xharukoの日記

妊娠、出産、育児の中で思った事をつれづれ書きます

【Miss デビル第6話】働かない働きアリ

引き続きドラマ「Miss デビル」第6話の感想です。

社内研修先でマタニティハラスメントを目の当たりにした人事部の男性新入社員が、他の部署に各々配属されている同期達との呑みの場面で相談した時に同期女性が言ったセリフ、

「私は仕事のできるキャリアウーマンに憧れるけど、でもやっぱり結婚して子どもも欲しいかな」

このセリフにモヤモヤしました。

キャリアウーマンになる事と子どもを持つ事は、テレビドラマの中でも両立できるとは言われないのだ。
(マタニティハラスメントの回だからかも知れませんが)

つまり子どもを産むと決めた時に会社を辞めた私の判断は、正しかったのだ。

―――でも、本当に?


働きアリの法則、というものがあります。
働きアリのうち2割はとても真面目に働き、6割は普通に働き、残りの2割は遊んでいる、というものです。
この働かない2割を取り除いても、「それまで働いていたアリ」の集団から、やはり働かない個体が出てくるのだそうです。

生産性のない存在は会社組織にとって無駄でしかありません。
「人材」について、会社にとって宝となる人を人財(じんざい)、働かない人を人罪(じんざい)と呼ぶ事があります。

自然淘汰が激しい環境にいる筈のアリから常に一定割合の人罪(働かない個体)が出現する理由は、予備部隊なのではないかと考えられているそうです。

仮に全てのアリが等しく働く場合、すべてのアリが同時に働き始めるので、一見すると作業効率が上がります。
しかし全てのアリが同時に疲れて休むため、いずれ仕事が滞って組織が存続できなくなることがコンピュータシミュレーションの結果から確認されたそうです。

つまり、働かないアリにも意味はある。

妊娠して思うように動けなくても、
小さい子どもがいて早く帰らなくてはならなくても、
自分が病気で休まなくてはならなくなっても、
疲れたからリフレッシュの為の旅行に行きたくなって急に休んでも、
自分の給料や立場は保証されつつ、これまで休んでいた人たちが今度は代わりに働いてくれたなら。

アリのように、よく働く組、普通に働く組、出社しても遊んでいてよい組が1つの組織に共存できたなら。

働きアリに第一線では働けない理由ができた時に、それまで温存しておいた力を遺憾なく発揮する「働かない働きアリ」。

会社もそうできれば…などと、あり得ない事を夢想しました。


実際にはそう簡単に交代できるような単純な仕事はありません。
業務内容の引き継ぎをしなければならないし、取引先の担当者との相性で仕事のしやすさは変わるし、仕事の戦力になる為には覚えなければならない事が山ほどあるし、作業に慣れるには時間がかかるしと問題が山積みです。

何より会社に「人罪」を雇い続ける体力がない。


「Miss デビル」第6話では、前日体調不良で倒れた妊娠女性が男性部長に指示されて出社してきた際、女性課長がこう言いました。

「具合が悪いのに無理しなくて良いのよ。無理をしてみんなに心配かける方が…迷惑なんだから」

迷惑、という言葉のところで少し間があるように聞こえたのは、他に適切な言葉が思い浮かばなかった為に仕方なく使ったという演出だったのかも知れません。

上記は妊娠女性の体調を慮っての発言ですが、別の意味でも妊婦には休んでいて欲しいと願う人は多いでしょう。
出勤されたらされたで、自分たちが余計な気を使わされるのですから。

ドラマでは違いますが、働かないと給料が出ないからと出産ぎりぎりまで無理に出社する妊婦もいると思うのです。
産休に入ると大抵は無給になりますが、会社員や公務員だった人には代わりに出産手当金というものが支給されるようになります。
しかしこちらは給与の満額に相当する金額ではなく、3分の2程度になってしまいます。
産休は労働基準法で定められており、たとえ本人が労働を希望しても母体の保護の為に必ず休まなければならない期間があります。
子育てにはお金がかかるので、働ける間に可能な限り稼いでおかなければと産前に無理をする人もきっといるでしょう。

働かず、自宅で安静にしていても給料が満額出るのなら、周囲の迷惑になってまで出社しなくて済むのにな…

そんな社会だったら、私も退職しなくて済んだのにな。


ドラマを観ながら、就職活動中の事、新人研修、配属先での初めての仕事、それから…
所属長に退職する旨を話した、応接室での出来事を思い返しました。

夫の仕事や子どものペースに私が完全に対応するように妊娠を機に退職を選択しましたが、正直に言えば、私は仕事を続けていたかった。
もし可能であるならば、またあの職場に戻りたい。

しかし私がいたポストはもう空いてはいないので戻れない為、どこか別の会社に新しい居場所を見つけなければなりまさん。
新しい環境に飛び込まなければならない事には不安が大きいですが、いずれは短時間ながらも社会復帰する予定でいます。

そう、自分は今「働かない働きアリ」。

だからこそ、今は育児という目の前の仕事に集中しよう。

このドラマのおかげで何となく、育児のモチベーションが上がりました。