xharukoの日記

妊娠、出産、育児の中で思った事をつれづれ書きます

心の中にいつも貴方がいる

私が映画を観て感動し、涙した事はこれまでにも幾度もありました。
しかし、こんな風に喉の奥から無意識に声が漏れ、泣いてしまった経験はそう多くはありません。
しかも、まさかそれが「仮面ライダー」の映画で起こるだなんて。

そのとき私が観た映画とは「平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER」です。
冒頭の、時計の針が動く音と共に写真の画像が次々変わり、最初は赤ちゃんだった子どもが写真が変わる度に少しずつ成長していく様子に私はまず涙腺がゆるみました。男の子が育つ度に一緒に写っている「仮面ライダー」のシリーズが替わる様に、ああ、この子の成長の傍らにはいつも仮面ライダーがいて、この男の子は仮面ライダーに見守られて育ったのだろうなと思うと、それだけで涙ぐんでしまいました(まだ映画が始まって数秒)。
この映画に登場する多くの人々にとって、「仮面ライダー」とは私たちと同じように、テレビの中の作品、という位置付けでした。しかし作中、怪人たちが街に現れた時に追い詰められた男の子たちは口々に思い出の仮面ライダーの名前を叫びます。子どもが迷子になった時に「お父さん、お母さん」と泣くのと同じレベルで、恐ろしい場面に直面した際に、救いを求めて思わず自分の心の中のヒーローの名を口にしたのでしょう。
きっと、こんな風に怪人が現れない平時でも、この子たちの心にはいつも、いずれかのシリーズの仮面ライダーがいて、叱咤激励してくれていたのだろう。この子は小学校低学年くらいかな。この子は「仮面ライダーエグゼイド」を観て育ったからこそ「エグゼイド」を呼んだのだろうな。「エグゼイド」は「ジオウ」「ビルド」の前だから二年前、小学校にあがる頃とかかな。子どもは新しいものに夢中になる事が多いのに、この子が呼んだのが前作の「ビルド」ではないという事は、この子はもう「仮面ライダー」は「エグゼイド」で卒業してしまっていたのかな。でも、今でも君のヒーローなんだね、「エグゼイド」が。そう思っただけで私は涙ぐんでしまいました。
(「ビルド」は今作で主要登場人物なので、そもそもこの場面では一般人を助けに駆けつける事が出来ない、というストーリー上の理由は横においておきます)

「えー、何で母さん泣いてるの?」
一緒にDVDで「仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER」を観ていた子どもたちに不思議そうに言われても、子どもたちの心の中のヒーローが実体化して子どもたちの窮地を助けてくれるだなんて、それだけヒーローは子どもたちにとって「本物」なのだと思うと、
いま夢中になって「聖剣ソードライバー」を振るっている君が大きくなってからも「仮面ライダーセイバー」が君の心の中で輝くのかなと思ったら、それだけで君の母は胸がいっぱいになってしまったのです。

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実は私はここ数年で、他にも子ども向け映画で泣いた事があります。
我が家の子どもは上の子が女の子なので「プリキュア」も私は子どもと一緒に楽しみ、「映画HUGっと!プリキュア ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ」が私の、娘と一緒での映画館デビューでした。この時にも私は感涙したのですが、その理由とは「世界には紛争等で大変な地域も未だあるというのに、日本では女児向けのアニメ映画を沢山の人たちが本気になって作ってくれている。しかも『プリキュア』はこんなに何作品も続いているんだ。こんな大画面で子どもと一緒にアニメ映画を楽しめるだなんて、なんて自分は恵まれているのだろう。そして世の中はなんて不公平なのだろう」というものでした。
視聴者が好きな歴代プリキュアの名前を叫ぶ演出は「仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER」の場面と通じるものがあるのですが、この時にはまだ、前述の事柄で私の胸はいっぱいになってしまいました。

その次に娘と劇場で観て私が泣いたものは「映画スター☆トゥインクルプリキュア 星のうたに想いをこめて」で、こちらを観た時の私の涙の理由は、子どもの健やかな成長を願うプリキュアたちの(ひいては制作陣の子どもたちへの)祈りの優しさと、こんなにも美しい惑星で自分は生きているのだな、という事実に圧倒されたからでした。隣の席に座る娘に「ほら、これが貴女の生きる世界なんだよ。こんな星で私たちは生きているんだね」と心の中で訴え、地球の壮大さと、この素晴らしい映像を劇場の大画面で娘と一緒に観られた事が嬉しくて泣きました。

この段階を経ていたので「仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER」を、私はようやく作品そのものの部分で楽しめるようになったのかも知れません。
仮面ライダーを愛してくれたあなたへ」
DVDの映像特典にあったこの予告を思い出すだけで、「あなた」の数の多さに何度でも胸が熱くなります。

平成仮面ライダーは20作品。どれだけの大人たちが制作に関わり、どれだけの人々、特に子どもたちが作品に魅了され、どれだけの親御さん方が毎年次々とある新作の発表に辟易しながらも、「仮面ライダー」を楽しむ子どもを慈しんできたのだろうか。
仮面ライダークウガ」に夢中になっていた男の子も、もう父親の年齢。こんなにも長く愛されてきたシリーズなのだなと思うと、私はその熱量に圧倒されてしまいました。


ちょうど、人が大人になると涙もろくなる理由を説明した記事をタイミングよく読んだところでした。

「めっちゃわかる…」大人になると涙もろくなる理由を説明したパワポの納得感がすごい
https://www.buzzfeed.com/jp/rihotakatsuto/toyomane-kyokan


子どもの頃には、まだ共感の手札が少ない為に物事に対しての感動が少ない。
しかし大人になると共感の手札がありすぎて、子どもたちには理解できないポイントで大人は共感し、感動してしまうのだそうです。

子ども二人を連れた父親が一瞬子どもの姿に戻り「仮面ライダークウガ」の名前を叫ぶ場面は、ああ、かつて「クウガ(20年前の作品)」に夢中になっていた男の子は、こんな立派な男性になったんだ。この男性の心には今でもヒーローと言ったら「クウガ」が輝いているんだ。
この男性も子どもの頃に仮面ライダーのお面をつけて、一生懸命にヒーローになりきって遊んだのだろうな。今まさに私の息子がそうしているのと同じように。
どんな気持ちでこの男性の親御さんは息子さんに仮面ライダーの玩具を買い与えたのかな。お面も意外に高額なのよね。お祭りなんかの出店で買ったのかな。家の中でなりきり遊びをされて、結構大変だったのではないかしら。
そんな幼稚園児の息子も、あと20年くらいでこんな風に大人になるのだな。ああ、息子はどんな大人になるのだろう。
男性が一瞬子どもになり「クウガーーー!」と叫んだ場面だけで、こんな事を考えてしまいました。

作品の重大なネタバレになってしまうので私の号泣ポイントは明かせませんが、子どもが二人いる自分にとって、映画冒頭の何枚もの写真には親御さんのどれだけの想いがこもっていたのだろうかと思った瞬間、二回目の写真の表現で嗚咽がこらえられなくなりました。
写真の男の子が成長していく度に「仮面ライダー」のシリーズが変わり、人形や変身ベルトを買い与え、更にはショーにまで連れて行った、その親御さんの愛情に、同じく「仮面ライダー」好きの息子がいる私は圧倒されました。
玩具についてはきっと、誕生日まで待ちなさい、クリスマスまで待ちなさい、なんて子どもに我慢させる会話もあった事だろう。プレゼントはお互いに何を買うか、夫の両親や自分の両親と事前に打ち合わせもしたのだろうか。次々発売される追加アイテムに財布が悲鳴をあげたかも知れないし、一年毎にシリーズが変わる事に「また買い直しかい!」と恨んだ事もあったかも知れない。変身ベルトは発売日には行列が出来る程、という話も聞いた事がある。手に入れるのが大変だった時もあっただろう。子どもをヒーローショーに連れて行く為に仕事などのスケジュールを調整するのは手間だっただろう。でも日程が近づく度に、もしかしたら子どもよりもワクワクしたかも知れないな。ショーの写真があるという事は、カメラも準備万端で行ったのだろう。子どもの、この笑顔を見る為に親は頑張れるんだよね。あなたが撮影したこの写真、ほんと、良い写真だよ。私もこんな写真を残したいな。
そして、この写真を撮った時には、今度は親御さんは何の憂いも無しに、「仮面ライダー」に夢中になる息子との生活を心から楽しんで撮ったのだろうなと思うと、私は安堵の涙がなかなか止まりませんでした。


しかし、こんなに夢中になっているにもかかわらず、息子にもいつかは「仮面ライダー」を卒業する時が来るのかも知れません。上の子(娘)が今作の「ヒーリングっど プリキュア」の放送時間だと私が知らせてもテレビの前に来なくなり、録画をしておいても「NEW」の印(録画を観たら消える)が翌週になっても消えなくなってしまったように(いま最終回目前なのに!)。
アニメも特撮も、多くの子どもは次第に他の事に興味が移り、いつかは卒業してしまうのかも知れません。かつては私がそうであったように。特に「アンパンマン」が顕著なように、コンテンツとは卒業していく人もいれば、これから入学してくる人、再度編入してくる人とが入り乱れて続いていくものなのだろうと思います。「映画おかあさんといっしょ すりかえかめんをつかまえろ!」でも、忘れられていく寂しさはあるけれど、それは成長の証なのだから喜ぶべき、という場面がありました。
私の小学生の娘が「プリキュア」を卒業しかけているように、息子も「仮面ライダー」や「スーパー戦隊」を卒業する時が、そう遠くはない未来にやって来るのかも知れません。
それでも、かつて子どもだった人々の心に今でもヒーローが輝いているように、子どもたちには、かつて憧れたキャラクターの事を、少しでも良いから覚えていて欲しいと私は願います。

子どもたちが何歳になっても、その心の中にヒーローが輝くであろう事を期待しているのは、実は私の心の中にも、困難に直面した時に、子どもの頃に読んだ、とある漫画の一場面が今でもよぎるからです。
子どもたちには私と同じように、「あのキャラクターだったら、どう行動するか」「あのキャラクターに見られても恥ずかしくない自分でありたい」が行動の基準になる事を私は期待しているのです。
その為であるならば、次々と発売される「ワンダーライドブック(「仮面ライダーセイバー」のアイテム)」を購入する行為にも意義はある。
いつか我が子が家の片付けをした時に「聖剣ソードライバー」や幾つもの「ワンダーライドブック」、これ以降に私たちが贈るであろう玩具を見つけて、子どもの頃の気持ちを思い出してくれるのならば。

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以前、私は子ども番組は出来るだけ長く続いて欲しい、という主張を記した事があります。「仮面ライダー」や「スーパー戦隊」、「プリキュア」は、シリーズ自体は長く続いていますが、ほぼ一年で物語が完結し、毎年新作が発表されます。作品が終盤になる頃には「どうせ、もうすぐ次のシリーズが始まるのだから」と、私は子どもに玩具を我慢させる時があります。新シリーズが始まれば、また次々と新しい玩具が発売される。玩具が欲しいと子どもにねだられ、購入を検討するか我慢させるかのやりとりを、また今年もしなければならないのか、と思うと辟易してしまっていたのですが、「仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER」を観て考えが改まりました。
仮面ライダー」や「スーパー戦隊」、「プリキュア」は、毎年新シリーズが始まるからこそ、その折々の玩具を子どもに買い与える必要が確とあったのです。それは映画の冒頭の写真の通り。
この時に手にしている玩具は「○○」の物だから、放送年は○○。だからこれはこの子が○才の時の写真だと、玩具のおかげで一目でわかるのです。
それはあたかも「映画スター☆トゥインクルプリキュア 星のうたに想いをこめて」の「道しるべ」の如く。シリーズが変わる毎の折々の玩具は、親には子育ての一里塚として、子どもには、君の原点はここだと知らしめるように輝くのです。

お弁当箱等、園グッズのお下がりが出来るか出来ないかを気にするからこそ同じシリーズが長く続く事を望んでいた私ですが、映画等で過去作品のヒーローもどんどん登場してくれるのならば、「これは○年も前に終わった作品だろう」などと、からかわれる心配も無くなるというものです。むしろ過去作品の品物ほど手に入れる事は容易ではなくなるので、ともすれば同級生から尊敬の眼差しを向けられるようにもなるかも知れません。
先日、我が子を予防接種に連れて行った際に「仮面ライダーオーズ」(2010年7月~2011年9月の作品)のトレーナーを着ている男の子と出会いました。これから注射だと憂鬱な気持ちだった私の息子は「オーズだーー!」と喜び、それを着ていた、息子よりも3才くらいは年上であろう男の子は少し照れながらも得意気な顔で柄を見せてくれました。男の子のママさんは「お下がりで貰ったから、何のキャラかも分からなかった」と、古い服だからと少し恥ずかしそうにおっしゃっていましたが、盛り上がる男児二人の様子に楽しそうな目を向けていました。
仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER」に登場した「仮面ライダーオーズ」がメダルをそっと確認した場面が脳裏によぎった私は、「名作ですよ!」とママさんに言いたい気持ちを必死でこらえ「ウチの子、歴代仮面ライダーも覚えてしまいまして」とだけ言うにとどめておきました(むしろ私の方が設定を読み込んでいる分、息子より詳しい)。
そして過去作品の登場人物の事にまで、ふとした仕草で触れてくれるだなんて、改めて「仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER」は平成仮面ライダー愛にあふれている映画だと、予告を思い出して再度心がふるえました。
プリキュア」は今年の春の映画「映画ヒーリングっどプリキュア ゆめのまちでキュン!っとGoGo!大変身!!」で「Yes!プリキュア5GoGo!」(2008年の作品)が共演するとの事。放送当時に楽しんだ方々にも、それを楽しむ子どもたちを見守った方々にも、きっと思い出深い映画となる事でしょう。
誰かの心を照らす灯りとして、これからも、どんどんレジェンドたちにも活躍して欲しいと思います。


私が子どもの頃に触れた様々な作品の中で、私の心の「道しるべ」となった作品は、それなりに成長してからの作品でした。ならば、もしかしたら「仮面ライダーセイバー」は、まだ幼稚園児の息子の心にはかすかにしか残らないのかも知れません。彼にとっての「道しるべ」は、他の特撮作品になるかも知れないし、アニメや漫画、ゲームや小説になるかも知れません。はたまた、幼稚園や、これから出会う学校の先生になるかも知れません。何が彼の心の灯火となるのかを楽しみにしつつ、財布と相談しながら子どものおねだりと戦っていこうと思います。




余談ですが、息子にはまだ小さい事を理由に「仮面ライダー」の変身ベルトをずっと我慢させており、今作の「仮面ライダーセイバー」で我が家はようやく解禁としました。しかしこんなにも次々「ワンダーライドブック」が発売されるのであれば、我が家が「仮面ライダー」をちゃんと見始めた「仮面ライダージオウ」の時に「ジクウドライバー(ジオウの変身ベルト)」と「ライドウォッチ(仮面ライダージオウのアイテム)」をめいいっぱい買っておき、以降の何作かは我慢させるべきだったかなと少々後悔しています。

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「ライドウォッチ」であれば歴代仮面ライダーのウォッチだけで済んだのに、「ワンダーライドブック」だと物語モチーフのライドブックだけに止まらず、歴代仮面ライダーのライドブックも発売されているからです。
また「聖剣ソードライバー」は剣を引き抜くアクションが必要なのに対して、「ジクウドライバー」はパーツが外れない点も幼児が扱うには危険度が少なくて良かったかなとも思います。
しかも今度の「スーパー戦隊」である「機界戦隊ゼンカイジャー」は歴代のスーパー戦隊の力を使うようなので、レジェンド商法に我が家はまたしても苦しむ事になりそうで戦々恐々しております…
スーパー戦隊」なんて45作品もあるじゃないか……!