xharukoの日記

妊娠、出産、育児の中で思った事をつれづれ書きます

子育てを男女でする事は女の甘えなのか

「動物のメスは独りで子育てするのに、男に頼らないと子育ても生活も出来ないとか言う人間の女は甘えている」
そんなコメントをインターネット上のどこかで読んだ事があります。

確かにオスが子育てをする動物は少ないかも知れません。多くの動物ではメスは独りで出産し子育てし、自分の餌も自分で調達します。人間のメスに何故それが出来ないのかを一言で言えば、出産が容易ではなくなってしまった事と、赤ちゃんがあまりにも脆弱に産まれてくるからでしょうか。

二足歩行をするように進化したせいでヒトの骨盤は狭くなってしまい、その状態で出産をするには生物的には未熟児の状態で赤ちゃんを出さなけらばならなくなったのだと聞いた事があります。
おまけに母体の骨盤が狭いせいで他の動物よりも出産が困難になってしまい、産後すぐの人間のメスは普通には歩けない程のダメージを負ってしまうようになりました。産後の出血は1ヶ月以上も止まりません。
交通事故で全治1ヶ月の外傷を負った男性が事故直後にいきなり働く事が困難なように、産後すぐの女性は働けません。

ヒトが人間社会で生きていく為にはお金が必要です。動物は巣を自力で用意しなければなりませんが、無料です。しかし人間は賃貸なら家賃を、支払いの終わったマイホームなら税金をずっと納めなくてはなりません。
人間が食べ物を得る為にはお金が必要ですが、お金を手に入れる為には労働が必要です。賃金はすぐには受け取れない事も多く、また生活していく為に必要な賃金を得るにはそれなりの時間を働かなければなりません。しかし、ママさんが働いている間に赤ちゃんの面倒を見てくれる人がいなければ、赤ちゃんは死んでしまうおそれがあります。

お腹の中で大事に守ってきた赤ちゃんを外界でも同じように守らねばと思うからこそ、母親には途方もない精神的重圧がかかります。

「母親の勘」に自信がない…子の命が自分一人にかかっているという不安感
https://limo.media/articles/-/10660

子どもの命が、自分だけの勘や判断、行動にかかっているという不安や緊張感は言葉では言い表せません。24時間365日の子育てにおいて、その不安は子どもが大きくなるまで休みなく母親にのしかかっています。

人間の子どもはあまりにも脆弱で、新生児の頃など隣で寝ている子の寝息があまりにも静かだと、ふいに「息をしているか」と心配になり確認をするママさんも多いかと思います。
寝ているだけの赤ちゃんが突然死んでしまうSIDS(新生児突然死症候群)の予防と言われている方法、「あおむけに寝かせる」は窒息の予防、「母乳で育てる」はすぐに空腹にならせる事で赤ちゃんを深い眠りにする事を妨げる為、「赤ちゃんの近くでタバコを吸わない」は気管が弱い子になる事を防ぐという理由からだと聞いた事があります。SIDSは12月以降の冬季に発症する傾向が高いそうですが、もしかしたらそれは冬は冬眠の季節で生物は眠りやすい為、赤ちゃんは深く眠り込むあまり呼吸を忘れてしまうからなのかも知れません。

草食動物の子どもは生まれてすぐに立ち上ります。猫も犬も目が開かないうちから自力で乳首に吸い付こうと歩きます。しかし人間の子どもは一年以上育ってからでないと歩けません。首すら生後数ヵ月は経たないと自力では支えていられない生き物なのです。
野生の動物が寝返りをしたからと言っても死ぬ事はまずないと思いますが、人間の赤ちゃんは寝返りをしたら死ぬ事があります。赤ちゃんの為に作られたベビーベッドでも、ベルトで固定せず赤ちゃんに寝返りを許したせいで死亡事故が多発しているという記事がありました。


“使用中止を” 米製ベビーベッド 死亡事故相次ぎリコール
https://search.yahoo.co.jp/amp/s/www3.nhk.or.jp/news/html/20190414/amp/k10011883491000.html%3Fusqp%3Dmq331AQPCAEoAZgBirqW88-XydFi

アメリカの大手ベビー用品メーカーが販売し日本でも流通するベビーベッドで、乳幼児の死亡事故が多発していたことが分かり、メーカーはおよそ470万台をリコールし、直ちに使用をやめるよう呼びかけています。

これはアメリカの大手ベビー用品メーカーの「フィッシャープライス」が販売する「ロックン・プレイ・スリーパー」という製品で、日本でもインターネット通販などで流通しています。

人間の赤ちゃんは大人が四六時中見守っていなければ死んでしまう程に脆弱に生まれてきます。だからこそママさんは赤ちゃんを一人放って働きに行く事が出来ず、そのママさんの生活を支える為に誰かの協力が必要になってくるのです。

ヒトは二足歩行する事を選んだからこそ、赤ちゃんは脆弱に生まれ、育児をする女性には誰かの助けが必要になった。その「誰か」が必ずしも男性である必要はありませんが、平安時代の貴族が行っていたという父親の元に住む女性に会いに行く通い婚から自分の元に妻を住まわす事を普通とするように結婚の形態を変化させたのが男性である以上、夫には妻と子を守る責任があると思います。男性の支配欲と庇護欲を満たした結果が現代の結婚形態なのですから、夫も育児に関わるのが筋というものです。

そうは言っても、赤ちゃんにミルクをあげる、オムツを交換するだけが「育児」ではありません。


「見えない育児」の大切さ
https://ascii.jp/elem/000/001/839/1839564/

 ただ2年間やってきて、タスクは育児の一部でしかないと感じます。子どもの相手をしている人の負担を軽くすること全部が育児のようなもので、場面によってはむしろそっちが本質的な育児なのではないかとも感じます。

 たとえば床にちらばったおもちゃを片づけること。子どもくんが「ライオン来たよ」と言ったら「ライオン来ちゃったの!?」と会話すること。ベビーカーをバスから一緒に降ろすこと。妻(夫)の代わりに洗濯物をたたんでおくこと。寝かしつけが終わった妻(夫)が「疲れた~~~~」と言いながら飲むビールを買って帰るのも育児みたいなものではないかと思います。

妻が安心して育児が出来る環境を整えてやる事も男性にとっての「育児」だと考えれば、男性は昔から育児をしていた事になります。
現代の女性が男性にも育児のオペレーションに参加して欲しいと願う事は要求のし過ぎなのかも知れませんが、妻と子が安心して生活するだけのお金を夫が用意できない以上、それはお互い様なのかも知れません。

動物の中にもパートナーをずっと変えない種族もいます。「おしどり夫婦」の語源となったオシドリは実は繁殖のパートナーを毎年変えているそうですが、ペンギンは生涯パートナーを変えず、メスが卵を産んだら60日ほど飲まず食わずで卵を温めて孵化をさせるのはオスの役割だそうです。タヌキも一夫一妻制で、オスは子育てに熱心で餌を運び、グルーミングもするそうです。魚の中には卵をオスが口の中に入れて孵化するまで保護する習性があるものもいるそうです。
そして人間には男性に頼らず女手ひとつで子どもを育て上げるシングルマザーがいらっしゃいます。
人間以外の動物のメス全てが子育てを独りでこなしている訳ではなく、人間の女にも男性に頼らずに暮らしている人もいます。

男に寄生しないと女は生きていけない、女は甘えていると言うのであれば、自分は自立した女性をパートナーに選べば良いのです。
妻を専業主婦という「寄生虫」にさせている男性は、男性本人がそれを希望したからこそという場合もあります。
他の夫婦の妻がいかに夫にも子育てのオペレーションを押し付けようとしていようが、それはその夫婦の問題です。表立っては面倒くさがっていても、帰宅した途端に目尻を下げて喜んでオペレーションに参加する男性だって中にはいるでしょう。
「動物のメスは独りで子育てするのに、男に頼らないと子育ても生活も出来ないとか言う人間の女は甘えている」と考えている男性は、自分が世の男性の代表になった気で発言しているのかも知れませんが、そうとは思わない男性だって世の中にはいるかも知れません。

メスが独りで子育てをする動物の中には、メスは複数のオスと同時に関係を持つ事があります。メスは、より良い子孫を遺す為により強いオスに惹かれる事があります。自分の遺伝子を確実に後世に残したいと思えば、妻を監督する為に自分に「寄生」させようとする男性が現れるのも当然なのです。


人間の赤ちゃんは脆弱過ぎて、それを守ろうとすると母親は自力では生きていけない人もいる。母親が死んでは赤ちゃんも死んでしまい、種の繁栄が出来なくなる。自分の遺伝子を確実に遺す為に「女を甘やかし」、「男に寄生させる」事を望んだのは昔の男性たちである。それを否定するならば、あなたも自分なりのやり方で遺伝子を後世に遺せるよう、パートナーと工夫すれば良い。

これが「動物のメスは独りで子育てするのに、男に頼らないと子育ても生活も出来ないとか言う人間の女は甘えている」と考えている男性に向けた、私なりの回答です。