xharukoの日記

妊娠、出産、育児の中で思った事をつれづれ書きます

男だから、女だから

驚くべき研究論文がアメリカで発表されました。

女性の心臓発作、男性医師担当で死亡率増 米研究

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180807-00000013-jij_afp-int

【AFP=時事】米病院の緊急治療室に心臓発作で搬送される女性患者の死亡率は、女性医師よりも男性医師が担当した場合の方が高いと注意喚起する研究論文が6日、発表された。

(中略)

 米ハーバード大学(Harvard University)などの研究チームは今回、患者と担当医師の性別が一致しているかどうかによって、生存率に「明らかな」違いがみられることに気づいた。

 米科学誌「米科学アカデミー紀要(PNAS)」に掲載された論文によると、女性患者を女性医師が治療した場合に、その生存率に「有意なプラス効果がある」という。


男性医師が女性患者を治療するには難しさを感じている。それは女性の症状が男性の症状と異なる事などが理由として挙げられ、男性医師が在職中に治療に当たる女性患者の数が増えれば増えるほど、その医師が担当する女性患者の死亡率が減少するらしい。

つまり男性医師が女性患者の生存率を高めるためには多くの経験が必要となり、男性医師がその段階に辿り着く為には多くの女性患者が踏み台にならなければならない。
女性患者には最初から女性医師が対応した方が、患者全体の生存率は上がるという事です。

一方日本では女性を医師にはさせまいとする動きが続いていた事が明らかになりました。

東京医大、女子受験生を一律減点…合格者数抑制

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180801-00050116-yom-soci


東京医科大(東京)が2018年2月に行った医学部医学科の一般入試で、女子受験者の得点を一律に減点し、合格者数を抑えていたことが関係者の話でわかった。女子だけに不利な操作は、受験者側に一切の説明がないまま2011年頃から続いていた。
(続報によると女子受験者のみ減点という事ではなく、全員まず一律で減点し、三浪以内の男子受験者のみへ加点が行われていたようです)

以前から女子受験者は男子受験者よりも点数を取らなければ合格できないと、予備校などで公然と言われていたようです。

この報道に対して医師でタレントの西川史子氏が2018年8月5日放送のTBS「サンデージャポン」に生出演し、東京医科大医学部医学科の一般入学試験で女子受験生の得点を一律減点していたとされる問題を「当たり前です」と発言しました。


西川史子 東京医科大の女子受験者一律減点は「当たり前。女性と男性の比率は考えないと」

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180805-00000078-spnannex-ent


マタニティハラスメントを最も受ける職場は医療の現場なのかも知れません。
人の命を預かる現場において当直や休日出勤、緊急の呼び出しなど当たり前。臨床現場は常に人手は足りておらず、何日もまともに休めないブラック職場だと言われます。
女性医師は結婚、出産、育児を契機にいったん職場から離れることが多いため、臨床現場では「戦力になりにくい」と見られてきたそうです。
一般の会社ですら産休に入られては残された人たちへの負担が大きくなるからと煙たがられるのですから、過酷な労働環境である臨床現場では言わずもながでしょう。
患者側としてもある日、主治医が産休に入るからと病院から姿を消せば「匙を投げられた」「責任感がない」と苦情を言いたくなるだろうと容易に想像できます。

8月5日放送のTBS「サンデージャポン」では西川史子氏が以下のように話したそうです。

女性医師の割合が増えたら「世の中、眼科医と皮膚科医だらけになっちゃう」と医療の現場を知る者として指摘。「重たい人の股関節脱臼を背負えるかって言ったら、女性は無理なんです」と具体例を挙げて説明し、「(女性は)外科医は少ないです。外科になってくれる男手が必要なんです。おなかが大きくては手術はできないんです。だからやっぱり、女性と男性の比率はちゃんと考えてないといけないんです。男性ができることと、女性ができることって違う」と主張した。


女性医師の多くが皮膚科、眼科、麻酔科、病理科など、残業が少なく仕事と家庭生活のバランスがとりやすい診療科に流れると言われてきました。
しかし臨床現場で必要とされているのは当直や休日出勤、緊急の呼び出しに対応できる人材、長時間労働を強いられる外科、救急などの診療科で、土日や夜間の勤務は育児との両立は困難です。

こうしたことから、医学部入試の段階から女性を抑制することを必要悪と考えるのは当然だと言えるでしょう。
臨床現場で必要とされているのは産休や育休を使わなくても差し支えない、西川史子氏の言葉を借りれば体格の良い患者の股関節脱臼を治せる人材、つまり男性医師なのです。

男女平等が叫ばれていますが、やはり男性ならでは、女性ならではの仕事は世の中に数多あると認めなければなりません。それは不平等ではなく、適材適所なのです。
それと東京医科大の入試の点数操作は別問題ですが、一連の報道の中で臨床現場ではおそらく「男性医師の数を増やす努力として、この程度の事は当然だろう」という空気があるのではないかと推察します。


私自身はあまり病院の世話になる事はなかった為、例えが産婦人科になってしまうのですが、個人的な印象としては女性医師よりも男性医師の方が優しかったような気がします。
産婦人科で自分が女性医師に診察してもらえると分かった時には「うわー女医さんだー(嬉)」と安心しました。
やはり相手は医師とはいえ夫以外の男性に女性器を触られるのには抵抗があった為、女性医師に診て貰えるのは単純にありがたいと思いました。
またこのような地方に産婦人科の女性医師は少ないだろうと思っていたので、女性の身体を同じ女性の医師に診て貰える場面は憧れでもありました。
しかし単なる経験値の差だと思うのですが、若い女性医師による内診は、これまで受けてきた内診よりもやや苦痛でした。

思えば産婦人科の男性医師は、出産という自分では到底経験できない出来事をする女性を相手にしているのです。人体という構造を学べば学ぶほど生命の神秘におののくと聞きます。私を診察して下さった産婦人科の男性医師はこれまでに5人。年代は様々ですがその5人ともが、出産を控えている女性に対してどこか敬意を抱いている印象だったなと、女性医師の診察を受けて思ったのです。

女性医師の「こんな事は当たり前(妊娠出産は病気ではない)」と言いたげな口調を聞きながら思い出したのは、一番始めにお世話になった個人病院の産婦人科の中年の男性医師でした。
(里帰り出産のため妊娠中期から実家近くの総合病院に転院しました)
私は子どもの頃に風疹にかかっていたため妊娠初期の風疹抗体検査の数値は自己免疫のおかげで非常に高い結果が出たのですが、それを見た男性医師から出た言葉は「エクセレント!」でした。

初めての妊娠で先の事が分からず不安だった気持ちが、その軽快な口調で吹き飛びました。そのたった一言が私を「エクセレント」な存在に引き上げたのです。
その後の診察でも男性医師は事ある毎に
「ん、赤ちゃん元気!お母さん頑張ってるね!」(別に何もしていない)
「お、髪切ったの? 育児準備、張り切ってるね、良いよ良いよ~」
などと常に妊婦がポジティブになれるよう気分を盛り上げて下さった思い出があった為、憧れていた女性医師による診察とのギャップに戸惑ったものです。
他の男性医師もタイプは違えど「良いねー」「ごめんねー、ちくっとするよー」など一声一声に患者に寄り添おうという気持ちを感じました。
(もしかしたらこれを「おだてれば良いと思ってるんでしょ」と、馬鹿にされたと感じる女性もいるのかも知れませんが、私は好意的に受け取りました)

産婦人科で女性医師の診察を受けたのは後にも先にも一度きりなのでそれらの印象は性格や経験の差なのだろうと思いますが、初めての女性医師による産婦人科の診察は、女性医師だからこそ同じ女として理解してくれるのではないかという期待を肩すかしされてしまった印象でした。


女性に医師は向いていないという訳でも、産婦人科の医師は男性こそが向いているという話をしたい訳ではありません。たまたまそういう捉え方をされるおそれの経験を私がしたというだけの話で、女性医師だから産婦人科に向いているとは限らないとだけ思ったのです。
体格の良い患者の股関節脱臼を治すように、男性だから向いている事、女性だから向いている事、という区別はあって然るべきだと私は考えます。
女性の医師も冒頭のアメリカの研究で明らかになった通り必要で、腕力を要する現場では男性医師が求められているという適材適所の話で、これは男女差別ではないと思います。

いずれにしろ今の日本の臨床現場で改善するべきなのは一般の会社にも言える事ですが、女性が産休育休を取得してもびくともしない、男性ばかりに休日出勤や緊急の呼び出しを強いなくても現場が回る人員体制なのでしょう。
その上でもう一歩、性的役割分業は必要な事なのだと思う次第です。入試の点数操作はあってはならない事だとしても。



女性医師の離職率の高さが原因ならば、新たに女性医師をどんどん追加して欠員を補い続ければ良いのではないかと短絡的に考えるのですが、いけないのでしょうか。