xharukoの日記

妊娠、出産、育児の中で思った事をつれづれ書きます

【Miss デビル第6話】上司の苦悩

ドラマ「Miss デビル 人事の悪魔・椿眞子」第6話についての続きです。

宣伝広報部の男性部長は自分の考えを押し付けるあまり周囲に苦痛を強いていましたが、彼の気持ちにも一定の理解ができます。

妊娠した女性には体形をカバーするゴムウエストのスーツではなく、いかにもマタニティらしい「ゆるふわ~っとした幸せいっぱい夢いっぱい」な服を着て欲しい。

社内の妊婦には全員マタニティバッチの着用を義務づけ、妊娠中である事をアピールして欲しい。

妊娠した女性に対しては、部署の皆が気をきかせて「その仕事、大変でしょうから私が代わってあげる」と負担を軽減させて欲しい。

育休から復帰したら2年以内にもう一人産んで、二度目の産休育休後にまた復帰して欲しい。

何故ならそれは「絵になる」から。


この会社にはこれだけの妊婦がいて、妊婦なのに働いていられる。

こんなにも働く女性に優しい会社なのだと視覚的にアピールしたい。

テレビで取り上げられるからには、アピールは大袈裟なくらいが丁度良い。

テレビ取材が入る今、妊娠を理由に退職されては(それをテレビ局に知られては)困るのだ。

それは宣伝広報部という、会社のイメージアップを担う部署として当然の思惑だと思うのです。


雇う立場からすれば、女性の雇用はリスクです。
せっかく教育して使える人材に育てても、女性は結婚だ妊娠だ介護だで辞めていくし、
人によっては生理の周期で性格がきつくなるし、動きが鈍くなるし、場合によっては欠勤するし(個人差が大きいものなので女性の方こそ生理痛の辛さを理解できない人もいる)、
妊娠中に無理をさせると流産の可能性があるので腫れ物のように扱わないといけないし、
そもそも全然お腹が出ていないのにつわりで辛いとか言ってくるし(一般的につわりが辛い時期は普通の服を着ている頃)、
子どもが具合を悪くしたと言っては休むし(今月それ何回目? 嘘なんじゃないの? とか思っていそう)
20~30代女性は、いつまた妊娠するか分からないなど、
女性を雇用するという事は、いつ戦力外になるか分からない爆弾を抱えるようなものです。

そんな「ワガママ」を言われる上司としては怒りたくもなります。


女性はすぐ「ワガママ」で戦力外になる。
女性特有の体調不良は男性には理解しにくく、まさに「ワガママ」としか受け取らない人もいるかも知れません。

ならば戦力不足分は昼休み返上だろうが女性同士でカバーするのが当然だ。

上司の立場になったら、多くの人が口には出さないまでも、戦力としてまともに使えないのに一人前に給料が出る女性に苛立ちを覚えるのではと思うのです。


通常業務の戦力になれないなら、妊婦にしか出来ない仕事をきちんとやるべきだ。

だからこそ倒れたばかりだろうとテレビ取材を完遂させる為に妊婦を出社させたくもなります。

しかも倒れた理由は「ストレス」!
こんなにも自分は気を使ってやっているというのにストレスで倒れるなどあってはならない。
もし流産なんて結果になったら責任がとれないし、自分が上から責められる。
それもこれも部署の女性陣がフォローしないせいだ。
女性が女性の足を引っ張ってどうするのだ!

妊娠女性に理解があるようで、その実、部下の妊娠に誰よりも苛立っていたのは男性部長なのでは。
だからこそ、当て付けのように優しく優しくしていたのでは。
ドラマを観ていたらそんな風にも思えました。

妊娠は「おめでた」と言う位めでたい事なのに、本当に、どうしてこんなにも本人にも周囲にも負担としか思えない社会になってしまったのか。
夫のおかげで完全に他人事でいられたマタニティハラスメントをドラマで疑似体験し、不寛容な社会にやるせなさを感じました。