xharukoの日記

妊娠、出産、育児の中で思った事をつれづれ書きます

ちちの話4

自分のスマホのブックマークの整理をしていたら、これは大事だ!と改めて思った記事がありました。


その母乳情報、大丈夫ですか? ママサイトにはご用心

https://www.buzzfeed.com/jp/yasumimorito/mamasite?utm_term=.mdo89pAg9#.vhAWZPyqZ


「母乳の質」と見たら、怪しいと疑おう

たくさんあるママサイトで、「母乳」についてサイト内検索をしてみましょう。「母乳の質」という言葉が出てきたら、医学的に正しいことが載っていることはまずないので、それ以降は読む必要がありません。

まずは「mamaPRESS」の「ママは何を食べればいいの? 『おいしい母乳』のつくり方」という記事を見てみましょう。

いきなり、「母乳の質によって乳腺が詰まりやすくなり、でにくい原因になっている」と書かれています。

しかし、乳腺が詰まるのは母乳の質によるものではありません。

母親が食べたものではなく、授乳回数が少ない、授乳時間が短か過ぎる、赤ちゃんがうまく飲めない、乳汁が多く出過ぎるなどにより、作られる母乳量と飲まれる量がアンバランスになり、母乳が乳房に溜まりすぎることが原因です。

そのため、改善するには頻度を増やして授乳する、姿勢を良くする、赤ちゃんのくわえ方を改善するなどの対応をします。

そもそも「母乳の質」という言葉は医学用語ではありません。数あるママサイトはぜひ、母乳の成分分析をして検討してから書いてほしいですが、そこまでしているサイトは一つもなく、このmamaPRESSのように「ママが食べたものが母乳の味にも直結」「おいしい母乳を作るのはずばり和食!」「◯◯を食べるのは危険!」(サイトによって危険な食べ物が微妙に違う)と断言します。

でもそれは、言い過ぎと煽り過ぎ。母親が食べたものは消化されて小さくなり、糖とアミノ酸は消化管から血管を通って肝臓で取り入れられるように分解され、肝静脈を通って心臓に流れます。脂肪は再合成されてリンパ管から胸管を通って静脈に入って心臓へ、そして全身を巡ります。

栄養を運ぶ管と母乳を作る場所はつながっていない

一方、母乳は、血液を材料に乳腺体で作られます。そういうわけで消化された栄養を運ぶ管と母乳を作る場所は直接つながっているわけではないので、食べたものがそのまま母乳に直結するとは言えません。

献血をするときだって、「血液がドロドロになるから油っぽいものを食べないで来てください」とか「血中の塩分濃度が上がるので直前に塩を摂らないでください」とは言われませんね。

血液は、体の恒常性を保つ働きのために食べ物でそう簡単には変わりません。厳格なベジタリアンのために長期に渡って動物性タンパク質を摂らなかった場合、母乳中のタンパク質やビタミンB12などが低下することはわかっていますが、授乳期間の数ヶ月を和食にしても母乳の栄養素は変わりません。

妊娠中にはお母さんが食べては良くないものがありますが(生の肉、火を通していないチーズなどはトキソプラズマなどの寄生虫リステリア菌などに感染し、流産や胎児への障害につながる恐れがあります)、赤ちゃんを産んでから食べたら危険なものは特にありません。

「mamanoko」というサイトには、「母乳の質が悪いと乳児湿疹がひどくなり、そのままだとアトピー性皮膚炎になる」という内容が書かれた記事もありました。

乳児湿疹は赤ちゃんのホルモンが原因でできるので母乳は関係ないし、アトピー性皮膚炎と見た目は紛らわしいものの、その原因ではありません。お母さんが心配するワードをみんなつなげたような記事ですが、根拠は書いてありません。

また、お母さんが特定の食べ物を食べることで母乳が増えたり減ったり、質が悪くなったり良くなったりもしません。そう書いてあったら、やはりその続きを読むのは時間がもったいないでしょう。

ハーブティーは母乳を増やす?

「cozre」というサイトは「母乳量を増やすハーブティーの選び方とは」という記事(ヘルスケア大学の記事の転載)を載せています。

ハーブティーは嗜好品の一つとして飲むならいいですが、「母乳を増やす」とか「乳腺炎を治す」と言って売られたら、医薬品医療機器等法(薬機法、旧薬事法:医薬品でないのに効果効能を謳うのを規制)に違反する恐れがあります。謳っている効果がなかったら、相談窓口に問い合わせるのもいいかもしれません。

厚生労働省の医療広告のネットパトロール、全国の消費生活センターが窓口になります。

授乳中は喉が乾きますが、水分を摂るのはハーブティーでなく他の飲み物で構わないし、カフェインレスでない普通のコーヒーでも1日に2〜3杯程度なら赤ちゃんへの影響はありません。

ニセ医学情報として定番なのが、「◯◯は危ない!」と危機感を煽るものですね。飲み残した母乳は美味しくないとか、質の悪い母乳は母の偏食のせいで、母乳がドロドロになって赤ちゃんの腸内で悪玉菌を増殖させるとか、赤ちゃんが飲み残して乳房に溜まった乳汁を「腐れ乳」と命名するとかというのは酷い例ですね。どれも根拠はありません。

とても感銘を受けた記事だったので万が一アドレスのリンクが切れてしまっても再読できるよう、殆どを引用させて頂きました。記事の筆者は「祖父母手帳」という、祖父母世代との育児情報のギャップを解説した書籍の監修をされた森戸やすみ氏です。

母乳の質、という言葉は私も妊娠中に頻繁に目にしたような気がします。より良い母乳を作る為に【まごわやさしい】=豆、胡麻、わかめ(海藻)、野菜、椎茸(きのこ類)、芋といった和食を母親は摂るべきだ、というものから、産後の女性への手土産にシュークリームを持参したら乳腺が詰まると怒られシュークリームを投げつけられた、などというエピソードも読んだ事があります。

ルイボスティーは母乳の分泌を促すと聞き、興味があったので私も試しました。味に馴れず続ける事は出来ませんでしたが、母乳に良いとされる食品は他にもタンポポ茶やラズベリーリーフティー等が紹介されているのを目にした事があります。

現在はインターネットで検索をかければ玉石混交の情報を手軽に得る事が出来る時代です。
母乳の質の向上と書かれていればやはり気になるし、母乳の分泌を促すと書かれていれば取り入れたくなります。
『「母乳の質」という言葉が出てきたら、医学的に正しいことが載っていることはまずないので、それ以降は(そのサイトは)読む必要がありません』と森戸やすみ氏は記述していらっしゃいますが、その内容が「様々な食品を偏りなく摂取し、薄味の和食を食べるようにしましょう」というアドバイスならば身体に悪い事ではないため受け入れても良いのではないかと思います。
「母乳の分泌を促すお茶」が医学的には否定されても、それで積極的に水分が取れれば結果的に母乳分泌を向上させるのではとも思います。またノンカフェインのお茶を飲む事で糖類の多い清涼飲料水を飲む量が減るのも健康に良さそうです。

医食同源、という言葉があります。
私たちの身体は食べた物から出来ている、という言葉も耳にした事があります。健康的な食生活を送る事で母親が健康を保てれば、きっと母乳も美味しくなる。
医学的には正しくなくても、母親が健康なら母乳にも赤ちゃんにも良い影響を及ぼすでしょう。森戸やすみ氏が批判した数あるママサイトが伝えたい事は、つまりは母親の健康増進なのではないかと思いました。



ただ、味に関しては同じ人間の左右の乳房でも異なるのではと私は思っています。以前テレビで牛の乳房の構造を説明したものを見た事があるのですが、番組では搾る乳首によって牛乳の味が異なる、と説明していました。

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私は牛は1つの乳房に対して乳首が4つあるのかと思っていたのですが、実は2乳房4乳区に分かれており、乳区によって味が異なるのだそうです。つまり搾る乳首によって牛乳の美味しさが変わる、と。

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牛でそうならば人間の乳汁の味も左右差くらいはあるのではないかというのが素人の私の考えです。
授乳の際、息子は私の左乳房が好きらしく、左乳首を指名してきます。私が右利きのせいで左側を頻繁に吸わせていたせいかも知れませんが。