xharukoの日記

妊娠、出産、育児の中で思った事をつれづれ書きます

アメリカでは高校生の小遣い稼ぎはベビーシッターなのに

「産後のお母さんを助ける人の漫画」が話題になっているそうです。


こんなのあったらいいな! 産後の母親を助ける理想のサービスを描いた漫画が話題
https://nlab.itmedia.co.jp/nl/spv/1904/07/news005.html

“赤ちゃんを産んだばかりのお母さんを心身ともにサポートしてくれる、こんなサービスがあったら良いのに”を漫画にした「産後のお母さんを助ける人の漫画」が、多くの賛同を集めています。作者は児童書などの挿絵を多く手掛けているイラストレーターの小松良佳(@yoshika_komatsu)さん。

 漫画で描かれているのは「お母さんを助け隊」というサービス。育児で疲れたお母さんのための国からの支援で、2人1組のスタッフが自宅に来て最長8時間手伝ってくれます。1年間有効のチケットが10枚送られてきて、子育てで家のこともままならないときや睡眠が取れないときなどに使用でき、双子や三つ子の場合はチケットの枚数も増えます。

記事を読んでとても素敵なサービスだと思いましたが、似たような事は既にファミリーサポートという制度で運用されているのではとも思いました。

ファミリーサポートは自治体によって無い所もあるようですが、私の住む自治体にはあったような気がします。
何故「気がします」なのかと言うと、私はサービスの利用をした事が無いので、ファミサポがどのようなものなのかの実態を知らないのです。
ファミサポをお願いしなくても何とかやってこれた事もありますが、何より見ず知らずの人に家の中の事や子どもの事をお願いするのに抵抗があったので私は利用しませんでした。
自治体から保健師さんが派遣される新生児訪問の時も、一軒家が当たり前の田舎で狭い賃貸住まいなのを知られる事が私は嫌でした。せめて片付けだけはちゃんとしていますよアピールの為に、赤子そっちのけで掃除をしたような人間です。そのようなタイプの人はきっと、こうしたサービスがあっても利用しないまま自滅してしまうのではないかと思います。


記事のコメントには

下の子も年長になり、すごーーく赤ちゃんの世話が懐かしいときがある。
もっと手が離れたら数時間、新米お母さんと交代して赤ちゃん見たいなあと思うのでそういう人を求人したらいいかも...。

自分が新生児育ててるときは余裕なかったけど、
3人産んで、そこそこ経験してるので
その経験で若いママさんを助けてあげたいな。

私も交代して赤ちゃんのお世話のお手伝いしたいです。
家の掃除とかは苦手だし他所の人のお家を触るのは怖いけど、子育ての力にはなれる自信がある!笑
相手のおうちなら赤ちゃんもリラックスできるし、お母さんも不安は減るだろうし、いいですよね。

私も立候補したい!
赤ちゃんを存分に見て触れるなんて天国や。笑


…という意見がありました。
私も自分が手伝いに行く側なら新米ママさんを手助けに行きたいです。しかしそれには幾つかの問題をクリアしなければなりません。
仮に私がママさんをゆっくり寝せる為に赤ちゃんの世話をすると申し出た場合、私は赤ちゃんにミルクをあげ、オムツを交換し、リビングで赤ちゃんを抱っこしながらテレビを観せて貰うでしょう。途中でトイレも借りるとします。使用後の哺乳瓶を洗う為に台所も使います。
他には私は何もしなくても、家の中を見られる、何かを盗まれるかも知れない、盗聴機などを仕込まれるかも知れないという不安が利用者には付きまとうのではないでしょうか。
まったく面識の無い私がどのような人間なのかを利用者は知らないのですから、こうした不安は当然です。二人組で来たとしても、二人がグルなら二人で良くない事をしていく可能性だってあると利用者は考えるでしょう。
手伝いに行った私が「助け隊」利用者から掃除を頼まれたとしても、掃除の仕方は家庭によって事なり、自分なりのやり方でして貰わないと嫌だという利用者もいると思うので、私なりの掃除の仕方では不満が残るかも知れません。以前ネットで産後に姑が手伝いに来てくれたが食器洗い専用のスポンジでシンクを洗われたのがストレスだった、というような投稿を読んだ事があります。他にも、何年もかけて育てた鉄フライパンを姑に洗剤で洗われ殺意がわいたとの怒りの投稿を読みました。読後に意味が分からず検索した私は、鉄フライパンのお手入れ方法をこの時に初めて知りました。読まなければ私も普通に洗剤を使って洗ってあげていたでしょう。
利用者一人一人に掃除のやり方があると思いますので、たかが掃除にも相応の経験や知識が必要になるのではないでしょうか。

また産後すぐはいわゆる「ガルガル期」と言い、他人に赤ちゃんを触られるのがとても嫌な気持ちになるママさんもいます。ママさんがどうしても数時間まとまった睡眠をとりたくて「お母さんを助け隊」を呼んだとしても、何の資格もない他人が我が子の世話をしていると思うと落ち着けない人もいるかも知れません。
また利用者がぐっすり眠って起きた時に助け隊の方に「赤ちゃん良い子でしたよ」とピカピカにして貰った部屋で言われたならば、「自分よりも上手に赤ちゃんの世話をされてしまった、自分の時は赤ちゃんは泣いてばかりなのに、自分こそが母親なのに」と自信を喪失してしまうママさんもいるかも知れません。


「お母さんを助け隊」というサービスを描いた漫画を紹介した記事には、以下のようなコメントがついていました。

仕事中に子供が怪我したり病気になっても責任を問わないなら、こんなサービスはとっくに開発されて普及してるよ。

こういう仕事をやりたいと言っている人は他人の子に事故が起こってもかまわないという前提なのか?
責任はとらないけど世話はしたいのか?

おそらくそんなことは絶対起こらないと考えてるか、何も考えてないかのどちらかだろう笑

でも、実際行われたらトラブルになると思う。
似たようなもので介護でトラブルになることがあるもの。
密室によるトラブルとか、日常生活程度の事故やケガ・・・
考え方の違いによるトラブル(特に育児は良いこと悪いことが人や時代地域によって違う&介護より親の関心が高いから)

あったら良いだろうけど・・・現実的にはかなりしっかりトラブル対策をとれる(人間が指揮を執る)じゃないと上手くいかない・・・

「車で片道30分以内くらいなら、都合がつくときなら、無料で立候補したい。
赤ちゃん時期の子育て中、どれだけ気持ちが追い詰められていたのかも自分なりに理解できるし、
おばちゃんの私からすれば、赤ちゃんを存分に見て触れるなんて天国や。」
というコメントには、

残念ながら、都合がつくときならって時点でお呼びじゃないと思うんだ
いつでも、頼めば必ずってのが願望なわけだから
事故が起きた時の責任問題もあるし、あなたのような純粋な恩返しの好意が、そのまま他人に渡りづらい時代だなあと思う

…という冷静なコメントがついていました。
育児や家事の手助けを、報酬が発生するきちんとした「仕事」にする為には相応の責任が伴います。万が一事故が起きた時の事もしっかり想定しておかなければなりません。
安全な国だという事が自慢の日本でも、こうした「お母さんを助け隊」サービスの運用を考えると様々な課題が噴出します。コメントにもありましたが、好意が好意のまま受け取って貰えるとは限らない時代になってしまったのです。

その一方で銃社会で治安も悪い所があるアメリカでは、中学生や高校生がアルバイトでベビーシッターをする場面をドラマか何かで見た事があります。香港などでも外国からの労働者に家事を任せたりする事が多いそうです。
子どもにもプライバシーがあると幼い頃から一人で寝かせるような文化の国で、しかし家庭内の事は家族以外の人に平気で任せる。家の中の事こそプライバシーの塊であると思う日本の感覚とはだいぶ異なるからこそ、こうした事が可能なのかも知れません。「家の中の靴を脱ぐ範囲」が影響しているのでしょうか。

日本でもメイドさんが当たり前の感覚になれば「お母さんを助け隊」のサービスは運用が容易になるでしょう。
しかし現実的に考えれば日本においては、一時保育を充実させる方が良いのではないかと思います。
親が一息つきたくなった時に、保育のプロが待機している保育の為に作られた施設に子どもを預ける。その間に家事代行のプロに来て貰い、自分の立ち会いのもとで掃除や料理をして貰えば、私のようなタイプの人間も盗難などの疑心暗鬼にならずサービスを受けられるでしょう。子どもさえ安全が確保されていれば、家に知らない人が来られても不安は少なくて済みますので。

いつでも望んだ時に子どもを安心して任せる事の出来るプロの一時保育サービスを無料で一回8時間程度利用できるチケットが国から支給されたならば、きっとすぐに受け入れて貰えるのではないかと思います。ママさんが夜にぐっすり眠りたい時はチケット2枚(16時間分)使用ならお迎えも焦らなくて済みそうです。
赤ちゃんのお世話をしたい有志は、最新の育児の講習を受けた上で保育士の目の届く保育施設にお手伝いに行けば良いのです。下の子がぐっすり連続で夜に寝てくれるようになれば、子どもたちは夫と寝ていて貰い、夜中に起きている事に慣れてしまった私は夜勤担当で保育施設にお手伝いに行きたいです。私も新米ママさんをお手伝いしたい。出来れば、ママさんを夜にしっかり寝せてあげたい。あとふにゃふにゃの赤ちゃんをもう一回抱っこしたいです。
以前「夜泣き小屋」の妄想を書いたような気がしますが(自分の記事など見返す気は無い)、それでは疲れているママさんを休ませる事は難しいのではないかと思うようになりました。もちろんママさんのストレス軽減には有効だとは思いますが、夜泣きに苦しむママさんが赤ちゃんと集まる夜泣き小屋では、ママさんに蓄積した疲労は回復できないと「お母さんを助け隊」の記事を読んで思ったのです。
既にある保育施設に夜泣きなんてどんとこいなベテランママと保育のプロが待機し、夕方にママさんが赤ちゃんを預けに行く事が出来たなら、どんなにママさんは安心して一息つける事でしょう。

赤ちゃんの面倒をみる事、家事の手伝いをする事など、人の好意が好意のまま回る事が難しい時代になったならば、「仕事」としてきちんと制度化していけば良いのではないかと思います。
保育のプロと保育施設を充実させる。財源の問題さえクリアすれば、実用化はそう遠くないのではないかと「夜泣き小屋」に続き、夢物語を書いてみました。