来なかった子どもたちと、その親御さんたちの気持ちを思うと切なくなります。Eテレ「Eダンスアカデミー」7期生の卒業講演が無観客の中で行われた事には、時々しか視聴していなかった私ですら無念さに涙が出てしまいました。本来なら7期生には会場いっぱいの観客から拍手が贈られた筈なのに。
卒業式は「これで終わり」という明確な区切りです。それが無いままでは気持ちの切り替えが出来ず、宙ぶらりんのまま放り出されたような気持ちになってしまった人たちも少なくないのではないでしょうか。

それでも、ふと思う事があります。急な休校や卒業式が無くなった事で救われた人もいるのではないかと。春休みや新学期にこれまで所属していた集団と接触しない大義名分が出来て助かった人もいるのではないかと。
緊急事態宣言が全国に拡大され、5月6日まで休校のお子さんも増えたかと思います。例年、ゴールデンウィーク明けに子どもの自殺が報道される事がありました。子どもの自殺の原因は様々にあろうかと思いますが、もし学校の事が自殺の原因であるならば、今年はその件数がとても少なくなる事を期待します。
生命さえあれば、次があります。きちんとした卒業式がこの三月に出来なかったとしても、次の人生の節目がいずれやって来ます。しかしそれも、無事でいてこそ。
「家にいて良いんだ」
何の罪悪感も無しに家で過ごせる今だからこそ、家で出来る範囲ではありますが、その子らしさを獲得して欲しいと思います。

その一方で、自宅が安心できる場所ではない子もいるかと思うと心が締め付けられる気持ちになります。このコロナ禍において離婚やDV、虐待の件数が増えているとテレビニュースで報道されていました。
どうか、より多くの人が次の節目を笑顔で迎えられますように。それまでは、自分に出来る精一杯で過ごしていこうと思います。

とつきとおかの絆より

赤ちゃんは父親と母親、両方から人体の設計図(DNA)を半分ずつ貰って受精卵となり、その後は母親から酸素や栄養を供給され細胞分裂を繰り返し大きく成長していきます。
母親は受精前から数日単位でホルモン値が変動し赤ちゃんを育てる準備を進め、胎内に赤ちゃんが宿ってからはこれまで自身に蓄えていたカルシウムやら何やらを消費して赤ちゃんを育てます。いわゆる十月十日(とつきとおか)、母親は赤ちゃんを胎内で育て、出産してからは授乳などもあり密着の機会は父親よりも多い為、子育ては母親の役目とされてきました。
母親は赤ちゃんと、これだけ父親よりも長い期間一緒にいると言うのに。嫉妬にも似た感情が下記の記事を読んで沸き上がりました。

父親の食事は遺伝子レベルで子どもに影響。そのメカニズムとは?
https://trilltrill.jp/articles/1383028

研究グループは、動物実験によって親が摂取したたんぱく質の量に差をつけて、子どもの遺伝子の機能にどんな変化をもたらすかを分析しました。

こうしてわかったのは、父親のたんぱく質摂取が低レベルである場合に、子どもの肝臓の遺伝子に変化が見られ、このために新陳代謝に影響が及んでしまう可能性があるということでした。詳しく調べたところ、低たんぱく質の影響は父親の精巣の生殖細胞に現れていました。生殖細胞の変化は精子の変化に、さらに卵子との受精後、受精卵の変化につながります。結果、子どもの遺伝子にも影響するメカニズムが考えられました。

父親からの設計図も合わさって初めて受精卵になるのですから、父親からの遺伝の要素が赤ちゃんに出る事は当然なのですが、人によっては受精の時にしか関わらない父親からこんなにも影響を受けるものなのかと私は何だか悔しい思いに囚われてしまいました。
母親は妊娠するとあれを食べろ、これは食べるなと沢山の制限を受けます。私などは妊娠糖尿病のせいで糖質制限を受け、かなり窮屈な食生活を送るよう医師から指導されたものです。
身体も思うように動かせず、赤ちゃんという異物を攻撃しないよう免疫力も弱くなり、赤ちゃんを育てる為にすい臓ホルモンのインスリンの量が減るせいで自身の血糖値が上がりやすくなり、色素沈着や妊娠線(線状皮膚萎縮症)、胆汁の流れが悪くなるとひどい痒み(妊娠性掻痒症)にも母親の中には悩まされる人もいます。
ホルモンに振り回され生理に悩んだり、妊娠しやすい身体作りを心がけていたりする人も少なくないと思います。妊娠前も妊娠後も女性は頑張らなくてはならない事が多数あるというのに、男性は父親になる前の食生活が赤ちゃんの新陳代謝を左右させるというのは、女性として何だか面白くありません。十月十日(とつきとおか)の間に築き上げる母親と赤ちゃんとの絆よりも強い影響を父親は赤ちゃんに与えるのですから。

かつては「畑(女性)」の状態さえ良ければ子は授かれると思われていましたが、ここ近年は「種(男性)」の方も健康でなければならないと言われるようになってきました。
男性の中には自分の体調が赤ちゃんに影響を及ぼすものではないと油断して生活している人がいるかも知れませんが、自分の子どもの将来の新陳代謝能力を気にするのならば、ぜひ子作りの前から健康的な食生活を心がけるべきではないかと思いました。