xharukoの日記

妊娠、出産、育児の中で思った事をつれづれ書きます

寝ながら反対意思を表明しろ…!?

私が第一子の妊娠に気が付き、医師の診断を受けたのは妊娠6週の時でした。待ち望んだ妊娠だったので、妊娠検査薬で陽性が出るなり産婦人科に飛び込んだものです。
妊娠6週というのは妊娠2ヶ月に相当しますが、妊娠をした事のない人にとっては「もう2ヶ月」でも、妊娠した女性にとっては「これで『妊娠2ヶ月』なの!?」と驚くものだと思います。何故なら前回の生理初日が妊娠初日でもあるので、生理が終わりパートナーとの行為をした日からで考えれば、4週間程度しか経過していないからです。
かつて見たテレビドラマ等では、妊娠が発覚するのは妊娠3ヶ月という状態になってからでした。それが「普通」なので、妊娠2ヶ月で産婦人科を受診した人というのは、それだけ妊娠に意欲的だったという事を意味します。
そんな妊娠2ヶ月、妊娠6週の妊婦さんにまさかの事故が起こりました。


栄養剤の注射を受けるため横たわった妊婦に中絶手術 /ソウル
http://www.chosunonline.com/m/svc/article.html?contid=2019092480122

 ソウル江西署は23日、ソウル市江西区の産婦人科医A容疑者、看護師のB容疑者を業務上過失・重過失致死傷の疑いで立件したことを明らかにした。警察によると、ベトナム出身の女性Cさんは8月7日、病院の診療室で妊娠6週目と診断され、医師の処方に従い、栄養剤注射を受けるため、分娩室のベッドに横たわった。

 ところが、看護師のB容疑者は中絶手術の患者と勘違いし、本人確認なく麻酔剤を注射。続いて、医師も患者の身元を確認しないまま、中絶手術を行った。

 刑法によると、妊婦の同意を得ない中絶手術は「不同意堕胎罪」が成立する。警察関係者は「被害者が中絶手術を受けるという事実を知らず、反対意思を表明することもできなかったため、不同意堕胎罪の適用は困難とみられる」と話した。


待ち望んだ妊娠で、喜んで産婦人科を受診し、栄養材の注射を待っていたら麻酔で意識を無くされ、お腹の子を中絶させられていた。
私があの日、初めてのエコー写真を受取り、嬉しくてにやにや笑いながら診察台に寝転がっていた時にそんな事をされたとしたら、何が起こったのか分からず唖然とし、帰宅してからじわじわと悲しみや怒りに囚われ、その後はどうなっていたか分かりません。被害者の気持ちを思うと、それだけで自分が息苦しくなってしまいます。
しかも実行者は業務上過失・重過失致死傷の疑いではありますが、不同意堕胎罪の適用にはならないらしいとの事を知り目眩までしてきました。

妊婦の同意を得ない中絶手術は「不同意堕胎罪」が成立するらしいのですが、それが適用されるのは妊婦が中絶に対し反対意思を表明できた時だけだというのです。
なんだか日本の強姦罪準強姦罪のような、私が考える罪状と犯罪内容が一致しなかった時のような違和感を抱きました。
被害者に意識がある時に強姦された時が「強姦罪」なのに対し、眠らされる等で被害者に意識が無い時に強姦された場合が「準強姦罪」だと私が知った時は、「被害結果は同じなのに、それのどこが『準』なの?」と疑問に思ったものです。
「準」とは名詞に付いて、それに次ぐもの、近いもの、という扱いを受ける事などを表します。強姦されたなら被害者に意識が有ろうが無かろうが、抵抗しようがこれ以上の暴力から逃れる為に抵抗を諦めようが強姦罪適用で、罪状に「準」と付いたならば、ああ未遂で終わっていたのか、と安堵するなど、私は長いこと勘違いをしていました。眠らされているのだから抵抗できる訳がないのに、何故「準」と付けて同じ被害なのに軽い罪であるかのように装うのでしょうか。
そしてまた、栄養剤を注射すると言われて大人しく待機していたら麻酔で眠らされてしまったのだから、中絶なんて嫌だと意思表示などする事など出来よう筈もないのに、「不同意堕胎罪」は適用されない可能性が高いという今回の事件にもまた違和感を覚えました。

事件の背景には、それだけ中絶手術が産婦人科で頻繁に行われている、という事もあったのだろうなと思います。きっと容疑者の医師と看護師には、毎日毎日そのような作業が流れ作業的にあったのでしょう。
思えば私の妊娠も、医師から「正常に妊娠しています。今は6週くらいです」と言われただけであって、「おめでとうございます」から言われた訳ではなかったように記憶しています。妊娠をめでたいと思う患者は、受診する患者の何割なのだろうかと思うと、産婦人科医が減るのも当然かも知れないなと思いました。

今回の事件は、患者の側からみればあまりにも痛ましく、医師や看護師の立場からみれば後悔しても、し足りない程だろうとは思います。氏名の本人確認、それさえきちんと行えていれば今頃は栄養剤を打って貰って一安心の幸福な妊婦と、新たな生命の誕生を手伝う医師と看護師がいたのかと思うと、とても心苦しいです。

私は患者の立場の人間なので、この悔しさをせめて罪状の多さで溜飲を下げるしかありません。
被害者が麻酔で眠らされていようと、今後同じような失敗が起こらないよう、加害者には不同意堕胎罪も適用になれば良いなと思いました。