xharukoの日記

妊娠、出産、育児の中で思った事をつれづれ書きます

あれを3回…

2018年5月10日、衆院議員の加藤寛治氏(自民党)は所属する細田派の会合で、結婚披露宴に出席した際「必ず3人以上の子どもを産み育てて頂きたい」と呼び掛けていると紹介したそうです。
また披露宴では若い女性に対し、「結婚しなければ子どもが生まれないから、人さまの子どもの税金で老人ホームに行くことになる」と説いているとも話したとの事で、この発言内容がセクハラ、女性蔑視だと炎上し、後に加藤氏が「誤解を招いた」と謝罪と発言撤回のコメントを出しました。

結婚しなくても子どもは作れますが、それはさておき。
確かに一組の夫婦が子どもを3人産み育てないと人口がどんどん減ってしまい国力が衰退します。
発言内容は至極当然ではありますが、私的な場で言うならまだしも、それを政治家としての場で言ってしまった事が問題なのだと思います。

女性は男性よりも平均寿命が長い事から若い女性ばかりにこうした話をしているのかも知れませんが、
3人産ませてくれる、産んでみようかと思わせる国にしていないのは自分(政治家)なのに、国民、しかも女性にばかり責任を押し付けている言い回しも反感をかったのでしょう。


ネット上ではこの加藤議員の家族構成を検索する人が出ており、自身の子どもは6人(娘5人と息子1人)だそうですが、孫はまだ18人にはなっていないと揶揄されています。

「必ず3人以上の子どもを産み育てて頂きたい」までが多くのニュースで取り上げられていますが、

「披露宴では必ず新郎新婦に3人以上の子供を産み育てて頂きたいとお願いする。結婚すれば、必然的に、必ずと言っていいほど子供が誕生する。日本の国の礎は子供だと考えている。いくら努力しても子供に恵まれない方々がおり、無理を言うのは酷だ。そういう方々のために3人以上が必要だ」

と続いているようです。

産める奴は3人産めと言っているのは変わりませんが、私がこの発言に反感を抱かないのは、私が子どもに恵まれた人間で、かつ自身の子ども時代にきょうだいの中で楽しく育ったが故の「夫婦には子どもが複数」の肯定派だからだと思います。

でも自分の子どもは2人が限界です。

自分や家族の年齢、体力、保育園入園の為の活動の困難さ、既にいる子が健常児かどうか、職業、収入、貯蓄、家の間取り…様々な方が様々な場所で様々な「無理の理由」を挙げている中、敢えて書くなら私は

「あの痛みをまた味わうのは嫌だから」です。


医療技術が進んだ現代でさえ出産時の死亡事故がなくならないのです。
2002年には84人、2009年には53人の方が妊娠出産およびこれらに関連する病気が原因で亡くなっているそうです。
(多いなと思った年の数字を拾いました)
日本の妊産婦死亡率は10万人中3~5人の割合と世界的には低い数値とはいえ、自分がその3人にならない保証はないのです。

次に産むとしたら高齢出産になるので危険性はこれまでよりも高くなり、いま私が死んでは、まだ幼い我が子たちが心残りでなりません。
また子どもたちが自分で食事を用意できる年齢になるまで待っていたら私が閉経してしまいます。


第一子出産時、陣痛で苦しむ私を目の当たりにした夫は「コイツこのまま死ぬんじゃないか」とすら思ったそうです。

いつ来るか分からない陣痛を待つ心境は、時に死刑囚になったかのような錯覚を起こさせ、
隠せ隠せと言われて育った秘所を異性も含む大勢の人前に晒し、
これまでの人生でなかなか体験しえないレベルの痛みをあられもない姿で味わう。

しかも妊娠中は体調に異常をきたし、産んだら産んだでそれで終わりではなく、様々な痛みが女性にだけ襲いかかり、その後も子どもが大きくなるまで数々の苦労に立ち向かわなければならない。

産後直近の痛みと言えば後陣痛(産後の子宮収縮の痛み)がありますが、それは出産を重ねる度に威力が増すらしいので、きっと3人目の時の後陣痛は2人目の時よりも痛いのでしょう。

それでも3人以上の子どもを産む人は余程の子ども好きか、経済的に余裕があるか、加藤寛治議員のように何か壮大な目的があるに違いない。

我が家は子どもが男女揃った事もあり「次こそは」という情熱もないので、教育費と自分たちの老後資金を考えると子どもは2人で打ち止めです。


第一子の産後、実母に
「産んでくれてありがとう」と伝えました。

母はこんな痛みを何度も乗り越えた。
自分が体験したからこそ素直に言え、世の中の子どもが3人以上いる女性を心から尊敬します。


ネットで炎上している加藤寛治議員への苦言のひとつに
「自分で1人でも産んでから言え」
というものがあったとか(笑)

加藤議員には子どもが6人?

凄いのは加藤氏ではない、奥様です!

あの痛みを6回…
加藤寛治議員の年齢から鑑みると時代的に子ども6人は普通の範囲なのかも知れませんが、私は経産婦として加藤氏の奥様を尊敬します。

男性が子どもを仕込むのは簡単ですが、女性が子どもを産むのは、時に自分の命と引き換えなのです。
あの痛みを知らないくせに「産んで欲しい」などと、夫でもない男性が言わないで頂きたい。


【そもそも、お産はどれくらい「痛い」? 医師に聞く「痛みの正体」】

https://www.buzzfeed.com/jp/seiichirokuchiki/painless-delivery?utm_term=.pjk8zpewz#.nvkbz6KDz

という記事で北里大学医学部新世紀医療開発センター周生期麻酔・蘇生学准教授の加藤里絵医師が言うには

【お産の痛みは、がんによる痛みや関節痛など、とても強い痛みとして知られている痛みよりも、さらに強いとする研究結果もあります】

との事。

真偽のほどは定かではありませんが、男性が出産の痛みを味わうとショック死するらしいとか。

3人目を育てられない理由の第一位は収入ですが、何より私はあの痛みはもうこりごりです。

子どもは国の為に産むのではなく、自分の幸せの為に授かるものなのですから、こんな我が儘もご容赦下さい。



あと初回で帝王切開だった人は2回目は子宮破裂の危険があるのでまた帝王切開になり、3人目を妊娠すると「いい加減にしろ」と医師に怒られるらしいです(子ども3人を帝王切開で産んだ人の体験談)。