xharukoの日記

妊娠、出産、育児の中で思った事をつれづれ書きます

産後の肥立ち

産後の無理は更年期に一気に押し寄せる。
里帰り出産で第一子を出産後、シンクに貯まっていた食器を洗ったら実母に叱られた経験が私にはあります。産後は冷たい水を触ってはいけないのだそうです。産褥期(さんじょくき)にした無理は毒のように蓄積され、ある時に一気に身体を蝕む。だからこそ「床上げ」という言葉があり、床上げまでは家事をせず、布団すら敷きっぱなしにするように昔から言われているのだと実母に言われました。

そんな事を以下の記事を読んで改めて思い出しました。


命の危険も…妊娠・出産後の「産褥期」、どんなことに注意して過ごすべき?
https://otonanswer.jp/post/38888/

 出産後の女性に訪れる「産褥(じょく)期」について、ネット上で話題になっています。産褥期は、妊娠・出産で大きく変化した体を回復させるための期間ですが、日々の育児・家事に追われて無理をしてしまう女性が少なくない上に、時には命に危険が及ぶケースもあるようです。


産褥期とは産後6~8週間の期間を指します。つまり産後21日目での床上げや、1ヶ月健診を終えてもなお産褥期は続いているという事になります。
出産後の母体は女性ホルモンが急激に減少したり、子宮が元の大きさに戻ろうと収縮したり、増加した血液が元の量に戻ったりするそうです(経験者ですが子宮が収縮する後陣痛以外は実感がないため伝聞形)。この時期に無理をすると母体は回復が遅れ、母乳も作られず、精神的にも不安定になってしまうのだそうです。

しかし現代では上膳据膳の産褥期を過ごせる人など殆どおらず、退院後はすぐに家事労働をこなすママさんも多いでしょう。幼児虐待が増加していると言うのであれば、その原因は産後すぐから家事に勤しみ、ゆっくりと自分の身体を休めなくなった事も理由の一端にあるのではないでしょうか。

先日、子育て支援クラブで生後3ヶ月の赤ちゃんを抱っこさせて頂きました。私が何かお世話をする訳でもなく、家事の合間に抱っこしている訳でもなく、純粋に可愛がるだけの赤ちゃんとのふれ合いは幼児が二人いる私でも衝撃でした。
上の子の時はもちろん、育児に慣れたであろう下の子の時ですら、こんなに「ただ可愛いとだけ思う事」は無かったと思います。何の責任も背負う事なく、お世話の必要もなく、泣いたらママさんにバトンタッチする。それが何とも気楽で、赤ちゃんとはこんなにも可愛いものなのかと驚愕しました。あれは家事や赤ちゃんのお世話の責務がある中での抱っこでは絶対に味わえない感覚だと思います。

記事には産褥期は「体の回復だけでなく、赤ちゃんとの愛情を育むための大切な期間でもある」とありました。ただひたすら心の底から可愛いと思うあの感覚は、育児という労働をしていても阻まれるのではないかと思います。本当に赤ちゃんを「可愛い」と思う為には、上膳据膳、洗濯も自分でしない、赤ちゃんの沐浴も着替えもお任せできる、産後入院中の看護師さんらによる手厚いサポートのようなものが産後1ヶ月は続くような施設が必要なのではないでしょうか。

卓球の福原愛さんが出産した時に、台湾では産後ケアセンターで母子はお世話を受ける事が一般的だという報道がありました。日本にも同じような施設はあるようですが、しかし他国で利用されている程には浸透していないように思います。
出産後の母体は全治1ヶ月になる交通事故に遭ったようなものです。その状態で家事のサポートも得られない中での自宅での暮らしはとても大変で、どうしても無理をしてしまう人もいるでしょう。
産後ケアセンターのお世話になる事で買い出し、調理、後片付け、在庫管理、洗濯、干し方、アイロンがけ、畳み方、掃除、ごみ分別、保管、ごみ捨ての労働から産後すぐのママさんが解放される事はとても素晴らしいと思います。ただひたすら赤ちゃんの世話に集中でき、赤ちゃんや自分に健康面で不安があればすぐに相談が出来る。退院後にママさんのお世話をしてくれる人がいないママさんは、そこでゆっくり身体を回復させ、赤ちゃんのお世話に慣れてから帰宅をすれば良いと本当に思います。

産後の無理は時限爆弾のように身を潜め、更年期が来てから爆発するそうです。イギリスのキャサリン妃は1人目のジョージ王子を出産した時は産後26時間で退院されました。2人目のシャーロット王女のときには産後10時間で退院、そして3人目のルイ王子の出産では産後7時間という驚異的な早さでの退院となったそうです。しかしこれらは帰宅後に手厚いサポートが待っているからこそ可能な事なのです。キャサリン妃自身をケアしてくれる体制が万全に整っているからこそ、病院の玄関から車に乗るまでの間なら多少の無理が出来るのではないかと思うのです。それらを用意できない一般人ならば、産後のママさんに無理をさせてはならないのです。

時代劇などで「母親は産後の肥立ちが悪く死んでしまった」といったセリフを耳にした事があります。産後の肥立ち(ひだち)とは出産後のママさんが妊娠前の身体に回復していく事です。この回復がうまくいかないと女性は死んでしまうのだと、小学生の頃に午後の時代劇再放送で私は学びました。
しかし第一子を出産後、ただ世話になるだけでは悪いしと、良かれと思って食器を洗ったら実母に叱られるまで、食器洗いが「産後の肥立ち」を阻む事なのだとは思いもしませんでした。
布団を敷きっぱなしにしていても許されるのが産後です。「床上げ」とは、産後初めて布団を畳む日だと実母に言われ、それまでは寝ているべきだと教えられました。言葉自体は知っていても内容を理解できたのはその時でした。

赤ちゃんのお世話以外は母体の回復に集中すべき期間に、出産前と同じような家事をしてはいけません。妊娠中は見た目からも無理をさせてはならないと男性でも分かるかとは思いますが、実はお腹がへこんだ産後こそが最もケアを受けるべき期間です。産前の産休は義務ではありませんが、出産後の8週間は労働基準法で定められている通り休まなければならず、労働させた場合は雇用側が処罰されます。

私が「産後の肥立ち」「床上げ」を実践するには、将来娘が出産するか、息子のお嫁さんが出産する時しかありません。もしかしたら育児は孫が産まれた時こそが本番なのではとすら思うようになりました。
上膳据膳のサポートがない方は、産後ケアセンターを利用する。日本でもこれが常識になれば良いのになと思いました。