xharukoの日記

妊娠、出産、育児の中で思った事をつれづれ書きます

人間が入っていた

出産後、ママが我が子を初めて見た時に思った素直な気持ちをまとめた記事を読みました。


「やっと会えたね…!」我が子を初めて見て思ったこと
https://trilltrill.jp/articles/1182043


やっと会えた、○○に似てる、この子がお腹にいたのか、やっと終わった、そして可愛い。記事では様々なママさんの感想が紹介されていました。
一方、第一子を産み終えて助産師さんに赤ちゃんを見せられた時の私の感想は

「本当に人間が入っていたんだ…」

でした(笑)
感動と言うよりも驚愕に近く、人体の神秘におののいていたような覚えがあります。

妊娠中、健診でエコー写真は頂いていましたが、後半の顔のアップは骸骨のようでした。
そんなエコー写真を見た助産師さんから「わぁ可愛い(ハート)」と言われた時には
(え、この骸骨みたいな写真のどこが「可愛い」なの?)
と思い、
「(この子が可愛い子なのかどうか)よく分かりますね」
などと口走った事すらあります。

きっと、この「可愛い」発言は顔の作りの可愛さではなく、存在に対しての可愛さだったのだろうと思います。

エコー検査をする度に医師は「ちょっと小さめかな」やら「ここが胃だよ」「心臓、元気だね」とは教えてくれていたので、人間が入っている事は確かだろうとは一応は思っていました。
もし胎児が人外の何かならば私にも説明はあっただろうので、他の一般的な胎児と同じような子がお腹に入っているのだろうとは思いましたが、実際に自分の目で確認するまではどうしても信じられませんでした。
性交後、膣内からどろりと出てくるあの液体から赤ちゃんが出来るだなんて、人類史上最初に確認したのは誰だったのでしょうか。
細胞分裂を繰り返し、たった数ヵ月で受精卵が赤ちゃんにまで成長する。その赤ちゃんが成長し、大人になり、性交して子どもが出来て、出産する。それが何代も何代も繰り返されて私が生まれ、娘を産んだ。娘もまた成長したら同じような経験をして子を残すのかも知れません。
産後の分娩台で胎脂まみれの娘を見せられた時の私は、自分が歴史の一部になったような不思議な感覚に包まれながら、ひたすら人体の神秘に圧倒されていたのでした。

なお二人目の出産の時には
「元気な赤ちゃんですよ」とだけ言われたので、
「性別、男でした?」
助産師さんに確認をお願いしました。
エコー検査の時に医師が男性器の存在を胎児に認めたので男児だとは聞かされていましたが、見間違いもあるらしいと聞いた事があったので、どうしても確認したくなったのです。
テレビドラマではこういう時には「元気な男の子ですよ」という場面が殆どだったのに、「元気な赤ちゃんですよ」としか言われなかった事もひっかかりました。
「ちゃーんと男の子ですよ」と、助産師さんは笑いながら息子の性器が私に見えるようにしてくれ、しかし分娩台からはよくは見えませんでしたが、そこまで言うのならば確かだろうと納得したのでした。
産後、数時間後から始まった赤ちゃんのお世話の中で、オムツの中はしっかりと自分の目で確認をしました。

二人目の時にはせっかくだからと胎盤も見せて貰いました。こんな臓器が私から栄養を吸いとり赤ちゃんに回していたのかと思うと、実に感慨深かったです。しかも産んだらお払い箱となるには、なかなかの大きさの臓器でした。産後の回復に良いと食べる風習のある地域もあるらしいですが、自分の指の皮膚を食べた事はあっても、胎盤を食べるのは大きさ的にも許否感があったので、「これ、食べる人もいるんですよね」という言葉は飲み込みました。何より私はレバーやホルモンといった内臓系の焼き肉は苦手なのです。胎盤は形や色艶からも、スーパーで見かけた豚レバーのようでした。

人体の構造は学校の授業でも習いましたし、医療や健康に関するテレビ番組で個人的に学習もしました。しかしそれでも本当に各臓器がそのように動いているのか、今でも半信半疑なところがあります。

あんな行為で新しく人間を作り出せる。
一人しか居なかった筈の密室から一人の死体と一人の人間が出てきたミステリー作品は「すべてがFになる」だったでしょうか。
この世界は本当に不思議に満ち溢れている。私が人間を産むなどと、子どもの頃には思いもしませんでした。
産後直後は悟りを開きかけたような気がします。