xharukoの日記

妊娠、出産、育児の中で思った事をつれづれ書きます

4月生まれの話

私の知り合いに、4月1日生まれのお子さんを持つママさんがいます。4月1日と言えば通常は年度の始まりの日ですが、誕生日の前日に加齢する、という決まりにより、そのお子さんは他の4月生まれの子たちよりも一つ上の学年になる為、当該学年の中で最も誕生日が遅い子となるのだそうです。
4月1日生まれの子の場合は助産師さんらが書類に細工をして4月2日生まれにし、学年をずらす事があるという話を聞いた事がありましたが、それは都市伝説か何かなのか、どうやらそのお子さんにはそのような措置はなかったようです。

私が妊娠を意識するようになってから気付いたのは、子どもを4月生まれにしたいと希望する人は案外多いという事です。スポーツ選手に4~6月生まれが多いという話もその流れで目にした事があります。子どもは授かり物ですが、産み月を逆算して妊活をする方は多いのかも知れません。
うろ覚えですが、海外ドラマか何かで「ジューンブライド(6月の花嫁)だと子どもは春生まれになる」と登場人物が話していたような記憶があります。それを観た子どもの頃には、何故6月に結婚式をすると子どもが春に生まれる事になるのか意味が分かりませんでしたが、妊娠の仕組みを知ってから解せました。6月に結婚式をしてから子作りをスタートして7月に受精すれば、確かに春生まれの子どもが誕生します。カトリック信者の国が舞台だったのか、婚前交渉は概念になかったのでしょう。またそのドラマか映画では、春に子どもが生まれれば、気候が穏やかで育てやすいとも言っていたような気がします。
同じように、4月生まれの子は現代でも何かと有利らしいと、主にネット記事等で読みました。特に保育園激戦区では子どもが3月生まれになるか4月生まれになるかで母親の職場復帰のハードルが変わるのだそうです。また、幼稚園や小学校のお受験が盛んな地域では、早期に教育が始められる4月生まれは「勝ち組」とすら言われているようです。


4月生まれの子を計画出産の母 「9月入学」導入見送りに一安心
https://www.moneypost.jp/668103

 コロナの蔓延で長期の休校が続くなかで浮上したのが、「9月入学」構想だった。しかし、来秋からの導入は見送りに。これにより、“逆転”の難を逃れた人がいる。
 仮に導入されていれば、「4月生まれの子」が勝ち組から負け組に転じる可能性があったのだ。

4月生まれが「勝ち組」だと言うのであれば、実を言えば私は相当に勝ち組になります。私は例年、入学式や始業式の日までに誕生日を迎えてきました。
確かに4月生まれは子育て中の親にとってメリットは大きいのかも知れません。現行の日本において4月生まれの子とは学年で最も発育が良く、同学年の子と比較すると何をさせても平均以上の事が出来ると一般的に思われているかと思います。幼稚園や小学校のお受験を控えているのであれば、子どもを4月生まれにしたがる気持ちはよく分かります。

しかし、自分が4月上旬生まれだからこそ感じたデメリットもあります。
私の誕生日が始業式の前なので、他の人たちと年齢と学年の認識がズレてしまう事が度々あります。小学校一年生で入学式を迎えた時には私は既に7才でした。学年が上がるタイミングで私は年齢も上がっていたので、15才と言われれば中学三年生だと私は認識し、何でもない会話にズレが生じてしまうのです。おかげで上の子の幼稚園入園の説明会をあやうく見落とす所でした。

小学生の頃には、誕生日の同級生にお祝いのメッセージカードを用意する習慣が私の母校にはありました。担任教師が用紙を用意し、○○ちゃんがお誕生日なのでメッセージを書きましょう、と全員に配付するのです。ところが、始業式でクラス発表が行われ、その日に同級生になったばかりの子にお祝いのメッセージを書けと言われても何も文面など思い浮かばないものです。私の手元には鉛筆書きで形式的に「○○ちゃん おたんじょうび おめでとうございます」と書かれたカードが集まりましたが、3月生まれの子の元には一年間の苦楽を共にした仲間意識が既にあるので、カラフルなペンやイラストで彩られ、豊富なメッセージが書かれたカードが多く寄せられました。学年が上がる度にそれらの差は薄れてきましたが、あの切なさはアラフォーの今でも覚えています。

会社勤めをするようになると、会社の規定を新人研修の時に教えられましたが、退職のタイミングは同期入社と言えども人によって異なると知りました。私が勤めた会社では60才の誕生日が来ると定年になるという規定だったので、同じ日に入社したにも関わらず3月生まれの人は私よりも長く働け、給与を得る事が出来るのだそうです。4月上旬生まれの私が退職した後に3月下旬生まれの同期は12ヶ月近くも長く働ける。同じ会社に在籍し、お互い仮にずっと同じ給与でも、生まれ月で生涯年収に差が出てしまう事が分かりました。

アラフォーの今、3月下旬になるとその日が誕生日だった同学年だった友人を思い出し、その1週間後に来る自分の次の誕生日にため息が出そうになります。
幼児期の頃には誕生日がいつかで同級生内で発育に差が出ます。4月生まれは人生のスタートが早いのですから、そこからほぼ一年後に生まれた3月生まれの子とは開きが出る事は当然です。
小学校一年生の時、私はクラスで最も背が高い子でした。男子からは「デカい」とからかわれたような気がします。座席は必ず後ろになり、大きい背の順に並ぶと小学三年生あたりになるまで決まって先頭でした。背が小さくて可愛らしい同級生を羨ましいと思い、一生懸命猫背をしていたような覚えがあります。

私が自動車の運転免許を取得したのは大学生の時だったので、生まれ月は関係ありませんでした。高卒で就職しようと思うと3月生まれの人は免許取得が大変だと聞きますが、誕生日までに仮免許まで進めておけば何とかなるのではないかと思います。

私がこれまで挙げたデメリット以上に、自覚していないメリットが4月生まれにはあるのかも知れません。しかし4月生まれ本人から言わせれば、子どもは何月に生まれようと決して「勝ち組」「負け組」に分けられるものではないと思います。


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厚生労働省:平成17年度 出生に関する統計の概況より
出生の推移
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/syussyo05/syussyo1.html

こちらのグラフによると、赤ちゃんが生まれているのは9月をピークに、夏頃が多いようです。最新の統計は見つけられませんでしたが、概ね同じような傾向にあるのではないでしょうか。
個人的に、誕生月が同じ子同士だと親近感が湧き、早く仲良くなるような気がします。我が子の幼稚園では誕生会ごとにその月に生まれの子たちと先生で記念写真を撮影していましたが、誕生日の子が多い月の写真はわちゃわちゃしていて楽しそうでした。

あえて「勝ち組」と表現するならば、私は9月生まれの子が4月スタートの日本では勝ち組のような気がします。夏休みが明けてからの誕生日で、同級生に一番お祝いされやすいイメージで。