xharukoの日記

妊娠、出産、育児の中で思った事をつれづれ書きます

逃げても良いよ

子どもとテレビを一緒に観ていると様々な事に気が付きます。
今回は「HUGっと!プリキュア」第23話「最大のピンチ!プレジデント・クライあらわる!」の感想です。

プリキュア」とは中学生の女の子が変身し、敵と戦う女児向けアニメで、2018年で15周年を迎えたシリーズです。

元気のプリキュアキュアエールに変身する「HUGっと!プリキュア」の主人公、野乃はな は、前に通っていた学校でイジメに遭っていた。

イジメられていた女の子をかばったせいで今度は自分がイジメのターゲットにされ、一人でお弁当を食べるようになった描写が第23話にありました。

引きこもる はな に「もう我慢しなくていい」と手を差し伸べたのは、はな のお母さん。

そして はな は転校し、第1話で新しい学校生活をスタートさせたのでした。

第1話を視聴した際、姉である はな が新しい学校に登校するにあたり慌ただしい朝を迎えていたのに対し、妹はのんびりしていた描写が不思議でなりませんでした。
てっきりホームセンター勤めのお父さんに転勤命令が出て、新しい勤務先に着任する為に一家は引っ越しをし、それに伴い子どもたちも転校になったのかと思っていたのですが、妹は姉の転校初日に慌てている様子がない。
(お母さんには勤め先で歓迎会があるから、という転職したらしき描写がありました)
一家が引っ越しをしたならば妹も新しい学校に通う事になった筈なのに、何故のんびり朝を過ごしているのか?
小学校と中学校とで登校日を変えたのか、それとも はな の中学校がとても遠いのかと勝手に脳内補完していましたが、第23話の描写により、どうやらイジメから逃れる為に姉だけが転校に至った事が第1話の姉妹の不思議な対比の理由のようです。


イジメ問題を取り扱う場合、しばしば「イジメられている方が悪い」と言わんばかりに立ち向かう方法を指南する人がいますが、そんな事は本人はとっくにやっているのです。
イジメはされる側の個人的な問題が発生源であるというよりも、取り巻く環境の方が要因として大きいのではないかと私は思っています。

ニワトリの集団の中では必ず一方的につつかれる個体が出るそうです。つつかれているニワトリを取り除くと、今度は新たに「一方的につつかれるニワトリ」が出現するとの事。
つつかれるニワトリは集団の他のニワトリよりもどこか隙があるのかも知れませんが、それは個性であって汚点ではない。
一方的につつかれるならば、その環境ごと変えてしまえば弱いニワトリでもつつかれなくて済む。
人間も同じだと思います。

つつかれる環境で無理するよりも、いっそ環境ごと変えてしまえば良い。

人間のイジメもマウンティングから発生するものだと思います。マウンティングする人間には何らかのストレスがあり、それを解消したい為にターゲットよりも自分の方が上だとアピールしたい。数人がかりで一人をターゲットにするマウンティングの事をイジメというのです。
しかしながらイジメ(マウンティング)をする側の人間の性根を変える事は難しく、イジメが発生する環境は容易には改善できません。
「そんなつもりではなかった」と、加害者がイジメをイジメだと認識していないケースも大いにあるのですから。

ならばイジメられている人は加害者に立ち向かうのではなく、そんな環境からいっそ脱出してしまえば良いのです。

勿論それには大人の大いなる協力が欠かせません。
転校手続きは子どもだけでは出来ませんので。

しかしながら、親はなかなか子どもを転校させる踏ん切りをつける事は出来ません。

自分の子どもが学校でお友だちとうまくやれずにイジメられているなどと公表するのは非常に世間体が悪く、恥ずかしく、自分の育て方が悪かったのだと烙印を押されるようなものですから。


数年前に、学校が嫌なら図書館にいらっしゃい、というツイートが話題になりました。

「学校に行くのつらい子」「死んじゃおうって思った子」図書館にいらっしゃい

https://www.j-cast.com/tv/2015/08/28243778.html?p=all


内閣府の調査を見ると、18歳以下の自殺者数は約40年間で1万8000人あり、日付でみると新学期の4月初めと2学期の初めが突出している。とくに9月1日は131人、4月初めと9月2日が90人台で、平均は40~60人だから飛び抜けて多い。

…との事。

9月1日と言えば多くの子どもにとって新学期が始まる日です。
(私は田舎育ちのため8月下旬に二学期が始まっていましたが)
夏休みという公明正大に学校に行かなくても良い期間が終了し、また苦痛の日々が始まる。そのストレスが9月1日の自殺に繋がっているのでしょう。

人命に変えられるものはない。
ましてこれからを生きる子どもの命は、守られて当然なのです。


「イジメから逃げることは恥ではない」

夏休み前である7月にこのメッセージを「HUGっと!プリキュア」は発した。

夏休みの期間があれば、転校手続きも間に合うでしょう。

これは子どもにイジメに立ち向かう勇気を出せと言うのなら、悪い環境から子どもを逃がす勇気を大人も出せという事なのかも知れません。