xharukoの日記

妊娠、出産、育児の中で思った事をつれづれ書きます

夜泣き外来に思うこと

もしも私が宝くじで何億円も当選したら、夜泣き小屋を作ろう――

私が下の子の新生児期間に抱いていた妄想です。

赤ちゃんに夜泣きされて集合住宅に居づらい方を対象に、産科病棟の育児トレーニングルームにあったような設備を整え、夜泣き対応で疲れた保育者に、赤ちゃんを夜間に泣かせても安心できる場所を提供し、少しでもストレスを減らす手伝いをしよう。
それこそがノブレスオブリージュ(持てる者の義務)である。

私のそんな妄想を、医学的にきちんと対応しようとした病院の記事を見つけました。


赤ちゃん専用「夜泣き外来」 親の精神的負担緩和にも期待

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180730-00000003-kobenext-sctch


赤ちゃんは夜中にしばしば目を覚ましてよく泣き、不機嫌になる。このような睡眠障害が疑われる乳幼児を対象とした「夜泣き外来」が7月、兵庫県リハビリテーション中央病院(神戸市西区曙町)に開設された。発達障害の予防や早期発見にもつながるほか、眠れない親の精神的負担を和らげて虐待防止にも効果が期待される。全国的にも珍しい診療部門という。


良質な睡眠は人の心に余裕を与える。
逆に言えば、寝ないと判断力がおかしくなる。健康的な生活には適切な睡眠は欠かせません。
乳児への虐待はその原因の殆どが、思い通りにならない事、ひいては満足に寝る事が出来ないストレスのせいだと思っています。

「二時間しか寝てないわ」
「実質一時間しか寝てないならなー」
などと寝ていないアピールをする画像がインターネット上で有名ですが、育児中では眠りたいのに連続で二時間も眠れない日々が場合によっては数か月続きます。
なぜ眠れないのかと言うと、泣き声が純粋に騒音になる事もありますが、赤ちゃんを泣かせたままにしておくと近所から虐待を疑われるからでもあると思うのです。
早く赤ちゃんを泣き止ませないと近所の人から騒音で苦情を言われるかも知れない。泣き止ませたいのに泣いている原因が分からない。これは育児初心者にとって相当のストレスです。
だからこその夜泣き小屋です。

夜泣き小屋については、既にこちらの方が構想を公開していらっしゃいます。


こんな場所があれば…「夜泣きする赤ちゃんを抱えるお母さん」をテーマにした漫画に共感の嵐

https://irorio.jp/kaseisana/20170329/393487/


扉を開ければ、夜泣きと戦う仲間がいる。
こんな施設が全国各地にあれば虐待が減るかも知れないのに。このたび開設された病院の夜泣き外来には、沢山の方々の期待が寄せられるのではないかと思いました。


私が夜泣き小屋を思い付いたのは上の子である娘の育児経験があっての事です。

我が子がいかに育てるのに楽な子だったかは後から知りましたが、そんな事は知らない新米ママの頃、たった一夜、何をやってもぐずぐず泣かれ、娘が日没から夜明けまで殆ど寝てくれない日がありました。

私は里帰り出産で、実家で実母の完璧サポートを受けていながらの上膳据膳の産褥期を過ごしました。
勝手知ったる実家とその近所、外に出れば私を小さな頃から知っているおばさまおじさま達にちやほやされる環境。自分だけで我が子の世話をするのは夜間だけ、という好条件でした。
実家は田舎の一軒家で、隣近所に赤ん坊の泣き声での迷惑はかけない立地、私と赤ん坊が使っていた部屋は他の家族の寝室からも離れていたので、さほど泣き声が迷惑にはならない間取り。
にも関わらず、赤ん坊を泣かせたままにしておいてはならない、こんなに寝ないなんて赤ん坊の身体に良い訳がない、早く寝せなければならないと焦燥感にかられ必死にあやし続けたあの夜。
私が我が子に手をあげずに済んだのはきっと、夜が明けて実母が家族の朝食を作り終えれば赤ん坊を託せるという希望があったからです。
そして午前7時、実母に娘を託し泥のように三時間眠りました。

夜が明ければ。
夜が明けさえすれば、私は眠れる。
それが私にとっての夜泣きのゴールでしたが、世の中にはそのゴールのない人が大勢いる事を知りました。
その孤独と絶望感はいか程のものなのか、私にははかり知れません。

第二子である息子の夜間授乳中、上の子の新生児期を思い出し、夜泣き小屋の運営の妄想をしては眠気をやり過ごしました。
(上の子の時の長い夜のおかげか、下の子の新生児期は本当に楽でした)
赤ちゃんの夜泣きで眠ることが出来ないのならば、せめて育児者を「早く泣き止ませないと」というストレスからは逃がしたい。

どうか兵庫県リハビリテーション中央病院が、この地の夜泣きと戦う人々の太陽となりますように。