xharukoの日記

妊娠、出産、育児の中で思った事をつれづれ書きます

いいから黙って!

2018年8月12日放送の「HUGっと!プリキュア」第27話「先生のパパ修行!こんにちは、あかちゃん!」にて、主人公の担任の先生の奥さんの出産シーンが放送されました。
近年だけでもTBS「コウノドリ」、NHK「透明なゆりかご」など出産にまつわるドラマは数多くありますが、これほど丁寧に出産場面を描いたアニメを私は初めて観ました。

第27話「先生のパパ修行!こんにちは、あかちゃん!」は、もうじき子どもが産まれる担任の先生が主人公の父に「良い父親」になる修行をつけてもらう、という話でした。
その修行の最中に奥さんの陣痛が始まり、慌てて産院へかけつけ奥さんの姿を見つけ、あれこれ訊ねる先生に
「騒がない!どっしりする!」
と産科の医師がピシャリ。
まずここで私は胸のすく思いをしました。一番痛くて不安なのは妊婦本人なのに、付き添いでしかない男性におろおろされるのは私が妊婦なら不愉快です。

担任の先生は立ち会い出産のため、LDR室(陣痛Labor、分娩Delivery、産後の回復Recoveryを同じ部屋で行う部屋)で奥さん(ゆかさん)にその日の父親修行の報告をします。

「ゆか、赤ん坊はな、腰で抱くのだそうだ」
「あと紙オムツも買って…」

ここまで言ったところで被せぎみに

「いいから黙って! 手…握ってて!」

と奥さんに叱られる先生に、娘と一緒に観ていた私は吹き出しました。

「いいから黙って」
先生があれだけ頑張って会得した父親修行の内容を奥さんは話させてくれない。
普通なら一通り話させて
「うんうん、そうなの、あなたも頑張ったのね、一緒に赤ちゃん育てるの頑張ろうね、頼もしいわパパ……うっ!」
となりそうな所を「ごちゃごちゃぬかすな黙れ」とピシャリ。
女児向けなのに、なんてリアルな出産シーンをこのアニメは描くのかと心底感心しました。


立ち会い出産を希望する方も多いと思いますが、私は二回の出産ともそれを望みませんでした。
責任ある役職、ワーカホリック気味な夫は仕事に励み、私は自分の仕事である出産に励む。これは夫婦の役割分業だと思っていたからです。
そのため、第二子の時には子どもが産まれてから夫に電話して欲しいと助産師さんにお願いし、その通りにして貰いました。どのみち産後一時間経過しないと夫は産まれたばかりの我が子に会えないと、同じ病院で産んだ第一子の時に経験しましたので。
陣痛が何時間かかるかも分からない中で夫に長時間職場を離れさせる意義を見いだせず、立ち会い出産は最初から提案しませんでしたし、夫も言い出して来ませんでした。
…というのは建前で、自分が苦しんでいる横で、この痛みを一生涯知る事のない人間を見るのはイラつきそうだと思ったからです(笑)

出産で辛い中、配偶者がいてくれて心強いと感じる人もいれば、私のように
「痛いのは私なのに、自分も痛そうな顔すんなやボゲェ」
と思う人もきっといるでしょう。
だからこそ「HUGっと!プリキュア」にて陣痛中、先生が修行で会得した育児技を得意気に報告している最中に
「いいから黙って!」
と黙らせた奥さんの場面は個人的に非常にすっきりしました。
実際に、第一子の陣痛中に付き添ってくれていた夫が私に話しかけてくれていた言葉に返答できる程しっかりと聞いていられる余裕は、私にはありませんでした。痛みの波が来ている時は眼球すら動かす事ができないくらい、いきみ逃しに いっぱい いっぱいだったので。

できる事なら待合室にいる主人公たちに
「長いね…」
「もう何時間も経ってるのに」
という会話があれば最高でした。
昼間の光から日が傾きつつある光に色彩が変わった事で時間の経過は表現していましたが、もう一押し、言葉でも、出産には時間がかかる事を子どもたちに伝えて欲しかったかなと思いました。


実際に弟や妹が産まれる場面に立ち会える子どもはそう多くはないと思うので、
HUGっと!プリキュア」第27話「先生のパパ修行!こんにちは、あかちゃん!」の回は全国の子どもたちにとって本当に良い教材になったと思います。
これから出産を控えている方は、パートナーに観せて立ち会い出産の予行練習にも役立つかも知れません。



あと気になったのは担任の先生が買い込んだ大量の紙オムツ。まさかあれ全部、新生児サイズじゃあるまいなと他人事ながら不安になりました(笑)