xharukoの日記

妊娠、出産、育児の中で思った事をつれづれ書きます

大学生の子育ての甘い夢に水を差してみる

若者がDA PUMP「USA」にポカンとするワケ
生活のバランスを崩してまでお金はいらない
https://toyokeizai.net/articles/-/233686?display=b

この記事に登場する大学生の子育て観があまりに都合が良すぎる為、現実は思い通りにはならないかも知れないよと知ったかぶって解説してみます。

冒頭の記事は法政、明治、早稲田大学などの学生に座談会形式で話して貰い現在の大学生の仕事観を明らかにするという内容です。DA PUMPの「USA」という曲名が記事のタイトルに使用されていますが、これは君たち若者に大人気なこの歌の中には若者が憧れるビッグドリームが何度も出てくるだろう、と司会者が言う件(くだり)で登場します。
(「USA」の歌詞を見てもビッグドリーム感は私には感じられませんでしたが)
それに対し大学生らは困惑しながら、歌は歌、歌詞の内容が自分たちに合致し共感できるからヒットした訳ではないと答えます。現代の若者が目指すのはビッグドリームではなくワーク・ライフ・バランスで、生活の何かを捨ててまで仕事を頑張りたくはない、と考えているようです。

さてこの記事では

「30代前半には結婚して、40歳時点では子どもをふたり欲しいです。」

「僕は20代のうちに結婚して、奥さんと共働きでしっかり稼ぎたいです。そのお金で家事代行サービスを活用します。30代でふたりのキャリアがいい感じになってきたら、子どもを作りたいです。」

と答える男子大学生や、

「私はバリバリ働きたいので、何よりも仕事優先の40歳になっていると思います。ただ20代のときよりはある程度穏やかな働き方をしていたいかな。子どもは……老後にお世話してもらうことを考えると(笑)、ふたりくらい欲しいですね。ただ、作る時期に関して言うと、産めるギリギリの年齢まで延ばしちゃうと思います。」

「20代後半から30歳くらいで結婚して早めに子どもを産み、40歳ではガンガン働いてると思います。20代後半から30歳くらいで結婚して早めに子どもを産みたいんですが、40歳の時点では子どもがある程度大きくなって、それほど手がかからなくなっているでしょうし、私の職場でのポジションも上がっていると思うので、思う存分働けるはず。」

と答える女子大学生が登場します。

そんな簡単に理想のタイミングで子どもが授かれたら不妊治療は日本でここまで発達しませんよ、と経験者でもないくせに姑根性で若者に言いたくなりました。

不妊治療 割合】と検索したところ下記の病院の記事を見つけました。

田園都市レディースクリニック
増える不妊治療 - どれくらいの割合の人が治療しているのか

https://www.denentoshi-lady.com/blog/98/

不妊治療を受けている方の数をはっきりと表すデータはありませんが、排卵誘発剤、人工授精、体外受精、顕微授精などの不妊治療を受けている患者さんは、10年以上前の2003年の段階で、推定で46万6,900人ほどだといわれています。

他にもこちらのサイトでは「日本の夫婦の約3組に1組は、自分たちは不妊ではないかと心配したことがあり、約6組に1組は、実際に不妊症の検査や治療を受けたことがあるのです。」との記載もありました。
学生時代には妊娠は「したら困るもの」であり、避けたいのに妊娠してしまう人がいる=避妊しなければ妊娠する事は簡単だという認識かも知れませんが、結婚し、いざ子作りを始めると実はなかなか妊娠しないものだと認識が改まる人もいるものです。
実際に私は二人目の子どもをすぐにも授かりたかったのに、なかなか妊娠できない期間があり、自分は二人目不妊なのではと悩んだ事があります。ドラッグストアで排卵検査薬を求め、夫にも漢方薬局で購入したサプリメントを摂取して貰いました。
現代の30代は若いようで、しかし人体の出産年齢で考えると30代は若くはないので妊娠の確率は20代よりも下がるのだそうです。子どもを欲しくない年代の頃には妊娠しやすく、欲しいと望む年代になる頃には男女とも低下してしまっているのが妊娠力なのです。
記事に登場する大学生らは全員「希望すればいつでも子どもは出来る」と思っているようでしたが、特にキャリアを積んだ女性は望んだタイミングで子どもを授かれなければ人生設計の変更を余儀なくさせられます。子どもが4月生まれになるよう妊娠したのに3月末に出産してしまい保育園探しがうまくいかなくなったという話も聞いた事があります。子どもが何月生まれになるのかは女性にとっては産休育休からの復帰の難易度が変わる程の事なのです。
女子大学生の一人が言った「産めるギリギリの年齢」が何歳を想定しているのかも気がかりでなりません。近年は芸能人が高齢で初産を成功している例もありますが、そんな成功例は妊娠を望む人全てには当てはまらないのです。どんなに見た目が若々しくても35才からの初産の人はカルテに高齢、と書かれるのが現実です。

卵子は優秀なものから排卵されると聞いた事があります。この場合の「優秀」とはしっかり細胞分裂が出来る卵子という意味です。キャリアを重視し産めるギリギリの年齢まで妊娠を後回しに考えているのであれば、万が一の事態に備えて20代の頃の卵子を凍結する事を提案します。

「そろそろ卵子凍結、若いうちに」と40代女性、「もう、お若くないのですけど」→40オーバーは若くない。声を大にして言わないとダメです。

https://capturelife1.net/ネット・科学/「そろそろ卵子凍結、若いうちに」と40代女性

「子どもは欲しいので、そろそろ卵子凍結を考えています。若いうちがよいのですよね?」

「えええっ?!」という悲鳴はなんとかのみ込みましたが、あとはしどろもどろ。

「あの、えっと、『卵子凍結』って、そのまま妊娠・出産につながるわけじゃない――ので、1個保存すればよい、ってものじゃなくて、た、たくさん必要だし……。あ、いや、その前に、年齢によっては、卵子も採れなくて――。っていうか、若いうちって……?」

もう、お若くないのですけど――とは、言えません。「と、とにかく、ぜひ、いえ、すぐ、専門家に相談に行ってくださいっ!」と、最後はほぼ絶叫調になったのでした。

(中略)

不妊治療が、赤ちゃんに会いたいあなたの望みをかなえる「魔法のつえ」になるとは限りません。さきほどの2015年のデータでも、出産できる可能性は、1回の治療につき12%を下回っています。最新医学の力を借りても、厳しい数字なのです。

年齢に関係した話では、もうひとつあります。年が上がると、とても残念なことに、流産したり、妊娠中毒症や難産になったりするリスクが高まります。

35歳以降は「高齢出産」とみなされます。これは、昔と少しも変わりません。今は、私たち女性の社会進出が進み、見た目も気持ちも若いため、この点を見過ごしてしまうのです。私もそうでした。

でも、人間の生殖機能の限界は変わっていないことを、ぜひ知っておいてほしいのです。

元記事は「不妊治療のやめどき」(WAVE出版)、「ひとりじゃないよ!不妊治療」(角川書店)を著した松本亜樹子さんが書かれたものだそうです。

この記事からも分かる通り、女性はキャリアを積む前に自身の妊娠力を一度確認した方が良いのではないかと思います。その上で、子どもを望んだ時にその選択肢が残されていれば幸いだと思います。
男性も妻には30代で妊娠して貰って、などと悠長に考えている余裕はないかも知れない事はNHKスペシャル「ニッポン精子力クライシス」で明らかにされました。不妊は男性が原因の時もあるのです。
人生設計上で子どもの事は後回しにする事もその人の選択ですが、妊娠はすぐにはできない可能性がある事も頭の片隅には置いておいた方が良いのではないかと老婆心が疼きました。