xharukoの日記

妊娠、出産、育児の中で思った事をつれづれ書きます

いっそ産婦人科診療をゼロにして

出産費用ゼロを目指す、という話が上った事があります。


岸田氏の「出産費用ゼロ」関心集めるも... 「出産より養育費」「焼け石に水」と冷静な声、ネットで続出
https://www.j-cast.com/2020/09/10394037.html

 自民党総裁選に出馬している岸田文雄政調会長が出産費用の実質無償化をめざす考えを述べ、2020年9月9日から10日にかけて「出産費用ゼロ」というワードがツイッターのトレンド入りを果たした。菅義偉官房長官の「不妊治療の保険適用」発言に続き、ネット世論の大きな関心を集めた形だ。しかし、個々のツイートをみると「支援が必要なのは出産より養育費」といった意見が多い。

多くの人が「支援が必要なのは出産より養育費」と感じているように、私も分娩時の費用を無償にするよりは、産んでからの支援を長く手厚くして欲しいと願う一人です。
しかし世の中には、分娩費用どころか妊婦健康診断の費用の用意も不安になる女性がいる事は間違いないのではないでしょうか。下記の記事では妊娠健診費用の助成の事を挙げていますが、こうした助成を知らない女性は少なくないのかも知れません。実際に私は第一子を妊娠した段階では母子手帳をどこで発行して貰えるのかを知りませんでしたし(病院の受付で教えて貰った)、妊娠健診費用助成は、母子手帳を受け取った時に役所の方から一緒に渡された冊子で初めてその存在を知りました。


知らないなんてもったいない!妊娠から子育てまでもらえる給付金まとめ
https://anna-media.jp/archives/340916

妊娠したらすぐに市町村へ届け出ておきたいのが『妊娠健診費用助成』。こちらは、『妊婦健診(妊娠健康検査)』を受ける費用を市町村が助成してくれる制度です。

(中略)

そこで、『妊娠健診費用助成』を活用すれば、「妊婦健診の受診票」を持って各自治体と委託契約を結んだ医療機関で健診を受けることで、一定額を助成してもらえます。

妊娠は病気では無いので保険が適用されず、全額自己負担となります。従って、妊娠したかもしれない時に病院に行く時には、財布の中身には余裕をもって出発しなければなりません。
私が第一子を妊娠した時には初めに小さな婦人科(元は産婦人科だったが東日本大震災で設備が壊れただとかで産科が続けられなくなっていた)でお世話になってから里帰り出産用に実家近くの総合病院に転院したのですが、第一子妊娠中に妊娠糖尿病になったので、内科医と小児科医も出産に立ち合う、という話すら出た事がありました。結果的にそこまで大事にはなりませんでしたが、そうした経緯があったので第二子を妊娠した時には最初から大きな総合病院にかかる事にしました。すると第二子の時には初診時に初診料の他に、紹介状なしで大病院を受診した時の特別な料金という事で5000円を上乗せされて請求されたのです。
これは平成27年(2015年)5月に成立した医療保険制度改革法によるものだそうで、ただでさえ妊娠確認の受診で保険が適用されない所に5000円(病院によってはそれ以上の金額設定になっている事もあるらしい)を上乗せされたので、私は面食らってしまいました。
大病院でなければ5000円の加算はされないにしても、どこか痛むわけでも無い状態での受診は、お金に余裕が無い方には厳しいものがあるかと思います。人によっては保険適用で3割負担だと思っていても、その費用も出せないと受診をためらってしまったのか、陣痛が来て初めて受診する妊婦もいると以前テレビの特集で知りました。
妊娠は十月十日(とつきとおか)という程、長期間に及びます。初めて妊娠した時には出産まで何回病院に足を運ぶ事になるのか見通しも立てられず、妊娠健診費用助成を知らなければ、出産までいかほどの請求を受けるのか、その金額を恐れて病院から足が遠退く人もいるのではないかと思うのです。

陣痛が来て初めて産院に駆け込む未受診妊婦の事を鈴ノ木ユウ氏の漫画「コウノドリ」(MORNING KC)では「野良妊婦」と呼ぶ場面があります。
未受診妊婦の頻度は、妊婦さん全体のうち0.25〜0.5%だと下記の記事にありました。

コウノドリ漫画1巻【第1話】産婦人科医が解説
https://note.com/tommy_note_page/n/n93500718cfeb


漫画に登場した未受診妊婦が何故どこの産婦人科にもかからず未受診のままでいたのかと言うと、経済的な事が理由でした。
借金があり、家賃も滞納。保険料が未払いなので役所には行きづらく、誰にも相談できない。貢いだ男には逃げられ、堕ろすお金もない。更には自分の親とも連絡が取れない。
私がこの状況に置かれたならば、出産してもきっと子どもを育てる事も出来ないので、階段から落ちて事故を装ったか、わざと冷たい川に入っていたかも知れません。

妊娠は望まなくても成立する事があります。自分に自由に受診できるだけのお金が手元になければ、野良妊婦になる道を選ぶ女性が出てくる事は想像に難くありません。未成年者の妊娠に周囲が気付くのが遅れて堕胎できる週数を過ぎてしまっていた、というのも、妊娠を認められずに逃避していた、親に怒られまいと本人が隠していた事もありますが、堕胎に莫大な費用がかかると思い込んで誰にも相談できずにいたからでもあるのではないでしょうか。

厚生労働省不妊治療に公的保険を適用するため、具体策の検討に入ったそうです。国も、子どもを望む夫婦も、どちらも赤ちゃんの誕生を望んでいるのです。
ならばいっそ、ただでさえ女性が受診する時にかなりの敷居の高さを感じる産婦人科は、他の診療科とは一線を画し、どのような理由であっても34才までは初回の受診は無料としてはいかがでしょうか。また、妊娠健診費用の助成の対象とならないNSTノンストレステスト)検査などの費用も自己負担ゼロにするべきではないかと思います。
妊娠が目出度い人は喜んで産婦人科を訪れます。妊娠6週の段階から受診した私は予定日も超過したせいで14回の妊婦健診無料チケットでは全く足りず、後期の受診は思いがけない出費となってしまいました。しかし、妊娠をお目出度い事だと感じない人にとっては、そもそもの出足が鈍ってしまうのではないかと思うのです。そうした方々が少しでも産婦人科に行きやすくなるように、初回の受診を自己負担ゼロにするのです。
女性が体調がおかしいと感じた時に、34才までなら無料だからと真っ先に婦人科を受診するようになれば、いざ子どもが欲しいと思った時に自分が不妊治療が必要な状態だとその段階で発覚するよりも、早い段階から治療が始められる事もあるのではないでしょうか。そしてその方が結果的に治療費は安価に抑えられるのではないでしょうか。

産婦人科への受診の敷居の高さは、男性には理解しにくいものがあるかと思います。だからこそ、若い女性の誰でも心安く受診できるような助成が欲しいと願います。
中学3年生になったら学校での健康診断のように、女子生徒は先生引率で全員が婦人科検診に行く事を組み込んだら「あの子は産婦人科に行った事がある」などと女子同士での誹謗中傷も無くなり、将来の不妊に繋がる症状の早期発見も叶うのではないかなと、アラフォー女は思うのです。
また、その時に学校や家庭での教育では手が届かない、低用量ピルやアフターピルの存在、出産費用を用意できそうにない人には事前申請で出産費用を助成してくれる制度、特別養子縁組の制度の説明を産婦人科で受けられれば、いざ何事かが起きた時に少しでも不安を和らげる事が出来るのではと思います。素人の浅知恵で書き散らしますが、産科には母親教室などを開く部屋が既にあるかと思うので、あとは人員の余裕の問題でしょうか。教師に教わるよりも看護師さんや助産師さん、ソーシャルワーカーさんに教わった方が正しい知識を得られ、10代前半でも妊娠出産を自分事として捉えられるかなと思います。

子どもが増える為には、女性が安心して暮らせる社会にならなければなりません。子どもが欲しいと願う人、今は子どもを望んでいない人、どちらにも安心が必要です。
子どもの将来の学費が足りるかどうかも悩ましい問題ですが、もっと切迫した悩みを抱えてしまいそうな若い女性に、いま現在でも沢山の助成がある事実を、まずは周知したら良いのになと思いました。