xharukoの日記

妊娠、出産、育児の中で思った事をつれづれ書きます

結婚は人生の墓場?

「子どもを産まない方が問題だ」との政治家の発言が話題ですが、そもそも、その前段階の結婚をしない人が多くなっている方が問題ではないかと私は思います。
これまで何度か「白馬の王子様なんて待っていたって現れないのだから、自分と同じステージにいる相手と結婚すれば良い」との主旨の拙文を書いてきましたが、私自身も心の中で「そうは言うものの『結婚は人生の墓場』だと昔から言われているのも事実なんだよな、それで人生のルートが確定しちゃうしな」とも思っていました。なので以下の記事にも共感する点が多々ありました。


「結婚なんかしたら人生終わる」 独身30代女子の本音の訴えに反響
https://netallica.yahoo.co.jp/news/20190204-71464944-sirabee

愛するパートナーと結婚することに幸せを感じる人がいる一方、結婚に抵抗を感じる人がいるのも事実。中には、結婚することで「人生が終わる」と考えている人もいるようだ。

(中略)

投稿者は30代前半の女性。男性に縁がないことを友人や家族などが心配し、男性を紹介しようとしてくるという。その気遣いに「ありがたいと思うべき」と感じる一方で、本音では「会うの嫌だな。結婚なんかしたら人生が終わる気がする」と思ってしまうようだ。

どうやら、結婚をすると自分の可能性が減って「人生の底が見えてしまう」とのこと。「絶対に子供を生みたくない」と強い意志もあるようだ。


「結婚は人生の墓場」だと言ったのはフランスの詩人シャルル・ボードレールだそうですが、調べた所どうやら言葉の意味を私は履き違えていたようです。
1800年代のフランスでは当時、不治の病とされていた梅毒が蔓延していた為「墓場のある教会で、身を清めてから結婚しなさい」と戒めた言葉が誤解釈されたというだけだったようです。
三波春夫さんの「お客様は神様です」発言がご本人の真意とは別の意味で広まってしまった事と同じように、そう解釈したい人がそういう方向に誘導していったというのが真相だったようです。
そのように誤解釈された発言の方が広く知れ渡ってしまったという事は、多くの人が「結婚すると自由を失う=墓場に入るようなもの」と思っていたという事です。

結婚すると配偶者以外との恋愛はご法度になります。多くの種を蒔きたい男性にとって、一人の女性にだけ縛られる制度がまず苦痛かも知れません。また自分が稼いできたお金であるにも関わらず、その中から小遣いとして数万円しか使えなくなる状態を男性は恐れているというような話も聞きます。趣味のものは妻に無断で捨てられたり売られたり、友人との外出にも妻の許可を得なければならなくなる等、結婚するとこれまで自分の判断で自由に出来ていた行動に制限がかけられてしまいます。
一方で女性も結婚すると様々なものに縛られる事が多くなります。家事に育児、夫の親の介護も長らく女性の役割とされてきました。
先に挙げた記事の中にあった「結婚すると人生の底が見えてしまう」とは、まさに女性の多くが感じていた事だと思います。何か新しい事を始めようにも家事はどうするのかを考えると時間は思うように確保できず、妊娠すると働けない期間も発生します(働かせると雇用主が罰せられる期間があるのです)。
子どもを産めば子どもの世話もしなければならず、たとえ保育園に預けても就学しても、出産後十数年は自分の時間は少なくなります。そこに介護も加われば、家庭に縛られ、自分の可能性の殆どが女性には無くなるのです。
一般的に女性は結婚したらその先の人生は男性以上に自由を制限される場合があるように思えます。その為、ひとたび夫選びを間違えればその後の人生が転落してしまう可能性が高いのではないでしょうか。それは妻の生活が夫の収入に依存している人は顕著に、共働き世帯であっても影響すると思います。
例えば夫の収入が高くても結婚後は人が変わったように家庭内暴力をふるう人であったり、モラルハラスメントをする人である事もあります。夫婦の価値観があまりにも違いすぎても結婚生活は上手くいかなくなるでしょう。
もちろん女性も結婚すると豹変する人はいるかと思いますが、そういう場合ひとたび離婚すれば男性は辛い生活から解放されるイメージがあります。しかし一方で女性のバツイチ人生はハードモードに突入するイメージが拭えません。バツイチ男性は女性にモテると聞きますが、バツイチ女性は男性から敬遠される傾向があるのではないかと思うのです。
だからこそ結婚にあたっては女性の方が慎重になるのも当然なので、先に挙げた記事の女性のように結婚に前向きになれない人が現れるのも理解できるのです。

私自身は結婚し子どもを産んだ事で自分の時間は殆ど無くなりましたが、新たな幸せを手に入れたと思っています。夫と私、幼稚園児の娘と未就園児の息子の家族四人でどこにも出掛けず、同じ部屋でだらだら過ごす休日は何物にも代えられない幸福だと思っています。
しかし幸福の感じ方は人それぞれなので、人によっては私の生活を幸福そうには見えない人もいるでしょう。何しろ夫の仕事の都合上、家族四人での泊まりの旅行になど行ける機会は私にはまずありませんので。
私が幸福な結婚生活を送れているのは夫の収入が家族が慎ましく生活する分には十分なものであり、夫は酒は嗜む程度、タバコは吸わず博打はしない、暴力もモラハラもしない人だからです。趣味は仕事と言っても過言ではなく、とにかく個人的な無駄な出費はせず、お金の管理は私に任せてくれています。食事にもこだわりは薄く、私の料理に不満はあれど出されたものをきちんと食べてくれます。そもそも夫と私は考え方がどことなく似通っており、見たいテレビ番組の傾向も一緒など、意見の衝突があまりありません。
結婚後のカルチャーショックと言えば夫が風呂上がりはバスタオルを使う派、私は乾かす手間を考えたら普通のタオルで十分だと思う派、卵焼きは私は砂糖を入れた甘いものが当然だと思っていたのに対し、夫は醤油派だった事くらいです。
そして私自身が出不精でインドア生活でも苦痛を感じないタイプだからこそ、ワーカホリック気味で休日も仕事の事で頭がいっぱい、仕事で呼び出されればすぐに飛んでいける範囲にしか出掛けない夫と上手くやれているのではないかと思っています。
私と夫はちょうど破れ鍋に綴じ蓋だっただけで、こうした相手に出会えた事は幸運だっただけなのかも知れません。

良くも悪くも個人主義が認められるようになり、「女は結婚したら家庭に入る事こそ幸福の道である」などと政治家が言おうものなら炎上必須の時代です。
人には適性があるので、結婚に向く人もいれば結婚に向かない人もいるものです。結婚して初めて一人前とみなされていた頃はそのような事は決して言えない風潮でしたが、現代は違います。なので結婚したいか、したくないかは本人が決めるべき問題だと思います。
幸福の感じ方は人それぞれ。「人生の底」が見えてしまうからと結婚をためらう人がいる事も分かります。ただ少なくとも私は自分の人生が今のルートに突入した事を好ましく思っています。
「結婚は人生の墓場」だと言われています。自由を失う故にそう感じる人もいれば、私のように、ここが棺桶なのだとしたらなんと居心地が良いのかと、穏やかな現状がずっと続く事を望む人もいるのです。
「結婚前は大きく目を見開いて相手を観察し、結婚後は半分目を閉じて暮らしましょう」という言葉もあります。
どうか結婚をするべきか悩んでいる方が、後悔の少ない道の選択が出来ますように。


タレントの柳原可奈子さんの結婚の決め手は「一緒にいるとご飯が美味しい」だったとか。
なんと素敵な理由でしょうか。