xharukoの日記

妊娠、出産、育児の中で思った事をつれづれ書きます

ライバルの苦境

当時、乳児の息子に数日間排便がない事を報告した時に夫が言った一言

「ヨーグルト食べさせてみたら?」



…いま、この人は


なんと言いました?


私から出る乳汁は失格だと?

牛の方が優秀だと?


私の乳が、牛より劣ると!!!!!



牛より劣ると言われた(←言ってない)自分が情けなく、私の目からは涙がぼろぼろこぼれました。

夫は突然泣き出した妻に狼狽えていました。


以前どこかで読んだ
【母乳が出ないならミルクにしたらと提案したら妻が泣いた】という話の根っこも同じだと思います。

「私は母親失格だって言うの!?」


男性だって、
「お前にこの仕事は難しいようだから、アイツにやってもらうわ」
と自分の存在を否定されたら悔しい筈です。
母親にミルク育児を奨める事はそれと同じ事なのです。


私が赤ん坊だった頃には世間ではミルク育児が推奨されており、自治体から粉ミルク缶が支給されていたと母から聞きました。しかし現在は母乳育児推奨の風潮により、思うように母乳が出ない産婦は精神的に追い詰められています。
母親とは母乳を出す存在で、その母乳によって赤ちゃんが成長する。
自分にしか出来ない仕事なのに、それを上手にこなせない。ミルクを提案される事は、母親失格の烙印を押される事に等しい。
その悔しさを、歯がゆさを、「赤ちゃんのお腹が満たされる」という目的さえ達成されるなら手段は問わないという考えの人に理解して貰う事は難しいでしょう。


いま思い返せば「そうだね、月齢的にすこし早いけど、ヨーグルト食べさせてみようか」で済む話です。

息子が便秘だと夫に報告したのは解決策を講じて欲しかったのではなく、一緒に心配して欲しかっただけなのだとも後から気が付きました。
結論のない話がしたかったなど、これもまた男性には理解しがたい事を私が夫に望んでしまったのも私のミスでした。

第一子の娘の時は思うように母乳が出ず、割り切ってミルク育児にしました。ところが第二子の息子の時には溢れる程の母乳が出た為、完全母乳育児をしていました。
だからこそ私の母乳の質が悪いから便秘になったのではという不安が根底にあり、息子にヨーグルトを食べさせる事を夫から提案された時に
「お前にこの仕事は難しいようだから、アイツにやってもらうわ」
と言われたと受け取り、
「夫は私より牛を信頼している」
「私の母乳は牛乳より劣ると夫は言った」
とショックを受けたのです。

母親=乳汁を出す存在
従って、牛はライバル

男性にはよく分からない地雷が女性には山のようにあるという話です。



さて、そんなかつてのライバルが苦境に立たされています。

地震の停電 酪農に打撃 搾乳できず乳牛死亡 北海道 標茶町
https://mobile.twitter.com/nhk_news/status/1039076710942007296

このニュースを知った時に、また涙がこぼれました。産後の女性が恐れる病気、乳腺炎。私でさえ数時間授乳できないだけでガチガチに乳房が張り痛みに苦しんだというのに、乳腺炎はもっと痛いと聞きます。
この乳腺炎により乳牛が死んでいるという。高熱が出て、どんなに痛かっただろう。生きて難を逃れたというのに、乳汁を出せないだけで死んでしまうなんて。
かつてのライバルに何もしてやれない悔しさに胸が痛みました。

勝手に優劣を競い、勝手に私が挫折感を味わっていた時も、変わらず人間に乳汁を供給し続けてくれていた牛たちの為にも、心より、北海道のいち早い復興をお祈りします。