xharukoの日記

妊娠、出産、育児の中で思った事をつれづれ書きます

どれが正解?

2020年3月16日にEテレで放送されたミニアニメ「おちゃめなシモン」を視聴して、親としてどうすべきかモヤモヤしています。
その日の放送は「頭がかゆい!」という題名で、学校で遊んでいる最中にシモンのクラスメートのルーという子の頭がかゆくなってしまう、という物でした。この段階でシラミの話なのだろうなとピンと来た方もいらっしゃるかと思います。ルーの頭のかゆみは「かゆい虫」が原因でした。

「おちゃめなシモン」の「頭がかゆい!」の回のあらすじは以下の通り。
ルーとシモンは仲良しで、シモンが自分に優しくしてくれる事からルーはシモンを「一番の親友」と言ってくれ、シモンは喜びます。しかしルーは他の子にも「一番の親友」と言っており、ルーの親友が自分だけではない事に落胆するシモン。
ところがルーの頭にかゆい虫がいる事が発覚すると、ルーは他の子から敬遠されてしまいます。しかしシモンは虫など自分は気にしないと言い、以前と変わらない態度でルーと接し、「かいかい虫」を題材に楽しい遊びすら考案します。楽しそうなシモンとルーの様子にルーを避けていた子も遊びの輪に加わり、シモンはルーから「一番の親友はシモン」の言葉と頬へのキスを貰う。ついでにシモンは、かゆい虫もルーから貰ってしまうのでした。

作中に「シラミ」という言葉は登場しませんでしたが、十中八九「かゆい虫」とはアタマジラミの事でしょう。
シラミと言うと学校で白い粉末を振りかけられている戦後すぐあたりの子どもの写真を目にした事があり、それが白黒写真である事も相まって、「昔の感染症」という知識しか私にはありませんでした。ところが、つい数年前に日本の保育施設でシラミが流行している、というニュースをテレビで知り、現代でもシラミが残っている事に強い衝撃を受けました。それが脳裏に残っていた為「シモン」でルーという子が頭がかゆいと言い出した瞬間にシラミが原因なのだろうなと私は予想しました。

シラミは少し前の私にとって終戦の頃の感染症という印象でしたが、「1997年にはアタマジラミ駆除薬が約33万個出荷され(駆除薬1個は罹患者1人が1クールの治療に使用する量)」と下記のサイトにありました。

シラミ症
http://idsc.nih.go.jp/iasr/20/232/tpc232-j.html

また【シラミ 保育園】で検索すると2018年前後に公開された記事が検索結果上位に幾つも出てくる事から、未だシラミとの戦いは終わっていないようです。

シラミの駆除には目の細かい櫛で物理的に取り除くか、殺虫剤を含むシャンプーで洗髪するかするそうです。先日の「おちゃめなシモン」は、シモンが母親にシャンプーをして貰う場面で終幕となりました。
シモンはルーからキスを貰っただけでシラミがうつりました。シラミがこんなに簡単に感染してしまう物であれば、誰がうつしただとかを追及したり、シラミがいる子を仲間はずれにしたりする事はナンセンスなのだろうと思います。
自分がルーのように「かゆい虫」の保有者であれば、変わらず遊んでくれるシモンの対応はとても嬉しいと思います。しかし、親となった今ではシモンの行動は誉めるべきなのかどうなのかが分からなくなってしまいました。君子危うきに近寄らずと言いますから。

親の立場からすらば、シラミをうつされないようにルーを避けた子の行動は正しいように思います。また、ルーが孤立しないように以前と変わらない態度で接するシモンが我が子であれば、それはとても誇らしいとも思うのです。
今回はシャンプーで駆除できる程度の問題なのでシモンの行動は正しいのだろうと思います。しかし、これがもし一生ものの跡が残ったり、生命の危機もありえるような物であったならば話はまるで変わってくるのではないでしょうか。

何がどの程度の危険なのかを子どもに伝える事はとても難しいと思います。2017年に千葉県松戸市で起きた、通常なら信頼できる筈の学校の保護者会会長による9才女児殺害事件は極端な例だとしても、不審な人物も事件を起こすまでは、普通の人とどう違うのかは大人にだって分かりません。
何が危険で、何が危険ではないのかは、子どもはこれから様々な経験を経てその判断材料を獲得していくのだろうと思います。それを獲得するまでは、どうか子どもの身に危険な事など起こらないようにと祈るばかりです。

今回のシモンの軽率な行動は、シラミをうつされる程度の被害で済みました。変わらない態度で接し、ルーに悲しい思いをさせなかったという点は本当に素晴らしいと思います。それでも、狭量と言われようと、出来れば自分の子には何の被害もないように行動して欲しいと思ってしまうのです。
世界は今、新型コロナウイルスへの対策に追われています。子どもたちは退屈な日々を余儀なくされ、ストレスを感じているかも知れません。若者はコロナウイルスに罹患しても軽度で済むらしいと言われていますが、それでも、感染の可能性は少しでも低くしてあげたいし、我が子が自覚症状のないまま他の誰かにうつしてしまうような事のないようにしたいのです。

そう思うと、先日のシモンは、どう行動する方が良かったのか。
あの話を教訓に、私は我が子に危険予測をどのように教えるべきなのか。
私の中で、答えはまだ出せないでいます。