どうしてヒトパピローマウイルスのワクチンは女だけに打つのだろう
子宮頸がんについての記事を読んだ際に、そこに投稿されたコメントを見てふと疑問に思いました。
「女性のワクチン接種より 根本の男性にワクチン接種を義務付けする方が効果あるような気がする」
「他の方もコメントされていたけど、このガンの場合、男性側に予防するワクチンとかの接種は出来ないのかな？
ずっと不思議に思ってました！
男性側に問題がある訳ですよね？」
「日本で女子のワクチン接種可能時期に、アメリカでは男子も接種します。自分自身の癌予防として、そして女子へのエチケットとして、です。
接種可能時期に学校等で、性教育の一環として説明があってもいいのではないでしょうか。」
どうして日本では子宮頸がん（ヒトパピローマウイルス）のワクチンを女性だけに接種させる事になったのでしょうか。
これらのコメントがついた記事は、下記のものでした。
20～40代に増加中「子宮頸がん」早期発見でも喜べない理由
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190827-00000024-nkgendai-hlth
子宮頸がんといえば私にとって、現在幼稚園児である娘が中学生になった時に予防接種を受けさせるべきか悩んでいる唯一のワクチンです。
近所にも親戚にも子宮系のがんになった人がいないせいか、私が他人事としか感じていないせいもあるでしょう。受けられる予防接種は任意接種のものも子どもたちに受けさせている我が家ですが、どうしてもニュースで見聞きした副反応の激しさにおののき、子宮頸がんワクチンだけは娘に受けさせるべきか躊躇っています。
子宮頸がんはワクチンで予防できる唯一のがんだと聞きます。ならば娘の将来の為にも打つべきなのだろうと思ってはいるのですが、どうしてもひっかかる部分があるのです。
米国国立がん研究所(NCI)が配信する、
世界最大かつ最新の包括的ながん情報であるPDQ（Physician Data Query）の日本語版サイトにはこのように記されていました。
がん情報サイト
http://cancerinfo.tri-kobe.org/pdq/summary/japanese-s.jsp?Pdq_ID=CDR0000062924
中咽頭がんはヒトパピローマウイルス（HPV）関連中咽頭がんの高まりに起因して発生率が増加しつつある；男性が中咽頭がんに罹患する可能性は女性よりも2倍以上高い。
…
また、他のサイトでもこのように書かれていました。
海外がん医療情報リファレンス
ヒトパピローマウイルス（HPV）とがん
https://www.cancerit.jp/1035.html
ヒトパピローマウイルス（HPV）は200種類以上あるウイルスの一群です。 その内の40種類以上の型が直接的な性的接触を通じて、感染者の皮膚や粘膜からそのパートナーの皮膚や粘膜へ容易に伝染する可能性があり、膣性交、肛門性交、および口腔性交により伝染します（1）。他の型のHPVは生殖器以外にできるいぼの原因になりますが、こうしたいぼは性感染しません。
（中略）
高リスク型HPVは以下の数種類のがんを引き起こします。
・子宮頸がん：ほとんど全ての子宮頸がんがHPVによるもので、全症例のうち約70％がHPV16型と18型の2種類です（7，8）。
・肛門がん： 肛門がんの約95％がHPVにより引き起こされます。そのほとんどがHPV16型により引き起こされます。
・中咽頭がん（軟口蓋、舌根、および扁桃を含む咽喉中間部のがん）： 中咽頭がんの約70％がHPVにより引き起こされます。米国では、中咽頭がんと診断されたもののうち半数以上がHPV16型に関係しています（9）。
・希少がん：HPVは膣がんの約65％、外陰がんの約50％、および陰茎がんの約35％を引き起こします（10）。 こうしたがんのほとんどがHPV16型によるものです。
…
女性の子宮頸がんはヒトパピローマウイルスが原因の70％らしいのですが、同じ型のヒトパピローマウイルスは中咽頭がんの原因にもなるらしく、男性が中咽頭がんに罹患する可能性は女性よりも２倍以上も高いというのです。
他にも様々ながんの原因にヒトパピローマウイルスはなるらしいので、女性にのみワクチンを接種させる、としている現状の意味が私にはよく分からないのです。
膣性交は男性と女性で行うものですが、肛門性交や口腔性交は男性同士でも行うものだと思います。
またヒトパピローマウイルスは常在ウイルスだという事で、常に男性から一方的に女性が感染させられるウイルスではなく、女性から男性に感染する事もあるのだそうです。
20～40代に増加中「子宮頸がん」早期発見でも喜べない理由
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190827-00000024-nkgendai-hlth
という記事へのコメントに分かりやすいものがありました。
「勘違いされてる人が多いですが、男性から女性に感染する訳ではありません。
ＨＰＶは常在ウイルスで男女限らず手足や身体にも付着しています。
それが性行為等によって子宮頸部へ運ばれる事により粘膜に付着します。
粘膜表面上ではＨＰＶは増殖する事が出来ない為、通常は人の免疫機構により排除されます。
これが性行為を経験した事のある女性の約８０％に感染歴があると言われる所以です。
しかし性行為等により子宮頸部の粘膜が傷つくと、そこからＨＰＶが進入し粘膜基底部に到達するとそこに定着して増殖をします。
つまりHPVは男性の感染の有る無しに関わらず、自分（或いはパートナー)の手足胴体に付着していたHPVが性行為によって子宮頸部まで運ばれる事によって発生するのです。
なので場合によっては道具を使った自慰行為や指を挿入する自慰行為でも感染リスクはあります。」
子宮頸がんの原因ウイルスであるヒトパピローマウイルスは男性から女性に感染させられるものとして、性行為未体験の年齢の少女たちに公費で接種する事としていますが、女性から男性に感染させられる場合もあるそうです。
ク○ニで咽頭ガンになる！はホントだった？
https://search.yahoo.co.jp/amp/s/www.excite.co.jp/news/article-amp/Shueishapn_20151127_57321/%3Fusqp%3Dmq331AQQKAFwAZgBys2V1eSWktC3AQ%253D%253D
―２年前、俳優のマイケル・ダグラスが「咽頭がんの原因はク○ニ」と発言し、波紋を呼びました。実際、そういうことはあり得ますか？
濱井 まず性器と性器であればコンドームを使用することで、ある程度の性感染症は防げます。ところが口で直接性器を舐（な）めると、まったくバリアがない状態なので、梅毒、クラミジア、淋病（りんびょう）、ヘルペスなど…極端な例だとＨＩＶの感染リスクも出てきます。
―ク、ク○ニでＨＩＶ？
濱井 ＨＩＶはまれな例ですが、可能性はゼロではありません。喉のがんの話に戻ると、ＨＰＶ（ヒトパピローマウイルス）が関係している可能性が高いといわれています。
…
これらの事から考えると、ヒトパピローマウイルス由来のがん発生は女性特有の病気ではない訳なので、男性もワクチン接種をするべきなのです。
妊娠初期の妊婦が感染すると胎児に障害が出るとして、風疹ワクチンは一時期女性だけに予防接種を行っていました。ところが予防接種を受けてこず、免疫を持たないままでいた男性たちが次々と風疹に感染し、大流行させてしまった事は記憶に新しいかと思います。予防接種を受けていても免疫がつかない人は出てきてしまうらしく、そうした妊婦が感染してしまい、2019年にも先天性風疹症候群の子どもが確認されたそうです。多くの男性も風疹の免疫を持っていれば大流行は起こらず、その妊婦さんが感染する可能性は少なく抑えられたかも知れません。
ヒトパピローマウイルスの予防接種は女性だけに受けさせても意味がない事は、風疹の例からも明らかだと思います。
エイズか何かの感染症の啓蒙で、あなたの彼氏の元カノの元カレの元カノの元カレを知っていますか？ というようなACジャパンのCMがありましたが、見知らぬ遠くの誰かが感染したウイルスに、巡りめぐって自分も感染してしまう可能性は、無いとは言い切れないのです。
ならばその連鎖を止める為にも、男性にも子宮頸がんワクチンを打つ事を推奨するべきではないかと思います。ワクチンの名称も変更し、ヒトパピローマウイルス所以のがんの予防接種、とすれば男性も受けやすいかと思います。
男性も少年のうちに予防接種を受け、男性にも副反応が出るのであれば、副反応の救済も今よりももっと充実されるかも知れません。
なるかならないか分からない将来のがんの予防の為に、娘が少女期から歩行障害になったのでは意味がないのです。あと10年の間に子宮頸がんワクチンのギャンブル性が少しでも弱まればと願うばかりです。
なお、子宮頸がんワクチン接種でニュースで取り沙汰された一部少女たちに現れた激しい副反応ですが、どうやらワクチンとは関係がなかったらしいです。
【速報】HPVワクチンと「副反応」に関係がなかったことが明らかに！～「名古屋スタディ」の成果～
https://m.huffingtonpost.jp/hiroki-komazaki/nagoya-study-hpv-vaccine_a_23373860/
