xharukoの日記

妊娠、出産、育児の中で思った事をつれづれ書きます

予防接種の話

私が初めて我が子を予防接種に連れて行った時は実に緊張しました。親になってまだ日も浅く、赤ちゃん連れでの外出に不慣れだった事と、誰かの付き添いで病院へ行く事に慣れていなかった事もありますが、病気を予防する為とは言え我が子は産まれてまだ2ヶ月、こんなにも愛らしい腕に針を刺すなど許されるのだろうかとのためらいがあった為です。
しかし予防接種による免疫は名前と同じく親が我が子に贈る最初のプレゼントだと言われていますし、副作用の可能性はありますが注射一本で恐ろしい病気から我が子を守ってくれる大切なものです。上の子の初めの数回は緊張しながら、下の子の時には病院を後にしてからは今日は何をしようかと考える程の心の余裕をもって乳児期の予防接種リレーをこなしました。予防接種をこなす度に次々とシールとハンコが母子健康手帳に押されていき枠が埋まる様は、スタンプラリーのようで次第に楽しくなりました。

下の子の時には私たちが住む自治体ではおたふくかぜも公費になったので、任意だからと見送っていた上の子も自費で受けさせました。おたふくかぜは男性不妊の原因とも聞いていたので、男児であったなら必ず受けさせようと思っていたのですが、女児である上の子の本来の推奨接種時期の時には「おたふくにかかったら、かかったで良いかな、私も小さい頃にかかってるし」と楽観視していたのです。しかし下の子の予防接種案内が届いた時におたふくも自己負担0円になっていた事で、それだけ大事なワクチンなのだから、やはり女児にも受けさせようとなったのでした。確か8000円ほどだったような記憶です。

ロタウイルスワクチンは任意接種でしかも一回15000円と高額でしたが、上の子も下の子も生後2ヶ月の時に経口接種デビューをしています。
ところで、ロタウイルスのワクチンがまさか飲ませるタイプだったとは、私は接種の時に初めて知りました。ヒブワクチンと小児肺炎球菌とロタの同時接種だったので、看護師さんが一つのトレーにまとめて持ってきた時にはロタウイルスのワクチンの容器は、どれかのワクチンのアンプルなのかなと思いました。注射を二本、左右の腕に一本ずつ打ってからの我が子の頭部を押さえての口からのワクチン投入には虚を衝かれたものです。上の子は生後2ヶ月だというのにワクチンを飲むまいと必死に抵抗し、うがいのようにしばらく喉でガラガラさせていたのも懐かしい思い出です。

目を見張ったのはBCGの時でした。結核が予防できるという重要なワクチンなのですが、まさかあのような方式だったとは。
以下の記事のコメントを読んで、確かにBCGは事前に知っていれば受けさせるのをためらう人が現れるのも当然かも知れないなと思いました。


自然派ママが予防接種を否定してきた… 女性の体験談に「頭おかしい」「迷惑」
https://netallica.yahoo.co.jp/news/20190204-44408471-sirabee

ケミカルな製品を嫌悪し、オーガニックでナチュラルなものばかり選択する母親のことを「自然派ママ」と呼ぶ。自分の子供にそうやって接するのはまだしも、ときに彼女たちは周囲の子育てに口を出し、人間関係を壊してしまうこともあるようだ。

(中略)

自然派ママのママ友が、自分の考えを押し付けてきて、困っている様子の投稿者の女性。どんな風に押し付けてくるかというと……

・子供にたまにベビーフードやベビー用のお菓子など食べさせていると、「添加物が云々」と全否定してくる

・さらに、「手作りのご飯でなければ駄目!」と押し付けてくる

・予防接種も「体への害が…」と言って否定してくる

・かかりつけの小児科医も否定され、自分のかかっている医者を勧めてくる

……など、かなり極端な様子らしい。

この記事に対しての一般の方からのコメントのひとつに、


 自然派ママで、乳児にBCG打たなかった人見たときは唖然とした。女の子の肌に消えない傷をつけるなんて!とも言ってたな

 
…というものがありました。
BCGは二の腕の表面に液体のワクチンをこぼさないように拡げ、剣山のようなスタンプを柔肌に押し当てて9個の傷穴を赤ちゃんの腕に刻みます。しかも場所をずらしてもう一度グリグリと剣山(正しくは管針と言うらしいです)を押し当てるので、全部で18個もの傷を作ります。他の注射が接種後に注射用の保護パッドを貼って貰えるのに対し、この傷に対しては何もして貰えません。それどころか数週間後には大変な事になるのに塗り薬も貼り薬もしてはならないのです。

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接種部位はしばらくの間は蚊に刺されたかのように赤く腫れ、赤みが引くと徐々に針を刺した箇所が膿んでぼこぼことしたカサブタを作ります。これらはコッホ現象と呼ばれ、この醜悪な反応こそが正常らしいのです。

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最初は針を刺しただけの部位は膿んで各所3mmはあろう程度のカサブタになり、やがてそれが剥がれるとカサブタと同じ大きさの18個の穴となります。数ヵ月かけ傷口は塞がりますが、数年経過してもうっすらと18個の痕が残るのです。しかも幼児のうちは体調が悪い時にはその痕が再度赤くなる事もあるのです。
結核ハンセン病(映画「もののけ姫」に登場する包帯だらけの技師たち、と言えば分かりやすいか)が予防できるとは言え、医師からコッホ現象の説明を受けてもなお、新米母はBCG接種後はかなりのショックを受けるでしょう。

何故BCGはあのような形状になったのでしょうか。Wikipediaで調べたところ、普通の皮下注射では副反応が問題視されてきたそうです。そこで国によって投与方法が移行し、日本では現行の「はんこ注射」という経皮接種法が採用されたのだそうです。
それにしても大事な我が子のぷくぷくとしたちぎりパンのような愛らしい二の腕をがっちり握り、華道で使う剣山のような多数の針を支えるプラスチックの枠の跡までくっきりと腕のお肉に残るような強烈な力で押し込まれる様は、何とも言いようがありません。
我が子の近くで誰かがゴホンと咳をしただけで殺意がわく時期にそのような暴挙の幇助(抱っこで赤ちゃんの身体を支える)をしなければならない事は、親への試練と言っても過言ではなく、受けさせたくないと願う人が現れるのも理解できます。

予防接種による免疫は子どもに贈る大人からのプレゼントです。それで恐ろしい病気を回避、軽減できるならば自費であっても安いものかも知れません。
ただ副作用で重篤な症状が現れる事もあるので、むやみに推奨も出来ません。私は娘が中学生になった時の子宮頸がんワクチンに限っては、受けさせるべきか悩んでいます。ひどい副作用で歩行障害になってしまった少女の姿をニュースで見て以来、娘にも同じ事が起きたらと思うと二の足を踏んでしまいます。子宮頸がんは祖母や親戚、近所の人でも患った人がおらず、どこか他人事なので一層そのように思うのでしょう。娘は今はまだ幼稚園児なのであと数年は悩みたいと思います。

それでも予防接種は、先人が後の世の人の為に作り出した病気への対抗手段です。保護者の方は内容を理解した上で、覚悟をもって病院へ足を運びましょう。