xharukoの日記

妊娠、出産、育児の中で思った事をつれづれ書きます

進化を否定してはいけない

そろそろ年末の帰省の話題が増えてくる頃です。乳幼児を連れての長距離移動をされる方にとって、スマホは今や無くてはならない育児ツールかと思います。しかし子どもにスマホを見せている親への世間の目線は冷ややかです。
何も四六時中スマホを見せている訳ではなく、子どもに静かにしていて欲しいほんの一時に使用しているだけでも「近頃の親は…」と眉をひそめられる事があります。
便利な道具を使って楽をする事の何がいけないのかとも思いますが、子どもの発育によろしくない影響があるのでは、スマホ育児が良い顔をされなくても仕方がないのかなとも思っていました。スマホはテレビ以上に近距離で画面を見る為、子どもの視力が悪くなると私は思っていたのですが、どうやらそうではなかったようです。


“ぐずる子供にスマホ”で賛否…気になる体への影響は?

https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20181221-00000091-nnn-soci

すると、意外なメリットやデメリットがある事が分かった。

まず、眼科医は――

日本橋はま眼科クリニック・浜由起子院長「子供は色んなモノを見ていく事で視力は育っていきますから、スマホを見る事も視力の発達のツールにはなるので、決して悪いものではない」

院長によると、2歳までの子供の場合、30分未満の視聴ならば視力の発達に役立つというが、ブルーライトをカットしなかったり、至近距離で見せたりすると、近視になる恐れがあるという(※2歳以降は徐々に視聴を増やしてもOK)。

私は子どもの目の健康の為にスマホを見せたくないと思っていたのですが、どうやらスマホは30分程度ならば逆に視力の発達に役立つらしいとの事。
しかし記事では次に精神科医の意見を取り挙げ、子ども一人にスマホを預けて見させているとコミュニケーション障害を引き起こす可能性がある為、親子一緒に使用するべしとしています。

かつてはテレビ育児が非難されました。現在はスマホ育児が非難されるようになり、テレビ育児が良くないとは聞かなくなりました。便利な道具が登場した以上、効果的に活用する事の何がいけないのでしょうか。スマホ育児と言っても丸一日一人きりで見せている訳ではなく、飛行機、新幹線、電車内などで子どもに静かにしていて欲しいだけの時に使う保護者が大半だと思います。
昔はそんな便利な道具は無く、母親は苦心しながら子育てをしたものだ、だから現代の母親もそうするべき、という意味でスマホ育児を非難する人もいるかと思いますが、その理屈もよく分かりません。「無痛分娩なんてとんでもない、陣痛を経験してこそ母親になるのだ」と言う人は、養子を立派に育てている方を前にしたら何と言うつもりなのでしょうか。親が苦労しなければ良い子は育たないと言うのであれば、便利な道具が無い時代に、苦労して育てられていた筈の子どもの方が少年犯罪の発生件数が高い事と矛盾します。

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少年犯罪は急増しているか(平成19年度版)
http://kogoroy.tripod.com/hanzai-h19.html

というサイトより引用。法務省発行の『犯罪白書』平成19年度版および総務省の「人口統計」から分析されたそうです。

ところで、育児の苦労は実を結ばない、という有名な新聞投書があります。
『虫歯で苦労しないよう仕上げ磨きを欠かさなかったのに、今じゃ歯磨きしない男に。毎晩本を読み聞かせていたのに、今じゃケータイ以外の活字は読まない男に。保育園や学校の給食表を冷蔵庫に張り、献立が重ならないよう手作りしていたのに、今じゃカップ麺大好き男に。環境のため親子でエコ活動していたのに、今じゃ一面ごみの部屋で暮らす男に。
少子化バンザイ。こんな理不尽な母親になれなんて、未来ある人に絶対言えない。徒労感いっぱいで、私は卒親する気満々だ。ただ、溢れる愛で、大切な存在を守ることに必死だった日々。幻でも一時それがあったことに感謝している。
卒親にあたって息子らに一言。「努力がまったく実を結ばない世界があるってこと、教えてくれてありがとう」
西東京市、疲れた母、55歳)』

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一例でしかないかも知れませんが、どんなに丁寧に育てても親の心は子どもには伝わらない事もあるのでしょう。ならば公共交通機関での移動中くらい親が楽をしても良いではありませんか。
スマホ育児が面白くないのは単に嫉妬なのだと思います。自分の時の育児は大変だったのに、今の人たちは楽をしてズルイと。育児は苦労するべきで、自分たちが苦労をしてきたのだから、お前たちも苦労をしなければならないと。ならば炊事に炊飯器や圧力釜を使用してはいけない事にもなるでしょう。

東海道新幹線はファミリー車両を用意する事もあるそうです。小さな子どもの「うわー、はやーい」といった歓声すら騒音とみなす人もいる以上、住み分けは必要なのかも知れません。ファミリー車両ならば子ども連れの方々はお互い様だと納得し乗車し、ストレスはだいぶ軽減されるでしょう。

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私事ですが、平日に母が友人と東京まで観劇に行くというので妹と付いて行った事があります。開場時間を逆算し新幹線の時間を決めました。その新幹線に乗り換える都合もあり在来線では登校通勤時間帯に乗る事になりました。母と友人、中年女性二人がこれから行く先で何をしようか和気あいあいと話していた所、サラリーマンとおぼしき中年男性から「こっちは寝たいのだから静かにしてくれ」と注意されました。
私は近くの女子高校生たちの会話の方がよほど煩いと思いましたが、彼にしてみれば普段から聞き慣れているであろう女子高校生の声よりも中年女性の声の方が不快だったのでしょう。あるいは言いやすい方にだけ注意したのかも知れません。

「近頃の親は」と言われる世代は20~30代、年配の人にとっては自分たちの方が優位だからと文句を言いやすい年代なのかも知れません。若い世代が自分たちと違うやり方をする事がそもそも気に入らず、しかも機械を見せるだけで子どもが静かになる手軽さが羨ましいのでしょう。
育児は快楽の末の罰ではありません。苦労しても見返りは少ないかも知れません。しかし、かつての苦労があったからこそ育児グッズもより便利になるようにと様々に進化しました。その進化を否定する事は何の利益も生みません。
これからの帰省シーズン、子どもを連れて公共交通機関で移動される方に心からのエールを送ります。