xharukoの日記

妊娠、出産、育児の中で思った事をつれづれ書きます

子どもで癒しを

意外とおじいちゃんたちには子ども好きな人が多い。これは私が子育てをしている中で感じた事です。
おばあちゃん、おばちゃんが子連れのママさんに声をかけるのはよくある場面であり、実際に私もそうした方々に話しかけられた経験はありますが、実はそれと同じくらいの頻度で私たち親子は街で会うおじいちゃんたちからも声をかけられます。
育児が女性の仕事とされてきた世代の男性は、可愛がりたくても子どもたちと触れ合う機会が殆ど無かったのではないかと思います。乳幼児と遊ぶなど「女々しい行為」が許されなかった男性たちは、おじいちゃんになった途端に子どもと触れ合う自由を得たのではないか。
おじさんの年頃ではまだ性犯罪の可能性があると女性たちから厳しい目を向けられるかも知れませんが、おじいちゃんならその危険も無いだろうとママさんたちも警戒の念を弛める。そこで本来子ども好きだった男性たちは、おじいちゃんになった事でようやく「男性とはかくあるべし」という呪縛から解かれ、乳幼児にニコニコと話しかけられるようになったのではないか。そんな風に私は思います。

機嫌が良い時の子どもは、多くの人にとって癒しの効果を与えると思います。以下の記事で紹介された介護事業所では、赤ちゃんの存在が多くの利用者さんに笑顔を与えているそうです。


介護に赤ちゃん効果 唐津の施設、お年寄りの癒やしに
https://www.nishinippon.co.jp/sp/nnp/national/article/508134/

赤ちゃんとお年寄りが一緒に過ごし、ともに笑顔を育む介護事業所がある。佐賀県唐津市浜玉町の「看護小規模多機能むく」。

(中略)

 むくは2017年、通所や宿泊、訪問看護などのサービスを一体化した施設として開設された。佐伯さんは「高齢者が生き生きと暮らせる場所をつくりたい」と多世代が集う介護現場を目指し、子ども連れ出勤を推奨。女性スタッフが赤ちゃんを連れて働き始めた。

 地域からも「アイドル」を呼び込もうと、昨年から0~3歳の乳幼児と母親を有償ボランティアとして招く。現在は4組の母子が登録。週に1度施設を訪れ、約3時間、高齢者とともに食事したり遊んだりする。

高齢者福祉施設では犬に触れ合うアニマルセラピーも癒しの効果があると話題になった事がありますが、赤ちゃんと過ごす事もまた、癒しの効果があるようです。
上記の記事では乳幼児と母親は有償ボランティアだという点を私は最も注目しました。家に閉じ籠る密室育児を避けられ、かつそれがお金になる。産休育休中に、子どもを連れた状態で僅かでも収入が得られるというのはとても素晴らしい事だと思いました。施設の雰囲気が良ければママさんは今後、子どもを入園させたらその施設で働いても良いかなとも思うかも知れません。実際に記事でも、ボランティアで来ていた方がスタッフとして働き始めたとありました。
ママさんの視点から見ればこの制度は子どもが0~3歳の社会から隔絶されがちな頃にトイレやお湯の確保の心配をせずに外出する機会と人と触れ合う機会が得られ、収入にもなり、ゆくゆくは働く場所となる施設の職場見学および職場体験が出来る。
施設から見れば利用者さんが笑顔になり、徘徊に出てしまった方も施設に戻る事を納得してくれやすくなるなどのメリットがある。赤ちゃんのお世話は連れてきたママさんにお任せできるので、赤ちゃんが泣いた時には休める部屋さえ用意すれば良い。
施設利用者は乳幼児から癒され、子どもの機嫌が良い時だけ可愛がれ、なのに小遣いをやらなくても良い。
これほどメリットの大きい取り組みはなかなか無いように思いました。

もちろん筋力の弱っている方が赤ちゃんを抱っこした時の危険性や、走り回る幼児が高齢者を転倒させる危険性、感染症が蔓延した時などの問題はあるかと思いますが、こうした取り組みがもっと沢山の施設で始まれば良いなと思いました。
有償ボランティアでいかほどの収入が得られるのかは分かりませんが、子どもと遊びに行くだけでお金になるなら私もぜひやってみたいです。

私の第一子が赤ちゃんだった頃、足の甲を握った時にあまりの柔らかさにとても驚きました。握るとストレス解消になるという、柔らかい素材でできた手の平サイズのグッズが多数ありますが、赤ちゃんの足はまさにそれを彷彿とさせる柔らかさでした。しかも赤ちゃんの足の甲は握ったこちらの手に吸い付くようにしっとりとしており、更に温かいので癒しの効果は抜群でした。
しかしその後は赤ちゃんのお世話に翻弄され疲弊していき、その柔らかさを堪能する事は無くなっていきました。そうした中で私の下の子が2歳になってから、他のママさんの生後数ヵ月の赤ちゃんを抱っこさせてもらった時にはあまりの柔らかさに衝撃を受けました。
赤ちゃんとはこんなにも柔らかいものだったのか。ほんの1年半前には自分も当たり前のように抱っこしていた筈なのに、私は忘れていたのです。ならばこの柔らかさから、もっと長い間遠ざかっていた人や触れた事の無い人にとってはどれだけの驚きと喜びになるでしょうか。

人は柔らかいもの、小さいものに接すると優しい気持ちになれると言います。記事で紹介された、介護事業所での赤ちゃんをアイドルとする取り組みはユニークかつ実用的だと思います。そうした場を設けてもらえたならば乳幼児と接する機会の少なかった高齢男性も堂々と赤ちゃんと触れ合えるでしょう。
また密室育児で一日中大人と会話しなかったというママさんを減らせ、子育てしかしていない自分は社会から必要とされていないのではないかという不安を抱くママさんに自信を与える良い機会なのではなのではないかと思います。