xharukoの日記

妊娠、出産、育児の中で思った事をつれづれ書きます

いま一番子どもに視せたいアニメ

Eテレ「グレーテルのかまど」で放送された「“おジャ魔女どれみ”の愛(いと)しのトゥルビヨン」の回をきっかけに、私と娘はすっかり「おジャ魔女どれみ」が大好きになりました。
私はセーラームーン世代だったので「おジャ魔女どれみ」は知っていても視聴した事がありませんでした。また娘は「キラキラ☆プリキュア アラモード」からプリキュアに入った子だったので、スイーツ作りという共通点から物語にぐいぐい引き込まれました。

おジャ魔女どれみ」は1999年から2003年に、いわゆるニチアサ(日曜日の朝)で放送されたアニメなのですが、絵柄の可愛らしさから小さい子ども向けかなと思いきや、その描写の細かさに驚いてしまいました。
例えば、枯れた植物の原因を探す為に他校を見て歩きたい時に、その学校の先生に校内探索の許可をとる場面がありました。物語においてこのような場面が入る事は、特にアニメにおいては普通なかなか無いものかと思います。自分が所属していない団体が保有する土地や建物に入る時には、子どもと言えどこうした手続きを踏まなければならない。そこをきちんと描いていた事に驚きました。
また、別世界から来た女の子を学校に通わせたい時に、仲間の二人をその子の仮の両親に変身させ、役所に入学の手続きに行く場面がありました。便利な魔法があるのですから、魔法を使って周囲の人間の記憶を書き換えれば話は早い筈です。しかし魔法を使うポイントは私が想像するよりも一段階前のあたりで、問題を解決するには自分たちの努力やアイデアの方が優先されているような印象でした。
他にも、「プリキュア」であればプリキュアに変身後はプリキュアメンバー同士としか一緒にいる場面が殆ど無いのに対し、「おジャ魔女」では他にも仲良しの友人がいる事にも私は驚きました。特に女子は一度グループに所属すると、他のグループの子とはなかなか一緒にはいられないような印象を私は持っています。この友人は自分たち以外にも仲の良い友人がいる。それを受け入れてくれる友人関係というものは、とても羨ましく思いました。グループ以外の子とも仲良くしていて良いのだという姿勢は、イジメの防止にも繋がるのではないでしょうか。

恋とまではいかなくても、気になる異性がいる事をふざけて茶化す者もなく、周囲は温かく見守る姿勢も素晴らしいと思いました。また教師の恋愛を肯定的に描いていた点も私は好意を抱きました。主人公の担任の女性教師が彼氏の為にダイエットを決意する場面などは、教師も人間なのだと、テレビ放送時に視聴していた子どもたちに良い影響を与えたのではないでしょうか。

シリーズの中には赤ちゃんのお世話がメインになるものもありました。風邪をひき、鼻が詰まって赤ちゃんが息苦しそうにしていた時に、自分の母親から教わった方法で主人公は赤ちゃんの鼻詰まりを解消させます。その方法とは、お世話をする人が赤ちゃんの鼻の穴に吸い付き、口で鼻水を吸い取るものでした。
私の娘が赤ちゃんだった時に、私がもたもたしている間に私の実母が私の娘の鼻水を吸い取った事がありました。
「大人が吸い取ってやればいい」と言われても、自分の口に我が子とはいえ他の人間の鼻水を入れる事に私は躊躇してしまったのです。自分が産んだ子どもにも私はすぐに出来なかったのに、主人公はそれをやってのけました。うんちの処理は手を洗えば済む話ですが、他の人間の鼻水を口に入れるというのは、なかなかハードルの高い行為です。私は先に実行した実母の姿を見て出来るようになりましたが、話を聞いただけでやってのけた主人公は本当に凄いと思います。
このアニメを観て育った子どもたちが大人になり、自分の子を前にしてあの場面を思い出した時に、主人公の「ママになる」という覚悟の大きさに改めて気付かされるのだろうなと思います。他にも育児で大切なポイントを色々学べるので、育児の教材のようにも使えるかも知れません。
なお、主人公が鼻水を吸い取る場面の時に、私は娘に「今は鼻水吸い取り機があるから、それを使う人も多いけど、私もあなたたちの鼻水をすすったわよ」と自慢しておきました。

個人的に秀逸だと思ったのは、私立中学への進学か、友人と一緒の公立中学への進学かを悩む女の子のエピソードです。主人公とは幼稚園の頃からの友人で、一緒に魔女見習いにもなった仲である彼女は、他の魔女見習いの子たちと違って小学校卒業後も地元に残る為、彼女だけは主人公と一緒の公立中学へも通えます。
高校であれば、成績によって進路が分かれる事に諦めもつくでしょう。しかし中学受験をしてまで別の中学に進学する事は、人によっては「裏切り」と捉えるかも知れません。それを恐れて彼女は主人公に本当の気持ちを言えずにいたのですが、それでも、自分自身の夢の為に私立中学へ進学する事を主人公に告白します。自分の本当の気持ちがなかなか言えなかった彼女の大きな成長に、心が震えました。

4年間、新キャラを迎えながらも同じキャラクターを中心にして物語を紡いだアニメだからこそ、登場人物の深い掘り下げも出来たのでしょう。魔女見習いでありながら、魔法で何でも解決できる訳ではないストーリーは本当に素晴らしいと思いました。
主人公たちが一年を過ごす間にテレビ視聴者も一年を過ごし、春には同じように学年が上がっていきます。視聴者にとって主人公たちは、世界は違えど本当の友人のように思えた事でしょう。
一年続けば良い方で、半年で終わるものや、場合によっては13話程度で一旦区切ってしまうアニメもあります。こういう「特別な友人」が持てるようなアニメが私の子どもたちにもあれば良いなとつくづく思いました。