簡潔に、率直に
「どうやって赤ちゃんが生まれるの?」という素朴な疑問に答える本、物議をかもす
という記事を読みました。
フィオナ・カタウスカス氏が描いた絵本『The AMAZING True Story of How Babies Are Made(赤ちゃんがどうやって生まれるのかについての驚きの本当の話)』がオーストラリアで話題になっているようです。
本文を日本語に翻訳したものが以下。
「セックスと赤ちゃんを作ること」
卵子と精液が一緒になるためには、男の人と女の人が一緒になる必要があります。キスから初めて、服を脱いでお互いに触り合うでしょう。大人にとって、それはとてもわくわくすることです。そしてすぐに女の人のヴァギナは濡れ、男の人のペニスは、気持ちは全く違いますが、小さな男の子が勃起するときのように硬くなります。
男の人がペニスを女の人のヴァギナに滑り込ませると、二人の体はパズルのようにぴったり合います。
これが、私たちがセックスをするとか、愛し合うと呼ぶことです。
あまりにも率直な文章に清々しささえ感じました。
結論から言えば私はこの絵本を支持します。
簡潔でいかがわしさが全く感じられず、イラストも可愛らしく、かつ正確で、思春期の子が読んでも「こんなに気持ち良い事なら試してみようか」という興奮した気分にはならないような絶妙なライン。
幼児にとって自分の下にきょうだいが産まれる事は、卑猥な事とは繋がりません。
一番性教育に抵抗がない年頃の子どもが素直に抱く、赤ちゃんはどうやって出来るのかの疑問を解決するために読む正しい性知識を得る為の本として、非常に適している絵本だと思いました。
敢えて指摘箇所を挙げるとすれば、以下二点。
「そしてすぐに女の人のヴァギナは濡れ」
すぐには濡れないかなぁ…
「男の人のペニスは、気持ちは全く違いますが、小さな男の子が勃起するときのように硬くなります。」
気持ちは全く違いますが(←!?)
男性側は気持ちが伴わないまま行為している設定なのか?
それとも男児が勃起する時の「何これ面白い」という単純な興味の気持ちとは異なり、興奮した気持ちになって、という意味なのでしょうか。
余談ですが男児を育てて一番驚いたのは1才になる前でも何かの拍子に割りと頻繁に性器が勃起する事です。
赤ん坊のくせに包皮の中でとはいえ亀頭部が変形してくる様は「男の子ってちゃんと男なんだなぁ」と感動すら覚えました。
またイラストでは女性が上側になっている事が衝撃でした。
こういう物はいわゆる正常位で描くものだと思い込んでいたもので。
それともオーストラリアではこちらの体位がポピュラーなのでしょうか。
更に続きでは、
男の人がペニスを女の人の中に入れて上下に動かすと、二人ともぞくぞくして、ワクワクして、とても愛情を感じるようになります。
その気持ちがどんどん強くなると、男の人の動きはどんどん速くなって…
「位置について、よーいどん!」
男の人の睾丸にためられている精液はペニスから出て、女の人の中に発射されます。
ぞくぞく…した事がありません(苦笑)
これは私個人の問題なのでしょうが、セックスとはどんなに素敵で興奮する気持ちの良いものかと期待していた分、騙された気持ちになりました。
だからこそエロ本を見ても「こんなの嘘ウソ」と笑えてしまうのです。
この絵本では出産シーンもはっきり描いています。
簡潔なイラストながら赤ちゃんが出てくる方法が非常に分かりやすいと思いました。
著者のカタウスカス氏によると「『赤ちゃんはどこからきたの?』という子どもからの質問に両親は困るだろうので、ユーモアをたっぷり入れれば、答える恥ずかしさが和らぐだろうと思いました」との事。
小学校高学年の子どもたちに生理の仕組みを教える前に、こうして幼児期から簡潔で率直なイラストで子作りの全体像を教えておいた方が、かえっておかしな方向に興味が向かず良いと思います。
また、コウノトリが運んできた、キャベツ畑から生まれたと教えておいてからの生理の生々しさはギャップが大きすぎます。
小学生や中学生で初めての性体験を経験する子どもは、心に寂しさを抱えているからだと聞いた事があります。
少女漫画では好きな男性と繋がる為のゴールのような描かれ方をしますが、セックスは恋愛の集大成ではなく、そもそも「子どもを作る行為」です。
幼児期からそう教えれば、満たされない寂しさを埋めるための早期性体験は減るのではないでしょうか。