xharukoの日記

妊娠、出産、育児の中で思った事をつれづれ書きます

においは大事

実を言えば私が夫との結婚を決めた理由のひとつに「体臭」があります。
私たち夫婦は男女のお付き合いをする以前に、いきなり「結婚して下さい」から始まった関係でした。
さてどう返答したものかと思った時にふと、テレビか何かで得た知識が頭によぎりました。少女がある日から突然「お父さん、くさい!」と言って距離をとる理由は遺伝子にあるのだと。それは子孫繁栄の為には必要な機能なのだと。

私たちは誰かと親しくなる時に、たぶん「におい」も条件に入れている。私にいきなり結婚を申し込んできたこの男性からは不快なにおいは感じない。ならばそんなに悪い相手ではないような気がする。そんな選別の仕方が私にあった事は今でも夫には秘密ですが、やはり「におい」は大事なのだとこの記事を読んで再確認しました。


運命の人は「嗅ぎ」わけろ! 今さら聞けない「ココロ」の質問箱
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/64160

HLA(免疫が自分と他人の細胞を見分けるためのシステム。臓器移植ではこれのタイプが重要視される)のタイプがより異なるほど相手に魅力を感じるという、508人もの被験者を使った調査結果があります(Kromer et al, 2016)。

これはパートナーのHLAのタイプがより異なるほど、子供がよりさまざまな種類の病原体に対抗できるからだと考えられています。

ただし、HLAタイプの違いは「見分け」ているのではなく、匂いで「嗅ぎ分けて」いるようなので、「運命の人かな?」と思ったら、何かしらの機会を作って匂いを嗅いでみることをおすすめします(そのことによって起きる、いかなる不測の事態にも責任は負いかねます)。

年頃の少女が実父のにおいを嫌うようになるのは近親相姦を避ける為だと聞いた事があります。様々な病原体に対抗し、生き残り繁栄していく為には生物は多様な遺伝子を用意しないといけません。同じパターンの遺伝子の人間ばかりでいては、ひとつの病気が蔓延したら人類は一網打尽だからです。
子ども向けに人体を説明するEテレ「バビブベボディ」の赤ちゃんの回で、子どもはお母さんから設計図の半分を、もう半分の設計図をお父さんから貰い、ふたつの設計図が合わさって初めて受精卵になるのだと説明していました。
子どもは例え外見的に似ている所が少なくても、父親からの設計図も持っている。同じ設計図(DNA)どうしの掛け合いでは生まれる子どもは似たような遺伝子の構造になってしまう為、遺伝子が近い人とは子どもを作らないよう「お父さん、くさい!」が始まるのだそうです。
これが「お兄ちゃん、くさい」など兄弟にまで嫌悪の対象が拡がらないのは、兄弟は実父と比較すると遺伝子が遠いからかも知れません。法律でも親は一親等ですが、きょうだいは二親等になります。少女の子作り相手として最も相応しくないのは実父なので、真っ先に父親が「くさい」の対象になるのでしょう。加齢臭を放つ年齢は精子の遺伝子も壊れてきているだろうので、遠ざけたいと思うのは女性の本能なのです。

年頃の時に自分は「くさい」と嫌悪するほど実父を嫌いにはなりませんでしたが、その説明を受けて納得はいきました。
人は遺伝子をにおいで判断する。その情報が頭の片隅にあったからこそ、夫が何の脈絡もなく私にプロポーズをしてきた時に「この体臭に私は嫌悪感がない、つまり遺伝子が大丈夫だと言っている、ならば話くらいは聞いてやるか」と思ったのです。

HLA(免疫システム)が「嗅ぎ分ける」ものだとは思いもしませんでしたが、「良いな」と異性に惹かれている時にはきっとHLAのタイプがより異なっている事を無意識に察知しているのでしょう。
相手が清潔にしていても何か「におい」に違和感がある時には、もしかしたら遺伝子情報が近しいか、免疫のタイプが似ているのかも知れません。

映画「かいけつゾロリ ZZのひみつ」では主人公は過去の世界に来てしまい、若い頃の母親と出会います。ここが過去の世界なのだと確認し、主人公が広場でうなだれていると自分の母親になる女性が追いかけて来ます。
どうしてここにいる事が分かったのかと訊く主人公に対し、主人公が自分の息子だとは知らない女性はこう言いました。
「におい…かな?」
守りたいと思う相手のにおいもまた、不快だとは感じないものなのかも知れません。私の設計図を半分持っている子どもたちからは、確かに良いにおいがします。

記事にもありましたが「運命の人かな?」と思った時には、シャンプーや香水に惑わされずに体臭の確認をしてみるのも良いかも知れません。
もちろん私も「そのことによって起きる、いかなる不測の事態にも責任は負いかねます」が。