xharukoの日記

妊娠、出産、育児の中で思った事をつれづれ書きます

うちの子への予防接種が、いつか誰かの役に立つ

先日、我が家の上の子宛に自治体から封書が届きました。中に入っていたのは麻しん風しんの予防接種の案内でした。
母子手帳で5歳から受けられると記載している麻しん風しん2期のワクチン接種は、私の住む自治体では年長になる子どものいる家庭に一斉に4月に届けられる制度になっているそうです。

風疹の事については以前にも書きましたが、風疹の恐ろしい所は妊娠初期の妊婦が感染すると障害のある子どもが産まれる事です。知的障害、精神障害、身体障害など障害にも様々ありますが、風疹によって背負わされる障害だけは、人がその叡智でもって避けられる障害なのです。しかも注射一本で。


「令和」を風疹大流行で幕開けとしないために 平成元年に先天性風疹症候群を持って生まれた女性が願うこと
https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/kazamisakurako


2019年に入っても風疹の猛威は衰える気配を見せない。

1月から3月24日までの3ヶ月足らずで、すでに感染者の報告数は1033人。2013年の大流行と同様のペースで増え続けている。

こうした現実を、怒りを持って見つめているのは、平成元年生まれの風見サクラコさん(仮名、30)だ。

30年前の大流行時、妊娠中の母が風疹にかかり、重度の難聴と白内障などの目の障害が残る「先天性風疹症候群」を持って生まれた。

(中略)

風見さんの両親が結婚した1987年は風疹が大流行した年だ。風見さんが生まれた東京都内だけでも3万人を超える報告が上がり、風見さんの母も結婚前に、風疹ウイルスに抵抗する免疫を調べる抗体検査を行なっていた。

保健所で「抗体がありますから大丈夫」と言われた抗体価は16倍。現在の基準では感染を防ぐには32倍必要と言われており、ワクチンが必要な抗体価だった。当時は必要ないとされ、ワクチンをうたなかったことが風見さんの運命を決めた。

私は上の子を2013年に出産しました。その2013年は風疹が大流行した年でした。私は小学生の頃に風疹にかかっていたおかげか、妊娠時の検査での抗体価は64倍でした。その結果を私に伝えた医師は「エクセレント!」(本当に言った)と満面の笑みを浮かべていました。私のお腹の子は先天性風疹症候群にはならないと確定したからです。

妊娠すると様々な検査を受けます。その中の1つである風疹の抗体検査は妊娠初期に行われます。問題は、その段階で抗体価が少ないと判明したところで風疹の予防接種が出来ない事です。
予防接種で打つワクチンは力を弱めたウイルスです。つまり人工的に風疹に感染させる事で抗体を得るのです。抗体価が少ないからと妊婦が風疹ワクチンを接種した場合、風疹にかかってしまうのでその手法は取れません。
妊娠初期の風疹抗体価検査で低い数値が出た場合、せいぜい「自分は風疹をうつされるような場所に近付いてはならない」と妊婦さんに自覚させる事しか出来ません。しかし風疹は人の多い所へ行けば、知らずに貰ってきてしまうものです。
また妊娠前に風疹ワクチン接種をしたからと言っても、抗体を得られない人も中にはいます。そうした人を守る為に抗体を得られる体質の人は出来るだけ大勢が抗体を獲得し、社会全体で流行を防がなくてはなりません。

風疹の流行が繰り返されるのは国の予防接種策で、ワクチンをうつ機会が不十分だった1962年4月2日から1979年4月1日生まれの男性が感染するからだそうです。
国は今年から3年間、この世代の男性を公費で接種できる定期接種にしたそうです。抗体検査を受けて風疹ウイルスの抗体価が不十分であることがわかった男性にはワクチンを公費で受けてもらう対策を打ち出しました。
しかし果たしてそのような手間をかけてまで働き盛りの男性が仕事を休んで注射をしに行くでしょうか。しかも2回も。

私の夫は無料のガン検診クーポンが送られてきても仕事が忙しい事を理由に受診しません。私も乳ガン検診を子どもを預けてまで受けるものとは思えず、機会を自分から放棄した事があります。ましてや風疹は別名「三日はしか」、ガンほど大変な病気ではありません。寝ていれば治るような病気の為に抗体価検査で採血をし、数週間後に結果が出てから再度来院しワクチンを接種する。いくら無料でも平日に2回も病院に行かなければならないのですから、妊婦が身近にいない男性にはデメリットしか感じないでしょう。
抗体価が高い人がワクチン接種をしても副作用は無いのですから、検査など挟まずにさっさと予防接種を受けさせてしまえば良いのですが、なにぶんワクチンは高価なので無駄打ちが出来ないのでしょう。

風疹は大人になってから罹患すると重症化する事はありますが、かかった本人にとっては発熱や発疹程度の病気です。しかし妊婦が感染するとお腹の子どもに障害が出る恐ろしい病気です。自分にとっては大した事のない病気が、他の誰かの人生を変えてしまうのです。
仕事に対して責任感がある人は少々の体調不良でも出勤してしまいます。休むべき時に休まない人がおり、免疫の少ない人が感染してしまうので風疹は流行を繰り返します。
妊娠している人、アレルギーを持っている人、病気で予防接種が出来ない人を風疹から守る為には流行をさせない事、つまり集団免疫が必要なのです。

私の娘は2回目の麻しん風しん予防接種を終えました。これで娘は将来妊娠した時に風疹に怯える心配は少なくなります。そしてそれは同時に、娘が将来仲良くなったママ友や妊婦仲間を風疹から守る1つの盾となった事を意味します。その盾は多ければ多いほど有効です。
予防接種は本人や家族の為だけに受けるのではありません。娘の抗体価の高さが、いつか見知らぬ誰かを守るのです。

受けられる機会がある方はぜひ、一緒に風疹流行の盾のひとつになりましょう。