xharukoの日記

妊娠、出産、育児の中で思った事をつれづれ書きます

【Miss デビル第6話】私は己の権利を行使しました

今回は「Miss デビル 人事の悪魔・椿眞子」(日本テレビ)の感想です。
録画しておいたドラマをようやく視聴しました。

「Miss デビル」とは、悪魔のように恐ろしく美しい女上司の元に配属された新入社員の男性を主人公にした、保険会社を舞台にしたドラマです。

人材活用ラボという人事部管轄の新設部署へ配属された新人が、各部署へ研修として赴き、その部署の中からリストラ候補を挙げるよう指示される…というのがドラマ前半の流れでした。

2018年5月19日(土)に放送された第6話では、リストラ候補を探すのではなく「外から見える自分の会社を勉強して来て下さい」と、主人公は会社の顔とも言える宣伝広報部に行くよう指示されます。

テレビ局が主人公の会社の子育て支援制度を取り上げる事になりました。

密着取材を受けるのは産休育休を申請している宣伝広報部の妊娠中の女性。

その女性に女性課長が仕事をふろうとすると、妊婦に無理をさせてはならないと男性部長が課長を叱責し、その度に女性が殆どの部内には不満がどんどん溜まっていく。

「そんなの他の女子に頼んでよ」と過剰に妊娠女性をかばう男性部長こそがマタニティハラスメントの原因だと感じた主人公は、男性部長をリストラすべきだと上司に進言します。

悪魔は言います。
「あなたには、会社を辞める権利があります。どうされますか?」

今回言われたのは…


「Missデビル」第6話、マタニティハラスメントの回のあらすじでした。

発言だけをまとめると、妊娠女性が働き続けられるよう、男性部長は非常に妊娠女性に気を使っています。

部長が妊娠した女性を過剰にかばう度に周囲の女性たちから不満が溢れ、妊娠女性と同様、観ている側もいたたまれない気持ちになりました。


私は妊娠を機に退職しました。

妊娠すると思わぬ体調不良で同僚に迷惑をかける事があります。
以前と同じようには動けなくなり、自身の労働力が低下します。
妊婦健診のために4週ごと、2週ごとに平日に病院に行かなくてはなりません。
切迫流産など、妊娠経過によっては医師より急に入院や自宅安静をするよう指示される人もいます。それでは仕事の引き継ぎもままなりません。
(私は第一子妊娠中に自覚症状もないのに即日入院を言われましたが、産科では珍しい事ではありません)

また産休育休を取得するという事は、その間の自分の仕事は他の誰かに上乗せされ、負担をかけてしまいます。
(育休が明けても保育園に空きがなくて復職できないという別の問題が発生する時もあります)

会社が欠けた人員を増やして対応した場合、育休から復帰してきた時にこれまで働いてくれていた人の処遇はどのようにすれば良いのか。雇い止めするのか。
(だからこそ職場復帰後にこれまでの会社でのポストがなくなり閑職へ、という問題もあります)

職場復帰しても子どもはすぐに体調をくずし、看病の為の急な欠勤によって会社に迷惑をかけてしまいます。

また保育園や学童保育の時間の都合上、これまでのような残業や出張もできなくなります。


仕事に穴を空けさせてはならない。
私が抜けたらすぐに会社が人員を補充できるよう、勧告された訳でもなく、私は自分の意志で会社を辞める権利を行使しました。

夫は激務の為、育児の戦力には期待できません。
ワンオペ育児をしながら以前と同じ仕事を両立させる事は私には無理だと夫婦で判断したのです。

ドラマ「Miss デビル」の中で
「あなたは仕事をせず、他の社員に自分の仕事を押し付けて楽をしているそうですね。仕事をしないのに、何の為に会社に来ているのですか?」
と妊娠女性が指摘を受ける場面があります。

身も蓋もありませんが、実際に誰かに自分の仕事を肩代わりして貰っているのですから、これは逃れられない事実です。
そうするのが申し訳なくて(言われたくなくて)私は退職しました。


ドラマの中で女性人事部長が言いました。
「女の人は選ばなくちゃいけないのよね。
でもそれっておかしいと思わない?
君は子ども産むの、産まないの、どっち?
君は仕事辞めるの、続けるの、どっち?なんて
男の人は結婚しようが子どもが生まれようが、そんなこと聞かれもしないでしょう?」

退職してから私の生活は激変しました。
夫のおかげで悠々自適な専業主婦ライフを送れているのでいわゆるワンオペ育児にも不満はありませんが、私の生活が変化したその一方で、子どもが生まれても夫の生活は殆ど変わりません。

私が退職する事は夫婦で決めた事ですが、会社員時代がそれなりに楽しかったせいか、変わらない夫の生活が時々羨ましくなります。

私が女だから、私の方が退職する。
私の体調的にも、給料の格差的にも、転勤の可能性のある夫の会社での立場的にも、今後の子どもの為にも、私が柔軟に対応できるように私が離職するのが当然の判断ではありましたが、そもそも話し合いの場にあったカードは最初から私が仕事を続ける、私が退職するの二択しかなかったのです。

「男の人は結婚しようが子どもが生まれようが、退職するかどうかなんて聞かれもしない」
ドラマの登場人物から言われて、そういえばそうだなと府に落ちた時に、出勤する夫を見送る時の心のもやもやの答えが出てきました。

私ばっかり変わらされて不公平だ、と。

産む性の役割として、女性には動けなくなる期間が出てしまうのは致し方ない事だと理解しています。
いっそのこと女性が受胎した時に、種の主の胸も発達して乳が出るようになれば
男性も子どもを理由に退職を検討する社会になり、ひいては女性への性暴力も減らせるのに。
男女の身体的構造の違いを恨むあまり、ふと荒唐無稽な妄想すら抱いてしまいました。

女性人事部長がドラマで言うように
「男の人だって男の人なりの悩みがあるだろうし、
男だから、女だからなんて、そんな風に悩む必要がなくなれば良いわね」

夫が会社での愚痴を言う度に(同じ職場だったので話についていける)
「大変だと言う割に楽しそうね」と言いたいのをぐっと堪えつつ、
夫のおかげで選択できた退職という権利を行使した先の、ワンオペ育児という名の子どもの独り占めを、今は堪能しています。