xharukoの日記

妊娠、出産、育児の中で思った事をつれづれ書きます

父親も育児をすると偏差値の高い子になる!?

子どもが3歳になるまで母親は子育てに専念するべきという「3歳児神話」があります。子どもの発育にとって大切な幼少期には、母親からの愛情が欠かせないものだと考えられていました。だからこそ殆どの幼稚園は今もなお満3歳からの入園にしているのかも知れません。おそらく3歳を越えれば食事や着替え、トイレなどの生活の基本動作が一人で行え、教育が出来る程度に子どもが成長しているからだろうとは思いますが(「幼稚園」は文科省管轄の教育機関、「保育園」は厚労省管轄で保育の時間が十分にとれない親を補助する機関)。
しかし、いつの間にか母子密着の推奨期間は短くなったようで、今は「生後1年間は母は子と一緒にいる事が子どもの発達に良い」と言われているようです。これは母乳が子どもにとって最良の栄養である為、母乳育児を推奨する目的で言われているのだろうと思います。また生まれてから最初の1年における母子関係は、子どもの認知能力や社会性を育む上で重要な役割を果たすという愛着理論に基づいてそのように言われているのだそうです。
しかし下記の記事によると、生後、母親と一緒に過ごした期間の長さは、子どもの将来の進学状況・労働所得などにはほぼ影響を与えていないことがドイツ、オーストリア、カナダ、スウェーデンデンマークの調査で明らかになったそうです。

"1歳までは母親が育児すべき"が間違いな理由
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190819-00029638-president-bus_all&p=1


つまり育児は母親だけで奮闘しても、外部の手を借りようとも、子どもの発達にさしたる影響は無いのだそうです。ならば完全母乳だろうと完全ミルクだろうとも、子どもの発達に大きな差は無い事にもなるかと思います。
乳児のうちから保育園に預けられる子どもを「可哀相」と感じる人は一部にいるようですが、無収入のまま母子の密室育児で母親が生活の不安から鬱になるよりは、保育園で保育のプロの手を借りて適切な保育を受けながら収入を得た方が、子どもにとっても母親にとっても良い結果になる人もいるのではないでしょうか。
私見ですが、3歳未満から保育園に預けられている子を「可哀相」と言っている人は本当は、可愛い盛りの子と離れ離れになってまで働かなくてはならない母親に対して同情の意味で言っているのではないかと思います。

ところで、先に挙げた記事の中に目を見張る一節がありました。
「お父さんが育休を取得した場合、子どもが16歳になったときの偏差値が1ほど上がった」というものです。

以下、引用です。

ノルウェーの研究では、データの制約のため、お父さんがどの程度、家事や育児に関わっているのか直接検証することはできませんでしたが、お父さんの育休取得が子どもの発達に与えた影響を知るために、子どもの学校での成績に着目しています(8)。この研究によると、1993年の育休改革の結果、お父さんの育休取得が増えました。そして、お父さんが育休を取得した場合、子どもが16歳になったときの偏差値が1ほど上がったそうです。

 なぜたった数週間のお父さんの育休取得が、16歳時点での子どもの成績に影響しうるのでしょう。論文の著者らは、わずかな育休取得でも、ライフスタイルに大きな影響を与え、お父さんが子育てに熱心になった可能性を重視しています。また、心理学の知見によると、生後1年間の親子のふれあいが、その後の長期にわたる親子関係に大きな影響を及ぼすことを引用し、短い育休取得でも子どもへの影響が持続しうると論じています。


実際には父親の育休取得は世界全体でもあまり進んでいない為、それが子どもにどのような影響を与えるのかは母数が少ない為に調査が十分に出来ていないようで、本当に偏差値が高い子に育つかどうかは憶測の域を出ていないようです。
したがって、以下は私の中での勝手なイメージです。

男性が育休を取得し、我が子のお世話を妻と協力して行う。すると夫と妻は意思疎通の場面が多くなり、会話の多い夫婦となる。育児という共通の作業が夫婦の絆を深め、両親がお互いを尊重する姿を見ながら子は育つ。両親の仲が良いので子どもは自己肯定感が高くなる。
父親が仕事に復帰しても、乳児の頃に世話をした我が子の事は世話をしなかった父親よりも愛着を抱くので、父と子の関係はより深いものとなる。父子だけでの外出の機会も多くなり、子どもは母親だけからは得られなかった経験も積む。
子の両親は元々は異なる生育環境で育った男女であるので、得ている知識、持っている興味などは異なる。母親だけからの良い影響を受けた子よりも、父親と母親の両方から良い影響を受けた子の方が興味の引き出しの数は多くなり、知的好奇心が勉学を促す。
その結果、偏差値の高い子どもになるのではないでしょうか。


父親が育休を取得した事で、仕事復帰後も育児の時間が長くなる事はカナダの研究で明らかになっています。


夫が育休を1か月間取と家庭の幸福度が増す? 育児時間と収入はどう変わるか
https://media.moneyforward.com/articles/3459?af=home_list_1st

研究では、育休取得後1~3年の期間を対象に、お父さんの子育て時間と家事時間を調べ、育休取得でこれらの時間がどう変化したのか検証しています。育休改革前には、お父さんは1日あたり平均で、およそ1時間半を子育てに費やしていました。育休改革後には、20分ほど子育て時間が増え、1日あたりおよそ1時間50分を子育てに費やすようになったそうです。また、お父さんの家事時間は1日あたり平均1時間10分から15分伸びて、1時間25分になりました。ケベック州では、育休取得をきっかけに、お父さんたちの子育てと家事の時間が増えたようです。

1カ月ほどの育休が、その後のお父さんのライフスタイルを少なからず変えてしまうというのは興味深い結果です。

育児を「女の仕事」と妻に任せきりにせず自分もきちんと向き合った男性は、育休の期間が切れてもその後の子育てに割く時間が長くなる。ならばきっと子どもが成長してからも父子間のやり取りや会話は多くなるのではないかと推測します。

我が家では家族でテレビを観ている時に私が得意なジャンルの話題が出れば私が子どもにちょっとしたクイズを出し、夫が得意なジャンルの話題の時には夫が子どもが理解できるように噛み砕いて解説する事があります。夫が得意なジャンルの話は私が知らないものも多く、こうした何気ない話の蓄積が子どもの中で後々何かに繋がったら良いなと期待しています。
母親の知識には限りがありますが、父親の知識も加われば、「その子が身近な大人から得られる知識」の範囲は広がります。世の父親の育児に割く時間が長くなればなるほど、父親がこれまでに得てきた知識を子どもに披露する場面は多くなり、おのずと子どもの興味の範囲も広がっていくのではないでしょうか。
私の夫は育休を取得するどころか出勤時間は子どもたちが起床する前、帰宅時間も子どもたちが就寝してから、という場合が多々ある状態ですが、もっと子どもと過ごせる時間があれば、今以上に子どもたちは父親が大好きになっているのではないかと思います。

父親が育児に関われば子どもの偏差値が高くなると言っても、50と70程に差がつくのならともかく、僅かに1では何とも言いようがありませんが、子どもは実際に見聞きした経験によって成績が変わるという記事を以前に読んだ事があります。

タワマン上層階の子「成績は低迷」の理由
https://president.jp/articles/-/26118

 人間は変化のない空間にずっといると、身体感覚が育たない。暑かったり寒かったりといった肌感覚がなく、足裏の感覚も常に一定だと、身体に刺激が少なく、身体感覚が鈍る。そして、いろいろなことに興味を示さなくなる。

(中略)

 外に出るのが面倒な子は、世界が広がらない。小学生の学習には、イメージが不可欠だからだ。子供は自分が体験したことや見たものでないとイメージできない。イメージができないと頭の中に知識が入りにくいし、そもそも問題を理解できないこともある。だから、実体験の乏しい子は、成績が伸びにくい。

四季がはっきりしている日本では、たかが散歩でもその後の理科の学習に役立ちそうな気付きを発見する事が出来ます。母親の行動範囲と父親の行動範囲が異なれば、その分だけ子どもの気付きの数も増えていくでしょう。
どうして空は青いのか、なぜセミは夏にだけ現れるのか、散歩の途中の子どものなぜなぜ攻撃にも、父親と母親とでは回答の仕方も異なるでしょう。
私は子どもからの質問に誤魔化しながら答える時がありますが、夫はスマホで検索して真っ向勝負で答える事もあるようです。その答え方の違いにも子どもたちは面白がっているふしがあります。
子どもからのなぜなぜ攻撃に答えが出せず窮するような時には、スマホを取り出して検索するのも悪い事では無いと思います。それは分からなければ調べる、という姿勢を子どもに見せる為です。調べものならば図鑑などの本で行わなくてはという方もいらっしゃるかと思いますが、タブレット学習を小学校でも導入しているような現代では調べものにスマートフォンを活用しない方が不自然だと私は考えています。
夫の声にだけ反応するGoogleに2歳の息子は特に興味津々で、夫が入浴中の隙をついて夫のスマホを持ちながら一人で「おっけーぐるぐる(グーグルと言えない)!」と父親を模倣している姿はとても愛らしいです。
自分には起動させられないGoogleの音声検索をいとも簡単に行う父親の姿を、きっと息子は憧れていると思います。将来の偏差値云々とは無関係だとしても、子どもが憧れる大人の中に「父親」が含まれ続ける事を私はとても期待しています。

夫が子どもの相手をする時間がもっとあれば、子どもの興味は私から得られるものよりもずっと広がると思っています。
男性にとって「育児」はオムツの交換や授乳および離乳食、着替え、入浴、寝かしつけ等の生活のお世話の事ばかりを思い浮かべるかも知れませんが、子どもと一緒に遊ぶ、会話をするという事も十分「育児」です。どんどん父子だけでも外出し、経験を積めば良いと思います。

しかし残念ながら日本では父と子だけの外出は、特に父と娘の組み合わせでは父親は不審者扱いを受ける事があるようです。


娘あやして「誘拐犯」...劔樹人さん、J-CASTに心境語る 実感した「男性の育児」への視線
https://www.j-cast.com/2019/08/20365353.html?p=all


2歳の我が子も私と何かをしたい時など「とーさん違う! かーさんが良いの!」という言い方をするので、「そうじゃないよ」という意味で「パパ違う!」という言い方が定着してしまうお子さんもいるでしょう。この劔樹人さんの一件は中年男性と幼女の組み合わせでの外出は事案発生と誤解されるおそれがある事が周知され、父親の育児のし難さが露呈されました。きっと、父親が子どもと二人だけで外出する事などあり得ない、という社会の偏見が根強くあるのだろうと思います。

我が子の通う幼稚園の親子行事には、父子家庭ではないにも関わらず保護者は父親だけで参加する子もいます。幼稚園への登園は父親が担当している家庭は少なくありませんし、預かり保育後の夕方のお迎えにも父親の姿を多く見ます。私は上の子を入園させた時に、自分が思っていた以上の父親の育児比率の高さを目の当たりにして「こういう時代になったのだなぁ」と驚き感動しました。そのような環境でここ数年を過ごしている為か私の中では我が子の幼稚園での父親育児担当率がいつしか普通になっていたので、劔樹人さんの一件で、この国における父親の育児のイメージはこの程度だったのだと改めてカルチャーショックを受けました。育児が身近にない人にとって、父親と娘の組み合わせでの外出は想像の範疇外の事なのでしょう。

父親と娘の組み合わせで、娘がイヤイヤしている姿が事件のように見えて警察から職務質問を受けた時に、直ちに親子である証明が出来る何かがあれば事は簡単に済むのではないかと思います。一番悲しいのは、周囲の人は怪しんでいたにも関わらず通報せず、本当に事件になってしまう事です。母子手帳を持ち歩くのも一つの手ですが、写真を後からいくらでも貼り付けられる手帳ではその子の母子手帳かどうかまでは証明のしようがありません。子どもはすぐに成長するからと我が家では作成を見送っていますが、顔写真入りのマイナンバーカードがこうした時に役に立つのではないかと思います。
誘拐かと怪しまれ通報されても、父親と子どものマイナンバーを問い合わせれば親子関係がすぐさま証明できれば、育児をしたい多くの父親も安心して外出できるのではないでしょうか。

父親が育児に積極的になれば子どもの偏差値が高い傾向になる事が証明されれば、父子で外出する親子が増え、その姿がいつしか普通になり、劔樹人さんが受けたような誤解も減るのではないかと期待します。
また簡単に親子関係が確認できるようになる事で警察が大人と子どもの組み合わせに対して職務質問を行う事が普通の出来事になれば、事件の発生も自然と防げ、結果的に父と娘の組み合わせでの外出も不自然ではない社会になるのではないかと思います。