xharukoの日記

妊娠、出産、育児の中で思った事をつれづれ書きます

これも人は自己責任と言うのかな

先日、NHKのニュースで「つながらない権利」という話を聞きました。


休日も届き続けるメール!つながらない権利とは?
https://search.yahoo.co.jp/amp/s/www3.nhk.or.jp/news/html/20191008/amp/k10012116481000.html%3Fusqp%3Dmq331AQNKAGYAfLJsb-g9L_5Rg%253D%253D

50代の男性は海外との取り引きが多い会社で10年あまり働いていました。しかし、海外展開の広がりと社内での役職が上がるにつれて、業務メールの数と早急な対応が迫られる責任の重さは増していったといいます。

1日に届く業務メールは多い時には500通以上。日本は夜でも海外では動きがあるため昼夜、休日関係なくメールが届き続けたといいます。仕事に関するメールを見逃してはいけないと、風呂場とトイレ以外にはすべてノートパソコンを持ち歩き、遠出もほとんどすることができませんでした。寝るのは朝3時までの2、3時間だけ。自宅に帰っても寝る直前まで仕事をしているため、夢の中でも仕事をしているような状況だったといいます。

男性はうつ病を発症し、メールの返信もだんだんできなくなっていき、この夏、会社を退職しました。

男性を苦しめていた自宅でのメール対応の時間は勤務時間にはカウントされていませんでした。

このニュースを知った時の私の感想は、
「乳児育児中と同じだな」でした。

以前、夜間や早朝の赤ちゃんのお世話を「残業」「早出」と夫婦内で表現している、という記事を読んだ事があります。
育児に会社用語を取り入れる事で夫婦で大変さを共有し、互いにねぎらっている、というような話だったかと思います(うろ覚え)。

昼夜、休日関係なく仕事のメールが届き対応してきたという冒頭の記事の男性の姿に、休日という概念など最初から無く、昼夜関係なく適切な対応を求める赤ちゃんを育てているママさんの姿が重なりました。
夜泣きをしない子であれば子どもが1才を過ぎれば睡眠時はぐっと楽にはなりますが、一人で落ち着いてトイレに入れる時など私の場合は子どもが3才になっても訪れず(鍵をかけると子どもに怒られる)、もちろん私一人でお風呂に入れるようになってもテレビでこんな事をやっていたよ、お絵描きしたから見てと子どもが報告に来るのでゆっくりしている余裕は無く、子どもがトイレトレーニングをするようになると幼児用補助便座や子どもサイズのトイレが出先にあるか不安で、遠出などなかなか出来ません(私が抱えれば下の子も大人用トイレで用を足せますが)。
2、3時間もまとまって眠れるなんて、乳児育児中よりはずっとましな労働環境ではないかとすら記事を読んで思ってしまいました。

育児が大変、とSNSなどでこぼすと、見知らぬ誰かから
「産んだのは自分だろ」
「自業自得」
「旦那さん選びを間違えましたね」
というような反応があるらしいと聞きました。
携帯電話が普及し、いつでも会社に縛られていると感じる会社員は今はとても多いように思います。仕事はグローバル化し、海外とのやり取りにはこちらの時差など考慮されず対応しなければならない業務の人もいるのでしょう。
こうした仕事をしている人に対しても、仕事が辛いと投稿すれば
「その会社を選んだのは自分だろ」
「自業自得」
「学生の頃にきちんと勉強しなかったツケですね(だからホワイト企業に入れなかったんですよ)」
という反応はあるのでしょうか。

取材を受けた男性は記事のような働き方を10年あまり続け、うつ病になってしまったとありました。子どもを3人産めば母親に自分のペースで過ごせる時間など10年は訪れないと考えると、どちらも似たようなもののように思えました。
唯一の違いは末の子が3才にでもなれば親も十分な睡眠時間が確保できるようになる事でしょうか。

人間は寝ないとおかしくなると思います。徹夜しても平気な10代のうちに子どもを産んでしまえば子育てはもっと楽なのではないかと思う時がありますが、10代ではまだ経済的に自立する事は難しく、自身にも親に甘えたい気持ちがある人も多いと思うので、やっぱり厳しいのかも知れません。
このような記事を読みました。


ロボットベビーの世話に疲弊した高校生が母親に泣きついた その返答が話題に
https://www.buzzfeed.com/jp/kristatorres/teen-who-wanted-help-taking-care-1

高校の幼児教育のクラスの課題として、ロボットの赤ちゃん「ウィリアム」の世話をするように言われた女子高生。疲弊した彼女の姿と母親のコメントがFacebookで話題になっている。

(中略)

ウィリアムと名付けられたこのロボット赤ちゃんは、高校の幼児教育のクラスから課題として支給されたもの。

リビアは母親として、金曜の夜6時から翌週月曜の夕方5時までウィリアムの世話をしなければならない。

(中略)

人間の赤ちゃんが必要とするすべての世話をウィリアムにもしなければいけない。

ウィリアムはお腹が空いたら泣き、ゲップをしたくなったら泣き、オムツを変えてほしくなったら泣く。

「一見簡単そうですが、深夜にもこれが繰り返されます。オリビアは眠っていても泣き声に起こされるし、落ち着いたと思ったらまた1時間後に起こされるんです」と母親のローレンは説明した。

夜中にオリビアが「お願い、お願い、お願いだからゲップして!」と泣いているのを聞いたそうだ。

「本当に涙を流して泣いていました。メソメソしてるんじゃなく、嗚咽して大泣きしてたんです」

若さと体力のある10代でも、一時間程度ずつしか眠れない日を過ごせば、やはり精神が参ってしまうようです。そもそも覚悟を持って産んだ赤ちゃんではなく、授業の課題として与えられただけのロボットだったからこその甘えもあったのかも知れませんが。

仕事は転職したり、休職したりする事ができますが、育児にはそれが許されません。せいぜい預かり保育に任せるくらいで、しかし夜間に赤ちゃんを預かってくれる機関はそうそうありません。そして仕事に「つながらない権利」は求められても、赤ちゃんからの要求に親が「つながらない権利」を行使する訳にはいきません。

仕事も育児もどちらも大変な事ですが、育児についてだけ、やけに「自己責任」と言われる傾向があるように思える現状に得心がいきません。

そもそも「自己責任」という言葉はいつからこんなにも台頭するようになったのでしょうか。思うに、結婚や子どもを持つ事が「贅沢」だという認識が出てきてからのような気がします。
仮に東京大学に入学した人が「勉強が大変」と愚痴をこぼせば、それを聞いた人はレベルの高い大学に入学したのだから、そんな事は当たり前だろう、入学する前に気が付けよと考えるだろうと思います。合格できただけでも贅沢なのに、と憤る人もいるかも知れません。子どもを持つという事は、いまやその位の贅沢な事なのでしょう。

子ども、特に新生児の育児は昼夜がまったく関係ないのでとても大変です。夜泣きをする子の育児も大変です。自動車が近付いているのに道路の反対側に行こうとするなど、周囲の状況を無視して自分のしたい事をしたがる幼児の相手は肝が冷えます。
しかし、そんな事は産む前から分かっていただろう、自業自得だと断じても誰も何も得をしません。

愚痴や弱音は、ただ共感して応援して欲しくて人はSNSに投稿するのだろうと思います。それを自己責任などといちいちつっぱねず、受け入れ、励まし合うSNSの使い方をすれば、より良い世界になるのではないかと思いました。



というか、他人の愚痴に反応する人はよっぽど暇なのだろうなと思います。