xharukoの日記

妊娠、出産、育児の中で思った事をつれづれ書きます

産めよ増やせよ地に満ちよ

「子作り成功婚」という単語に出会い目から鱗が落ちたような気持ちになりました。

この「子作り成功婚」という言葉は
『愛娘は3歳8ヶ月 「凍結卵子」で子どもを産んだ44歳女性のその後』
http://bunshun.jp/articles/-/10314
という文春オンラインの記事がYahooヘッドラインに挙がっていた際に、コメント機能により一般の方が投稿した文章の中で発見しました。

記事は未婚の頃に卵子を凍結していた女性の話でした。子どものいる家族団らんを強く望む医療従事者であった女性は、妊娠出産は若い方が良いと痛感していた為、高い志をもって高額な卵子凍結を繰り返しました。女性は理解ある男性と巡り合い結婚してすぐに凍結していた卵子体外受精し出産に成功したのですが、それに対してメディアは「凍結卵子 健康女性出産、大阪の44歳 国内初確認」という見出しで報じ、キャリアも子どもも手に入れようだなんて「今どきの若い女性はわがままだ」とでも言わんばかりに批判された、という内容でした。なお凍結卵子を使って産まれた子どもは何の問題なく、すくすくと成長しているそうです。

上記の記事には様々なコメントが寄せられており、女性とおぼしき方などからは現代の女性の生きづらさのような意見も出ていました。

私が特に気になったコメント投稿者は、20代後半あたりで仕事が板に付き、結婚なんてしていられないくらい楽しい時期になる現代の女性が、20代で結婚してそのまますぐ妊娠出産する事は自分を捨てないと出来ない難しい事だと記しています。そして自身は39歳で子どもを授かり入籍、40歳15日で出産し、現在は第二子を妊娠中との事でした。
そのコメントに対し他の方が
「これってでき婚(作っちゃった婚)ですか?」
と反応した事への返信として
出来ちゃった婚と言うか、この歳で子供居ないけど結婚しようかって私は考える選択なかったから計画的にお互いが子作り成功婚ってのが1番しっくりくるのかも笑。この歳なら分かる人居ると思うけどw理解してくれなくてもいいけど、実際子供は欲しかったし。結婚して子供授からないままならわざわざ結婚する必要がなかったって後悔のが目に見えてたからね。ただそれだけ。」
と新たに投稿をしていました。

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私はこの投稿内容に深く賛同しました。選択子無し夫婦もいるでしょうが、私ならば結婚するからには子どもが欲しいと思ったからです。子どもを望まない以上は同棲(事実婚)で済ませておき、わざわざ結婚しなくても良いのではないかと。

結婚にメリットが見いだせずにいる男性は数多くいるそうです。中でも匿名掲示板の既婚男性板で子どもがいない方が愚痴を書き込むスレッドでは「石を捨てたい」などと、かなり痛烈な書き込みもなされています。
石とは石女(うまずめ)の省略で、子どもを産めない女性の事を指す差別用語です。かつては「三年子無きは去れ」とすら言われる程、子どもを産めない女性はそれを理由に簡単に離縁させられていたそうですが、現代では子どもを産めない程度では女性側に非がある正当な離婚事由とは認められていません。したがって妻が不妊で離婚したい場合には夫が頭を下げて妻に願わねばならず、妻が首を縦に振らなければ離婚は成立しません。仮に離婚が成立しても夫有責での離婚になるので妻からの財産分与請求や慰謝料請求にも応じなければならず、それが足枷となり離婚して新たなパートナーと巡り会い子作りチャレンジをしたくても、金銭的にも年齢的にももはや見通しが立たず諦めている既婚男性は少なくない人数がいるようです。

男女が結婚するメリットのひとつが「子どもを堂々と作れる事」かと思いますが、配偶者、またはお互いが不妊の場合はその望みはすぐには叶いません。治療をして妊娠を目指す夫婦もいますが、男性側の不妊であっても女性側の負担は大きく、また治療費もかかる為、途中で諦めてしまう夫婦もいるでしょう。しかし結婚前に自身が不妊である事は本人すらも知らない事がままあります。私自身も自分が子どもを産める体質かどうかなど調べもしないまま結婚しました。
少なくとも、いわゆる「出来ちゃった結婚」は、不妊の悩みとは無縁でいられるというメリットがあります。

私は幸いにも結婚してすぐに一人目の子を授かりましたが、結婚して半年以内に授かったせいで知り合いからは出来ちゃった結婚を疑われる事があります(おそらく相手は冗談のつもりで言っているのだろうと思いますが)。そういう人には十月十日(とつきとおか)という言葉を知らんのか、出来ちゃった婚ならもっと早く産んでるわと言い返しています。
妊娠してから婚姻届を提出する事を「出来ちゃった結婚」と呼びますが、近頃は「授かり婚」という名称を使っている場面も目にします。名称を変えた所で順番を間違えている事には変わらないと感じる人もいるでしょう。
本来の流れで言えば両家へ挨拶、結婚の承諾を双方から受けて婚姻届の提出、子作り開始、妊娠出産かと思いますが、現在は晩婚化が進み、そのような流れを守っていては女性はリスクの高い高齢出産になる人が多くなってしまいます。
子どもが健やかに成長し夫婦円満であれば、誰も結婚と妊娠の順番になど気にも留めなくなるのではないでしょうか。

出来ちゃった結婚の夫婦はその後6割が離婚していると聞きました。そもそも「出来ちゃった結婚」とは女性を妊娠させてしまったので男性がしぶしぶ責任をとっただけのものなので、本音で言えば男性はまだ結婚したくなかったのではないかと思います。
そもそも「出来ちゃった」という言い方からして「失敗しちゃってすみませーん、テヘペロ(笑いながら舌を出す)」のような印象を受けますし、巻き込まれたくもなかったのに事故に遭ってしまった被害者であるかのような印象も受けます。後悔が残る結婚の仕方では結婚生活にも子育てにも前向きになれず、離婚の道を選ぶ方々が現れるのも仕方がありません。

それに対してコメント投稿者が書いた「子作り成功婚」とは、何と前向きな言葉でしょうか。男性も子どもを望み、女性も子どもを望む。そして結果が実ったからこそ結婚する。それを順番を間違えた「出来ちゃった結婚」などと揶揄する権利は誰にもありません。妊娠しなければ結婚しなかった点は一緒ですが、立ち位置はあまりにも異なるのです。

別にこうした妊娠の仕方を奨励する気はありませんが、子どもを望む強い気持ちのある男女が描いた未来を掴み取る為には、「子作り成功婚」という考え方もありなのではないかと思いました。