xharukoの日記

妊娠、出産、育児の中で思った事をつれづれ書きます

男の子の親になるという事

「3才までに男性器の皮を剥かなかったら将来包茎になって手術が必要になる」

お腹の子が男の子だと医師から言われた時に、さっそく男の子育児のあれこれを検索した事があります。女の子である上の子の事は自分の幼少期を思い出せば何とかなりそうだと思っていましたが、男の子の事はよく分からない事が多かったので心構えを身に付けようと思ったからです。
そこで知ったのが「3才までに男性器の皮を剥かなかったら将来包茎になって手術が必要になる」という噂でした。

子どもの頃に女友人と友人父の蔵書(エロ本)を読んだ時に黒いタートルネックの首の部位を鼻の上にまで引き上げた男性の広告を見た事があるので、「包茎=手術が必要な重大な事」だという認識が元々私にはありました。
剥けていないという事は男性の沽券にも関わる事らしく、もしかしたら性行為にも支障が出る事なのかも知れない。だからこそ殆どの成人誌には包茎治療の広告が入るのだろうと思いました。3才までに剥かなければ息子には手術が必要になる。これが事実だとしたら一大事です。

外国には割礼(かつれい、男性器の包皮の一部を切除する事)という習慣があるというのは聞いた事がありましたが、その理由はそういう事だったのかと衝撃を受けました(後に、実際にはそのような事は無いと知りました)。
今回、その割礼の儀式で赤ちゃんが亡くなったというニュースを読み、息子の将来の包茎を心配していた当時の自分の事を思い出しました。

生後5カ月の赤ちゃんが割礼で死亡 イタリア
https://www.bbc.com/japanese/47689906



男性器の包皮の切除には衛生を保つという目的があるそうですが、日本ではあまり聞かない事から、宗教的な意味合いの方が強いような気がします。
そして調べを進めていくと、わざわざそのような事をしなくても包茎になどならないらしいという事が分かってきました。

夫に聞けば中学生の時に自力で剥き、その後いかに痛みが続くかという実体験を力説されました。ずっと厚い皮に守られていた部位を空気に曝すという事になるので、指の皮膚のささくれを取ろうとして深い所まで剥けてしまった時のジンジンとした痛みに似た感覚が股間からしばらく消えないそうで、剥き出しの男性器が下着にあたるだけで痛いそうです。
ネットで包茎を調べた所、夫は「常に完全に剥けている」という状態だったので、思春期に自力で対処するだけで十分なのだと安心しました。
もちろんその時に炎症を起こし、デリケートな年頃のせいで痛みをこらえ、大変な事になってしまうおそれもあると聞きます。そうならないよう記憶に残らない赤ちゃんの時に親が剥いてあげるべき、異常が出た時には羞恥心の無い赤ちゃんの時に医師に診せられるから、という意見も一理ありますが、自分で痛みを伴う経験をしてこそ少年は大人になるのであれば、この痛みはきっと大人への通過儀礼なのです。母親に剥かれていただなんて知ったら息子はショックを受けるかも知れません。

それでも念の為に3~4ヶ月健診で小児科医に
「3才までに剥けなかったら包茎になるってネットにあったんですが本当ですか?」と思い切って質問した所
「そんな事は初めて聞いた」
と怪訝そうな顔で答えて頂きました。
そのわりに今ほどの診察では息子のオムツをはずして性器の皮をちょいと剥いたではないか、あれは何を確認したんだ、と思いましたが、年配の女医さんだったせいか順番が詰まっていて忙しい時に馬鹿な質問をするんじゃないオーラが出て不機嫌そうになったので、それ以上の質問は出来ませんでした。
上の子である娘の時にも女性器を少し開いて中を確認する場面が健診にあったので(娘の時の担当は男性医師でした)、何か医学的な確認作業があったのでしょう。
女医さんでしたが小児科医が知らないという事は「3才までに男性器の皮を剥かなかったら将来包茎になって手術が必要になる」との噂は嘘なのだろうなと結論付け、私のモヤモヤは終わりにしました。
どこまで包皮を下げる事を「剥く」と言うのかは定かではありませんが、お風呂で夫がそれなりに洗ってくれているようです。私と入浴する時には2才の息子は「いやーん」と言って足を閉じ、性器を触らせないよう笑いながら抵抗するようになったので、もう私は関知しない事にしました。餅は餅屋、男児の事は夫にお任せです。

この件に関しては他にも様々な記事を見つけました。


【男の子】赤ちゃんのオチンチン、むくべき!? 「割礼」は本当に必要かお医者さんに聞いた
http://ure.pia.co.jp/articles/-/29458?page=2

アメリカ全土では約60%が割礼を行っています。日本と比較するととても多いように思われますが、以前に比べるとかなり低くなっています。
その理由として、アメリカ小児科協会が1998年から、割礼を「医療上の理由」で行うことを推奨するのをやめたからです。

(中略)

赤ちゃんは本当に割礼を希望しているのでしょうか? もし「清潔だから」という理由だけで行うのであれば、他にも方法はあります。

新生児期の赤ちゃんの大半は包茎であり、自然と包皮は下に下がってくることが多いです。また、赤ちゃんの身体を洗ってあげるときに、少し包皮を下にさげて、間に溜まっているアカを洗い流してあげることで、充分に清潔は保てます。

しかし初めて男児を育てる母親には男性器をそうまじまじと観察した事が無い方もいるでしょう。
赤ちゃんは最初は全員が包茎です。弟や年の近い兄がいない人にとっては息子の性器が夫のものと形状が異なる事に不安を抱くかも知れません。そこで夫と話せる妻ならば問題をこじらせる事は無いのでしょうが、もしも妻が訊けない、あるいは訊いても夫が答えをはぐらかしてしまったならばどうなるでしょうか。
そうした事を夫に訊けない女性が「3才までに男性器の皮を剥かなかったら将来包茎になって手術が必要になる」というガセネタを知った時の孤独な戦いをまとめた記事が以下のものです。


息子のちんちん大丈夫? 「むきむき体操」とむきあう母親の不安と孤独
https://www.buzzfeed.com/jp/akikokobayashi/mukimuki#.fpoKlMVZl

医師によると、皮があるせいでおちんちんの先に尿がたまると、細菌に感染しやすくなるという。風呂上がりに毎晩、できれば朝晩、皮をむくようにと指導された。

ここでまた、理解できなくなる。

おちんちんの皮をむく。小学5年生の時の記憶が蘇った。スポーツ万能でリーダー格の男子が、休み時間にそんな話をしていた。

「昨日も風呂でチンポの皮むいてみたんじゃけど、ぶち痛かったわー。ボロボロ取れて、風呂に浮きまくって。血も出たわ」

聞き役の男子は笑っていた。聞き耳を立てていた私は、身の毛がよだった。

魚肉ソーセージのパッケージを剥がすのに失敗して、オレンジ色のセロファンがピラピラ落ちる。ちんちんもそうやって脱皮して大きくなるものなのか?

(中略)

20年後、診察室。医師の説明によって、そのボロボロは皮ではなく、包皮の下にたまった垢(恥垢、すごい名前だ)だということ、皮をむくというのは「剝ぎ取る」のではなく「ずり下げる」ことだと私は初めて知るのだが、強烈なイメージはなかなか頭から離れなかった。

(中略)

毎晩、2人きりの部屋で、フローリングに寝かせたわが子のちんちんを親指と人差し指で挟み、皮をずり下げては戻すのを繰り返す。泣き声が響く。血がにじんだこともあった。

そこまでしてやる必要があるのか、と悩んで調べたところ、「包皮翻転指導」と呼ばれるこの方法は、小児科医や泌尿器科医ら専門家の間で、必要性について意見がわかれていることを知った。

だが実際は、育児雑誌やネットで知った情報を元に、自己流でやっている母親たちが少なくない。


赤ちゃんの男性器の包皮を上下する「むきむき体操」というのは泌尿器科医の岩室紳也氏が1990年に考案したものだそうです。その理由は亀頭包皮炎や、それによる包茎手術を減らしたかったからだそうだと上記の記事にありました。
子どもは男女ともに3才くらいになると自分の性器が気になりいじりだす事があるそうです。この年頃は虫やらカエルやらを触ったり砂遊びをしたりした手のままで性器も触るので雑菌が入りやすく炎症する事もあるようです。包皮が剥けていれば洗いやすくもなるので清潔を保てます。しかし無理に「むきむき体操」を行う必要はありません。男の子は赤ちゃんの時は全員が包茎で、成長とともに自然と剥けていく人もいるのだそうです。

ところが自身が経験していない物事ゆえに母親の中には楽観視できない方も少なくないようです。
上記の記事を引用します。

問題なのは、病気予防や衛生の面で指導されているはずの「むきむき体操」が、「やらなければ子どもが将来、包茎の悩みを抱えてしまうのではないか」という壮大な危機感に変換されて、母親の育児不安につながっていることだ。

取材した母親の中には、「宿泊研修で一人だけむけてなくていじめられたらどうしよう」「彼女ができた時に呆れられたら困る」と10年後、20年後を心配している人がおり、私も例外ではなかった。

「息子は将来、むいてあげた私に感謝するはず」「包茎手術は医療費助成がある年齢のうちにやらせておきたい」と話す母親もいた。

岩室さんが診察する神奈川県の厚木市立病院の泌尿器科に息子を連れてくる保護者は「圧倒的に母親が多い」。ママ友の紹介などだという。病気や衛生の面だけでなく、「真性ですか、仮性ですか?」と見た目を気にする傾向があるという。

母親がこうした悩みを抱えている時に、父親の姿は見えないと記事の最後にありました。私は夫に聞き、夫も普通に答えてくれたので「私の今の努力次第で将来の息子は手術が不要になる、だから今やらなければ」という焦りはなくなりましたが、不安がる妻に寄り添ってくれる夫はもしかしたら珍しい方だったのかも知れません。

子どもは女性だけで作れない以上、男性も育児に参加するべきです。普段の世話は妻メインでも、女性には分からない事には男性の意見が必要です。
今回の話題は夫となった男性の性経験の告白も伴うものなので男性側としては後ろめたいところがあるのかも知れませんが、お互いにする事をして出来た子どもなのですから、男の子の親になった以上、男性もしっかりと役目を果たすべきだと思います。