xharukoの日記

妊娠、出産、育児の中で思った事をつれづれ書きます

ブライダルチェックの名称を変えては

梅毒とは鼻がもげる恐ろしい病気。
私が梅毒という病気を知ったのは村上もとか著の「JIN―仁―」(集英社)というコミックスでした。現代の脳外科医が江戸時代後期にタイムスリップしてしまう物語で、主人公は作中で吉原の遊女を病から救う為にペニシリンを精製し、梅毒治療を行います。現実でペニシリンが実用化されたのは1942年になってからだそうですが、「JIN―仁―」から知った私は梅毒は過去のもので、現代では簡単に治る病気なのだと思っていました。しかしこのような記事を読んで認識を改めました。


梅毒の患者急増=高リスクは20代女性
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181021-00010001-jij-sctch


ここ数年、性感染症(STD)である梅毒の患者数が急増し、国や自治体が警戒を強めている。
(中略)
報告に基づく全国の患者数は2011年ごろまでは男女合わせて年間800人弱だったが、13年に1000人の大台を超えてから増加に歯止めがかからず、17年には5820人を記録した。

記事によると患者の大半は感染2期までで、症状が進行している患者は少ないそうです。梅毒の感染1期は感染部位にできものが出来る程度で、それは一ヶ月で消失するとの事。しかしそれから数ヵ月後に感染2期が発症、手のひらや足の裏、背中に赤い発疹が現れるようになります。感染3期は全身で炎症が進行する状態になり、固いしこりが出来その症状が数年続く。最終の4期で脳神経や心臓に障害が生じるなど致死的な状態に陥るのだそうです。
私が知っている「梅毒=鼻がもげる病気」というのは感染4期の症状のひとつのようで、その段階に至るまでには数年の期間を要するそうです。感染1期の状態では患者は自覚症状が少なく、しかも途中で病変が消えてしまう為、新たな感染源になってしまうようです。
感染2期の症状が出れば殆んどの患者は身体の異常に気付き病院に訪れるようになるので患者の大半は感染2期で進行が治まるようですが、恐ろしいのは梅毒は母子感染する事です。


梅毒の母子感染が増加 「妊娠の有無」届け出を義務に

https://www.asahi.com/sp/articles/ASL4K7GGLL4KUBQU022.html


妊婦が感染すると流産や死産になりやすくなったり、子の目や耳に障害が出たりする。

 厚労省によると、先天梅毒と診断された赤ちゃんは2012、13年は4人。15年は13人、16年は14人と増加。梅毒と診断された妊婦は16年に33人とする厚労省研究班の調査データもある。

梅毒は性行為で感染する為、患者の性別・年齢別では、女性は20代に集中し、男性は20代から40代に多いそうです。
性風俗への出入りを含む、少子化傾向とは相反する活発な性的活動による梅毒の蔓延で、せっかく授かった赤ちゃんまでもが危険にさらされてしまう。
風疹の流行でマスコミが多く取り上げた結果、妊婦が風疹に感染すると赤ちゃんに障害が出る事は広く知られるようになりましたが、梅毒でも赤ちゃんの目や耳に障害が出るとは。本当に妊娠期はデリケートな期間なのだと改めて思い知らされます。


いきなり鼻がもげる訳ではないが、治療しなければ死に至る病、梅毒。最初に挙げた記事によると日本と海外では治療法が異なるそうです。


 もう一つ、北村所長が問題点として指摘するのが治療法だ。現在海外では、ペニシリン系抗菌剤の筋肉注射1回が標準的な治療法だ。これに対し日本では、一定期間の内服薬治療が標準とされている。北村所長は「治療途中で通院をやめたり、服薬をやめてしまったりする事例が絶えないのが実情だ」と危惧する。

もし一度の注射で完治できるのならば、なぜ日本では長い内服薬投与などを行っているのでしょうか。勝手なイメージですが、奔放な性的活動を行っている人は症状が治まってしまえば医師の指示に反して途中で服薬を止めてしまう傾向が、普通の人と比較しても高いのではないかと思います。インフルエンザも熱が下がれば治療薬を飲まなくなる人がいるように、梅毒もまた、完治しないまま通院を止めてしまう。そうした人はウイルスが残ったままの状態でまた行為を重ねて感染源となり、新たな患者を生んでしまうのではないかと思うのです。
これから行為を行う相手は性感染症にはかかっていないだろう。コンドームを使用しなくても自分だけは感染症にかからないだろう。自分は性感染症になど罹患していないだろう。発疹が治まったのだから治療薬はまだ残っているが病気は治っただろう。そういう楽観的な感覚が梅毒をはじめとする性感染症患者の増加を支えているのではないかと思います。
もし梅毒の治療が一回の注射で終わるならば流行を防ぐためにも、いっそ風俗店の入口でペニシリン系抗菌剤の筋肉注射とやらを客に行えば良いのに、などと考えてしまいます。
日本では梅毒の治療に筋肉注射が認められていないのは過去に副作用の報告があった為らしいですが、患者の負担を考えれば一度の注射で済ませるようになれれば良いのにと思います。

梅毒患者は他の性感染症にも罹患している事が多いため、他の性感染症と診断した医師が念のためにと治療薬にペニシリンを加えるなどして、本当の患者数は分からないとも記事にありました。恐ろしい病気なのにも関わらず、患者本人に治療中にも自覚がない可能性もあるとは驚きです。


性感染症は感染経路の影響か、あまり周知されていないように思います。性的なコンテンツが入手しやすくなった現代、病気の情報もまた、容易に得やすくなりました。ヤフー!知恵袋などでは病院に行く事が怖い人が患部の画像をあげ「これは○○という病気でしょうか?」と質問しています。私も知らなかった病気を知る事が出来るので、なかなか興味深いカテゴリです。そして驚くのは性感染症の種類の多さです。知恵袋を見始めた頃は、こんなにも様々な病気があるのかと驚いたものです。
性に興味が出てくる年頃の子どもには、性感染症に罹患した状態の画像を一度は見せても良いのではないでしょうか。そうすれば婚前の性的活動も慎重になるのではないかと期待します。

特定のパートナーとしか行為をしない人も、その人の以前の恋人、さらにその人の現在の恋人や以前の恋人…と辿っていけば、誰かしらは何らかの感染症にかかっているかも知れません。従って性的な関係を結ぶ前に、男女ともに定期的なブライダルチェックを習慣にすれば良いのではないかと思います。
ブライダルチェックは一般的には妊娠能力の検査の為に行うものですが、その中で肝炎、梅毒、HIVエイズ)ウイルス、クラミジアなどの感染症の有無を調べるそうです。
その名称を「ブライダルチェック」などと結婚を意識した特別なものから変更し、学校や職場で受ける毎年の健康診断の一環として感染症の検査を組み込めば良いのではないでしょうか。

予防方法や治療方法が分かっているにも関わらず、患者数が増加している梅毒。やはり「梅毒は鼻がもげる病気」、これくらいのインパクトで性感染症の危険性を広めるべきかと思います。