xharukoの日記

妊娠、出産、育児の中で思った事をつれづれ書きます

同意とは

男性向けアダルトコンテンツはしばしば性の教科書としても使われるかと思います。しかし男性主体で描かれているそれらは得てして女性が望まないものも多く含まれており、勘違いした男性を量産してしまっているのではないかと私は個人的に危惧しています。
そのような中で、「いやらしい」雑誌が性の教科書として正しく機能したらしい方の話がありました。


リラックスしていますか?
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20190418-OYTEW362048/

 その雑誌からは多くを学びました。避妊せずに性行為(セックス)をすると子供ができてしまう可能性がある、避妊のために男性はムードンコ(避妊具のコンドームの逆さ読み)を着ける、初めての性行為で男性は緊張し大抵うまくいかない――などです。性行為は2人が楽しめるものでないといけないことや、女性は強い痛みを感じる場合があることも書かれていました。

「性行為は2人が楽しめるものでないといけないこと」を男子中学生が知ったという事は、とても意義のある事だと思います。
最近、社会人サークルの飲み会で泥酔した20代女性に乱暴したとして準強姦罪に問われた40代の男性に対する裁判が無罪判決になりました。女性として実に悔しく思います。性行為において本当の「同意」というものはとても証明し難く、しかしとても重要なものです。

女性が抵抗できない状態にされた上での行為を「同意がある」と判断した司法はあまりにも乱暴だと思います。
40代男性に暴行された後で、他の男性に胸を揉まれた時に声を上げた事が「同意があった」証拠になったそうです。40代男性との時には声を上げなかった、だから同意していた、という事らしいです。
泥酔のあまり意識がもうろうとなっていたせいで声を上げられなかっただけで、同意があった訳ではないと私なら思います。他の男性の時に声を出せたのは意識が戻ったか酔いが冷めてきたからではないかと。
「嫌よ嫌よも好きのうち」という言葉があるせいで、女性の抵抗は無視される事があるのではないかと思います。殺されるくらいなら、それでこれ以上殴られなくなるのなら、という諦めがあった上での無抵抗も「同意があった」と裁判では判断されるのでしょう。
物理的に何かを失う訳ではない同意のない性交が、女性の何を失わさせるのかを男性は理解できないのだと思います。同意のない性交の時に女性が失うのは人間としての尊厳です。「野良犬に噛まれたと思え」と気にしないよう言われても、同じ人間から道具扱いされた屈辱は、言葉を理解しない犬に噛まれたショックとは完全に別物です。だからこその「心の殺人」なのだと理解して欲しいと思います。

ところで、「同意がなければ使えない避妊具」というものが開発されたそうです。

「同意」なしでは使えないコンドームが新開発 意図は良いのに批判されるワケ
https://search.yahoo.co.jp/amp/s/m.huffingtonpost.jp/amp/entry/consent-condom-tulipan_jp_5cb01183e4b082aab0835ed4/%3Fusqp%3Dmq331AQQCAEoAZgBvrXG6f_En8HGAQ%253D%253D

新開発された「『同意』なしでは開かないコンドーム」は、箱を開けるのに2人の両手が必要となる。つまり、双方の性行為への「同意」がなければ、使用できない仕組みになっている。これは一見、性行為へ同意を得ることを促進する、良い試みだ。

しかし、「このコンドームの開発会社は完全に問題を履き違えている」と批判の声が上がっている。

(中略)

本当の同意は1度のやりとりではない。魔法のボタンを押して「Yes」を聞けば全てOKになる訳ではない。同意は「継続される会話」なのだ。

(中略)

この同意コンドームは、現時点では広告戦略だけであるが、「問題の本質ではなく症状だけに取り組んでいる」とジャーナリストで活動家のジョージ・M・ジョンソン氏は話す。

「本質の問題は、多くの性的な信条が男性の独占的で支配的な信念に基づく、という事です」とハフポストUS版に語った。

「それだけでなく、レイプや性的暴行はセックスの同意の後にも起こります...セックス中にでも『No』と言ったら『No』なのです。だからこのコンドームは実際の問題を解決しません」

また、この商品は女性を性的暴行から守るよりも、男性をレイプ告訴から守る為のように見える、という声も上がった。

今でさえ性的暴行を裁判で証明するのは難しい。この同意コンドームを利用し、行き過ぎた行為に及んだ場合、「彼女は僕と一緒にコンドームの箱を開けたんだから、これはレイプじゃない」と言える。

女性就活生が男性リクルーターからの誘いを拒めないのは相手を不愉快にさせると自分の内定に影響するかもしれないというデメリットのせいですし、彼女が気分がのらなくても彼氏の相手をするのは嫌われたくない一心で、心の底から同意した上での行為ではない事があります。
拒否した時に相手の機嫌を損ねやしないか、そのせいで自分に不利益が生じやしないか。心の底では「嫌だ」と思っていても、同意せざるを得ない場面が女性には多々あるのではないでしょうか。
そのような場面で「同意コンドーム」が用いられたとしたならば、同意したくなくても無理矢理に同意させられる女性が現れるだけだと思います。

夫婦でも同意のない性交はDVになるそうですが、私も心からの同意ではなく、「夫がしたいと言うなら仕方ないな」という消極的な気持ちで応じる場合が多々あります。それをDVとは私が思わないのは、途中で「それは嫌」と言える関係だからだと思います。私が嫌がったり痛がったりした時には夫はきちんと止まってくれるからこそ、気乗りしない時でも応じようかという気分になるのです。

『本当の同意は1度のやりとりではない。魔法のボタンを押して「Yes」を聞けば全てOKになる訳ではない。同意は「継続される会話」なのだ。』

行為を始める時には互いが同意していても、途中で一方が同意し続けられない行為に変化させてくる時もある。同意が無くなった事を女性が告げた時に、相手を尊重できる男性はどれほどいるのでしょうか。

「性行為は2人が楽しめるものでないといけない」
泥酔し意識がもうろうとしていた20代女性は、楽しそうに見えたのでしょうか。

以前、私が読んだ男性向け成人誌では、『痛くても口には出すな、お客さんを喜ばせたいなら嘘でも笑って「気持ち良い」と言え』と性交に慣れない女性を指導する場面がありました。
男性を不愉快にさせてはならない。男性が気持ちよく行為を終える為には、女性は本音を言ってはいけないのです。だからこそ女性誌では演技をした事があるかどうかが話題になり、演技の仕方を指南する事もあり、演技を演技だと見抜けない男性が「同意があった」と勘違いするのだろうと思います。

行為の最中、動きを変える度にいちいち男性から「嫌?」と確認されるのも雰囲気が壊れると怒る女性もいるかと思いますが、本当に同意がある時には女性の方も恥ずかしがらずに、何らかのリアクションをとるべきなのかも知れません。


女子大生が23年生きて来て初めて真の「性的同意」を知った瞬間
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/64102

最近では、「相互の積極的なYes、性的同意がなければ全てレイプ」という法律を採択する国も増えてきた。2018年7月にスウェーデンでも、明確な同意のない性行為はレイプとする新法が成立したばかりだ。ところが日本ではいまだに、死ぬ気で抵抗しない限り法的にレイプとは認められない。

(中略)

ここまで読んで、何だか面倒臭そう、とか、ムードを壊してしまいそう、と思った人もいるかもしれない。でも、性的同意は決して面倒な厄介者ではない。お互いが幸せな時間を過ごすために必須なものだ。

「言わぬが花」「沈黙は金」という言葉がありますが、心の底から同意している時には女性も積極的に気持ちを発信し、行動にうつすべきだと思います。
また男性は、相手が意思表示しやすい環境を常に心がけて頂きたいと思います。

『女子大生が23年生きて来て初めて真の「性的同意」を知った瞬間』という記事にあった、
「それよりも我慢や嘘を言われる方が嫌だ」
こんな台詞を男性が口にすれば、少女漫画かと言われるかも知れません。しかし、読者がそれを望んでいるからこそ少女漫画の王子さまたちは作中で言うのです。女性はいつだって尊重されたいのです。

同意があるなら明確な意思表示を。

何故なら「性行為は2人が楽しめるものでないといけない」のですから。