xharukoの日記

妊娠、出産、育児の中で思った事をつれづれ書きます

イクメンを育児担当者にするには

育児に積極的な男性を「イクメン」と呼ぶ事が定着してきた昨今、改めて男性が育児に関わる事への大変さを2つの記事から感じました。


男性用トイレでおむつ替えをしているお父さん、奮闘の様子がインスタでバズり中

https://www.buzzfeed.com/jp/tanyachen/dad-viral-instagram-showing-the-struggle-1

ダンテ・パルマーさんはフロリダ州セントオーガスティン在住の31歳の教師で、3人の息子の父親でもある。

今週、彼の長男が外出中にトイレで末っ子のおむつ替えに奮闘しているダンテさんの写真を撮った。その写真によって、ダンテさんはインターネット上で様々な議論を巻き起こしている。

ダンテさんは図らずも、世界中の男性用トイレにおむつ交換台を設置するムーブメントを代表する存在になっているのだ。

(中略)

ダンテさんは外出時のおむつ替えには、7歳になる息子のイザヤくんの助けを借りなければならないことがよくあるという。なぜなら男性用トイレには、おむつ交換台がないからだ。

ダンテさんがトイレの個室でしゃがみ、膝の上で注意深くリアムくんのバランスを取って、おむつを変え始めると、イザヤくんがその様子を写真に撮り始めた。

(中略)

ところが、彼の妻はその写真をみて、深刻な点を指摘した。

「私たち女性は、おむつ替えをクリエイティブなやり方を編み出してやる必要はない。けれど、あなたたちは忍者みたいにしゃがんでリアムのおむつを変えなきゃいけないんだね」と彼女はダンテさんに話した。

ダンテ氏が自身のお子さんのおむつ替えを行う様子の写真がこちらです。

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安定させる為にトイレの個室内の壁に自分が背中を付けしゃがみ、その太ももの上に子どもを寝かせておむつ交換を行う。かなりのバランス感覚が必要な難しい体勢です。SNSで話題にしてやろうとしてこの時に限ってこの体勢をとった訳ではない事は、おむつを替えられている子どもの様子が特段怖がってはいない事から見てとれます。
この月齢なら少しは立てるだろうから子どもを個室内の壁に掴まり立ちさせておむつ交換すれば良いのにと思う、我が子が掴まり立ちしてからはテープタイプのおむつを普段から立たせたままで交換している自分は横に置いておいて。
この投稿を受けて他の男性からは
「トイレの床に脱いだ自分の服を広げて、その上に子どもを寝かせておむつ交換をした」
「洗面台のシンクを使っておむつ交換をした」
という更に深刻な投稿があったそうです。
投稿時のダンテ氏のお子さん、リアムくんはもう掴まり立ちが出来そうな月齢に見えましたが、それはつまりこれまでの数か月、上の子たちもの事も含めれば数年もの間、ダンテ氏はずっと男性用トイレでおむつ交換をする度にこのような工夫をしてきていたのです。否、こうした工夫をしなければ、おむつ交換が出来なかったのです。
男性が育児を担おうとしても難しかったのは、「出来ない理由」が女性にとっては思いがけない所にあったからなのかも知れません。

そして日本ではこちらの投稿が話題になっているようです。


育休中のパパが、子どもの健康診断で気づいたこと 「こういうところから変えていかないと」

https://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/papa-sonota

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市による二歳になる子どもの健康診断の問診票の「主な保育者」の欄にあったのは「ア 母」「イ 祖父母」「ウ その他」で、どこにも「父親」の選択肢がない。
投稿者いかパパさん(@2018hiroto)は仕方なく「ウ その他」に○をつけ、横に「父」と記入したとの事。そこで健康診断の問診票の該当部分を撮影し
「こういうところから変えていかないといけないと思いませんか?」というツイートを行ったところ反響を呼んでいるそうです。
いかパパさん(@2018hiroto)もまた、男性用トイレにおむつ交換台が無い事を嘆き、社会の感覚を変えていかなければならないと感じている、と記事で答えています。

思い返せば十数年前、私は近所のスーパーマーケットでクレームの現場に遭遇しました。新生児そこそこの月齢の赤ん坊を抱っこした三十代程の男性とその妻とおぼしき女性が、スーパーの店員に「お宅にはおむつ交換台が無いのか」と訊ねている場面でした。
店員がおむつ交換台は女性用トイレにあると答えると「俺に女子トイレに入れって事か」と男性が激昂。身障者用トイレにもあると店員が答えると「俺たちは障害者じゃない」と更にヒートアップ。
奥さんが女性用トイレでおむつ交換すれば良いのに。あと身障者用トイレは皆が使ったって良い所だっつーのと思いながら傍を通り抜けたのでその後の事は分かりませんが、私は「あーあ、せっかく張り切ってイクメンアピールしようとしたのに失敗しちゃったね」と内心で嘲笑っていました。

この時の私は何も考えず、奥さんが女性用トイレでおむつを交換すれば何も問題は無いだろう、普段はパパさんがおむつ交換担当でも外出時くらいは臨機応変にしてくれ、店舗はトイレの面積が限られているんだから男性用トイレにおむつ交換台が無いのは仕方ないじゃないかと思いました。しかし今、この時の出来事を思い返した時にふとNHK「透明なゆりかご」とTBS「コウノドリ」の場面が頭をよぎりました。
そのドラマのどちらでも出産時に母体が死亡し、新生児の赤子と新米パパが遺されるというエピソードがあったのです。それは生命の誕生は奇跡の連続なのだという事と、「絶対に安全な出産」などというものは無いとの事を視聴者へ知らしめる為の警鐘だったかと思います。
あのスーパーマーケットで私が目撃した、おむつ交換台が男性用トイレに無い事へのクレームは、父子家庭の場合だったらどうなっていただろうかと思った瞬間、ようやく私はあの時の男性が言いたかったであろう事を理解したように思います。
男性の気持ちはきっと「『俺が』おむつ交換をするにはどうしたら良いんだ」

身障者用トイレにおむつ交換台がある?
それが何だ。もしも自分たちが入っている時に本当に必要な人が切羽詰まってやって来たら申し訳ないだろう。
ならばやはり健常者は身障者用トイレに入る事は遠慮するべきだ。
何故なら子どものおむつ交換は緊急事態ではなく、日常の一環なのだから。

育児が大変と近頃の女はこぼすが、男におむつ交換をさせないようにしているのは社会の方ではないのか?
「どうせ男は子どものおむつ交換なんてしないのだから、男性用トイレにおむつ交換台は必要ない」
社会に根付いている、男には端からおむつ交換の戦力を期待していない、こうした意識を作り出しているのはむしろ女の方なのではないのか?
「男も育児をしろ」と言いつつ、本当に男性に育児をされては仕事をとられたような気になる女も一定数いるのではないのか?

少し前に「男性保育士には子どものおむつ交換はして欲しくない」という意見が飛び交いました。男性は相手が何歳であっても性的興味を持つ、そして実際に男児すらも性的対象にする男がいる事からこその保護者からの訴えですが、純粋に女性保育士と同じ感覚で園児のおむつ交換を行う男性保育士もいらっしゃいます。そこには「我が子が何か性的なイタズラをされるかも知れない恐怖」とはまた別に、「男性保育士には男らしく、男がやるのに相応しい業務にあたって欲しい」という、女性側からのセクハラが潜んでいるのではないかと思います。
言い換えれば「おむつ交換は女の仕事」だと、女が言っているのです。
もしおむつ交換台が女性用トイレにしか無いのであれば、父子家庭は子どもが自力で便座に座れる年齢になるまで外出をするなと言っているようなものです。それは人権侵害と言っても過言ではない。

イクメンという言葉が定着しつつある今でも、公園に子どもを連れてきたパパさんが、ママさんらの輪にはなかなか入れないという話も聞いた事があります。
女性特有の部外者を排除しようとする結束感で輪の中から閉め出されるパパさんに、仮にママさんの一人が話しかけて仲良くなれば今度は「あの二人は不倫している」という噂をたてられるだろう事は容易に想像できます。労働世代の男性には平日の昼間に仕事場以外の場所に居る事を許さない社会的な風潮があり、 もし居たとすれば何かいかがわしい目的があると勘ぐる人も少なからず存在すると思います。
そもそも尿意をもよおした男性が公園のトイレの場所を尋ねただけで通報される時代なのです。

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https://www.gaccom.jp/safety/detail-284050


男なのだから昼間から公園に来てないで働け。
男なのだからおむつ交換ではなく、身体を大きく動かす遊びを園児に対して行え。
男性用トイレにおむつ交換台が無いのは当然。だって、やらないでしょう?

せっかく育児担当者となろうとしている男性を「イクメン」などと軽い存在にしてしまっているのは社会の意識で、それを支えているのは女たちなのかも知れません。

育児が大変と愚痴をこぼす女たちは一度、自分たちが男性に期待している社会的役割を見直しても良いのでは。
それが女性も働き、男性も育児をする社会への一歩なのかも知れないと思いました。



幼児相手にいかがわしい事を企てる男がいなくなれば話は早くなるのでしょうが。